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参考資料2 高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56908.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 新型インフルエンザ対策に関する小委員会(第23回 4/17)《厚生労働省》 |
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国立健康危機管理研究機構
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
の後 HA 遺伝子の変異が蓄積し、Clade ごとにさらに細かな亜系統に分類されるようになっ
た。さらに他の A 型インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合を起こすなど、遺伝的にも多様
化している。特に 2005 年以降は Clade 2 の亜系統が鳥類で流行したことに伴い鳥類から
ヒトへの感染例も増加し、2006 年には欧州、アフリカ大陸でもヒト感染例が報告された。
HPAIV(H5N1)のヒト感染例は 2003 年から 2025 年 2 月 5 日までで少なくとも 965例
が世界保健機関(WHO)に報告されており、2017 年以前の報告が大部分を占めるが、
2024 年には北米からの報告数が増加した。
2021 年以降は Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)の世界的な感染拡大に伴い、2023
年には南極地域で初めて鳥類での感染例の発生が報告され、オセアニアを除く全世界から報
告があったほか、水生動物を含む野生の哺乳類や農場のミンクなどの感染例、散発的なヒト感
染例が世界各所で継続的に報告されている。加えて 2024 年 3 月には、米国からヤギおよび
乳牛での Clade2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)感染例、および未殺菌乳(生乳)からの同
Clade の HPAIV 検出が報告され、接触者の調査中にヒトの感染例が確認された。 また、
Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)の局地的なヒト感染例も報告されている。
近年の HPAIV(H5N1)のヒト感染例の報告は限られるが、鳥類や哺乳類で流行が拡大して
いることから、2020 年以降の状況について、HPAIV(H5N1)感染事例の疫学情報の更新お
よびリスクアセスメントを行った。
疫学的所見
1.
事例の概要
◼
国外の状況
国外の鳥類(野鳥、家きん)における発生状況
Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)は、2020 年後半に欧州北部で同定されたのち、渡
り鳥により世界各地へと広がった。鳥類における感染事例が確認された地域は、2021 年から
2022 年にかけては欧州が主であり、北米にも拡大した(WHO. 2022)が、2023 年には南
米に広がり(OFFLU. 2023)、さらに 2023 年末から 2024 年 2 月にかけては南極大陸を
含む南極地域にも拡大した(CSIC. 2024)。
例年、鳥類における A 型インフルエンザウイルス感染事例の報告数は、9 月が最も少なく、
10 月頃から増加し始め、2 月にピークを迎える(WOAH. 2023)。しかし、2021/2022 シ
ーズン ※ は例年報告数が減少する時期にも、欧米を主として報告数が減少しないままに
2022/2023 シーズンを迎えた。2021/2022 および 2022/2023 シーズンの鳥類にお
ける HPAIV 感染事例は例年にない規模となったが、2022/2023 シーズンは例年と同様、
7 月から 9 月に報告数が減少した。2023/2024 シーズンは、例年より早い1月にピークを
迎え、その後減少し、過去3シーズンと比較すると報告数が少なかった(図 1)(ECDC.
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023-2024
©Japan Institute for Health Security, Tokyo, Japan, 2025
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高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
の後 HA 遺伝子の変異が蓄積し、Clade ごとにさらに細かな亜系統に分類されるようになっ
た。さらに他の A 型インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合を起こすなど、遺伝的にも多様
化している。特に 2005 年以降は Clade 2 の亜系統が鳥類で流行したことに伴い鳥類から
ヒトへの感染例も増加し、2006 年には欧州、アフリカ大陸でもヒト感染例が報告された。
HPAIV(H5N1)のヒト感染例は 2003 年から 2025 年 2 月 5 日までで少なくとも 965例
が世界保健機関(WHO)に報告されており、2017 年以前の報告が大部分を占めるが、
2024 年には北米からの報告数が増加した。
2021 年以降は Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)の世界的な感染拡大に伴い、2023
年には南極地域で初めて鳥類での感染例の発生が報告され、オセアニアを除く全世界から報
告があったほか、水生動物を含む野生の哺乳類や農場のミンクなどの感染例、散発的なヒト感
染例が世界各所で継続的に報告されている。加えて 2024 年 3 月には、米国からヤギおよび
乳牛での Clade2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)感染例、および未殺菌乳(生乳)からの同
Clade の HPAIV 検出が報告され、接触者の調査中にヒトの感染例が確認された。 また、
Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)の局地的なヒト感染例も報告されている。
近年の HPAIV(H5N1)のヒト感染例の報告は限られるが、鳥類や哺乳類で流行が拡大して
いることから、2020 年以降の状況について、HPAIV(H5N1)感染事例の疫学情報の更新お
よびリスクアセスメントを行った。
疫学的所見
1.
事例の概要
◼
国外の状況
国外の鳥類(野鳥、家きん)における発生状況
Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)は、2020 年後半に欧州北部で同定されたのち、渡
り鳥により世界各地へと広がった。鳥類における感染事例が確認された地域は、2021 年から
2022 年にかけては欧州が主であり、北米にも拡大した(WHO. 2022)が、2023 年には南
米に広がり(OFFLU. 2023)、さらに 2023 年末から 2024 年 2 月にかけては南極大陸を
含む南極地域にも拡大した(CSIC. 2024)。
例年、鳥類における A 型インフルエンザウイルス感染事例の報告数は、9 月が最も少なく、
10 月頃から増加し始め、2 月にピークを迎える(WOAH. 2023)。しかし、2021/2022 シ
ーズン ※ は例年報告数が減少する時期にも、欧米を主として報告数が減少しないままに
2022/2023 シーズンを迎えた。2021/2022 および 2022/2023 シーズンの鳥類にお
ける HPAIV 感染事例は例年にない規模となったが、2022/2023 シーズンは例年と同様、
7 月から 9 月に報告数が減少した。2023/2024 シーズンは、例年より早い1月にピークを
迎え、その後減少し、過去3シーズンと比較すると報告数が少なかった(図 1)(ECDC.
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023-2024
©Japan Institute for Health Security, Tokyo, Japan, 2025
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