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参考資料2 高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56908.html
出典情報 厚生科学審議会 新型インフルエンザ対策に関する小委員会(第23回 4/17)《厚生労働省》
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国立健康危機管理研究機構
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応

の HPAIV(H5N1)の 40 株全てのウイルスの HA タンパク質に S137A および T160A 変
異が認められ、そのうちの 17%は、哺乳類への適応に関与する PB2 の E627K、E627V、
D701N のいずれかのアミノ酸変異が認められた(Alkie TN. et al. 2023)。
2024 年 3 月に米国テキサス州の乳牛で HPAIV(H5N1)感染例が世界で初めて報告され
た 。 感 染 牛 の 口 腔 咽 頭 ぬ ぐ い 液 、 生 乳 か ら Clade 2.3.4.4b( 遺 伝 子 型 B3.13) の
HPAIV(H5N1)が検出された(Burrough et al.. 2024)。また、感染牛と同じ農場内で死
亡したネコと野鳥からも類似したゲノム配列を有する HPAIV(H5N1)が検出され、ネコへの
感染は病牛の初乳を与えられたことによる水平伝播であることが示唆された。哺乳類間の水
平伝播は、既報のネコ(Kuiken T et al.. 2004)およびフェレット(Herfst S et al.. 2012)
への感染実験でも証明されている(Burrough et al.. 2024)。
生乳およびネコから検出された HPAIV(H5N1) (遺伝子型 B3.13) と過去に陸生および
海生哺乳類から検出されたウイルスの遺伝子配列を比較したところ、生乳およびネコから検出
されたウイルスでは HA タンパク質内にヒト型レセプターとの結合親和性を高めると考えられ
ているアミノ酸残基 S137A、N158N、T160A の各アミノ酸変異が確認されたが、T192I、
G225D、G228S を含むものはなかった(Yamada S et al.. 2006, Gao Y, et al..
2009, CDC. 2024d)。これらのアミノ酸変異(S137A、N158N、T160A)は過去の陸生
および海生哺乳類から分離された HPAIV で多く観察されたものと同一であった。以前から
哺乳類での病原性や増殖能力の獲得に寄与することが知られている PB2 のアミノ酸変異
T271A、I292V、Q591K、E627K/V/A、D701N は、当該分離株すべてには見られなか
ったが、テキサス州における乳牛からの感染が推定された最初のヒトの症例から分離された
HPAIV は PB2 に E627 K 変異を示した(Gao Y, et al.. 2009, Suttie A et al.. 2019,
Bordes L et al.. 2023, Hatta M et al.. 2007, Kong H et al.. 2019, Hu et al..
2024)。テキサス州からの生乳およびネコ由来 8 株の HPAIV とヒト事例から検出された
HPAI (H5N1)ウイルスの遺伝子配列には、いずれも、現在、米国食品医薬品局(U.S. Food
and Drug Administration: FDA)が推奨している抗ウイルス薬に対する感受性を低下さ
せる既知のアミノ酸変異は含まれていなかった(Hu et al.. 2024, CDC. 2024i)。
哺乳類で分離されたウイルスのゲノム配列の定期的なモニタリングとスクリーニングでは、
Clade2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)に哺乳類適応のアミノ酸変異はほとんど見つかってお
らず、2025 年 12 月 20 日現在、米国の乳牛でウイルスの循環が続いているにもかかわら
ず、HA 遺伝子の受容体結合能の変化に関連するアミノ酸変異は確認されていない(WHO. 2
024e)。
コロラド州の養鶏場従業員のヒト事例から検出されたウイルスは、Clade 2.3.4.4b の
HPAIV(H5N1)であり、ミシガン州の病牛がいる農場労働者の症例から検出されたウイルス
と類似していた(CDC. 2024i)。この配列は主に鳥類に感染する HPAIV の遺伝的特徴を維
持しており、ウイルスをヒトに感染させたり、ヒトの間で拡散させたりするような適応性を高め
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023-2024
©Japan Institute for Health Security, Tokyo, Japan, 2025
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