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参考資料2 高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56908.html
出典情報 厚生科学審議会 新型インフルエンザ対策に関する小委員会(第23回 4/17)《厚生労働省》
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国立健康危機管理研究機構
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応

2023)。また、南米のペルー、チリでは感染したアシカやゾウアザラシの大量死が報告されて
おり、一部の地域で、その致命率の高さも懸念されている(OFFLU. 2023)。
米 国 の ミネ ソ タ州 に おい て 、 2024 年 3 月 20 日 、 哺 乳 類 の 家 畜 で は 初 と なる 、
Clade2.3.4.4b の HPAIV(H5N1) の ヤ ギ で の 感 染 事 例 が 報 告 さ れ た (Minnesota
Board of Animal Health, 2024)。3 月 25 日にはカンザス州とテキサス州における乳
牛の感染事例および未殺菌乳(生乳)からの同 Clade に属する HPAIV(H5N1)検出が報告
された(USDA. 2024a、CDC. 2024b)。4 月 2 日時点で 5 州(テキサス、カンザス、ミシ
ガン、ニューメキシコ、アイダホ)において乳牛からの HPAIV(H5N1)検出の報告があり、テキ
サス州の事例では農場の調査中に農場内で死亡したネコや野鳥からも HPAIV が確認された
(USDA. 2024b、Cornell University. 2024)。その後も、米国内の複数州から乳牛の感
染 事 例 の 報 告 が 相 次 ぎ 、 2025 年 2 月 6 日 時 点 で 、 16 州 に お い て 乳 牛 か ら の
HPAIV(H5N1)検出が報告された(USDA. 2025a)。2024年 3 月以降に乳牛から検出さ
れた Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)は、*遺伝子型 B3.13 であり、野鳥から乳牛へ
HPAIV のスピルオーバーが生じていたと考えられている(USDA. 2025b)。
(*遺伝子型: 同一 Clade の HPAIV(H5N1)であっても、HA 遺伝子以外のウイルス遺伝子
の由来が異なる場合は、細分類された遺伝子型により区別する)
米国の乳牛における地域的な感染伝播の継続については、家畜の移動に加え、人、車両、そ
の他の農機具の農場間での移動が要因と指摘されている(USDA. 2024d)。
2025 年 1 月にネバダ州の酪農場の乳牛から採取された検体からは、Clade 2.3.4.4b
の HPAIV(H5N1)、遺伝子型 D1.1 が検出された (USDA. 2025b、USDA. 2025c)。ま
た、2025 年 2 月にも、アリゾナ州の乳牛から Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)、遺伝
子型 D1.1 が検出された(APHIS 2025)。遺伝子型 D1.1 は 2024-2025 年冬季の北米
の野鳥において優勢であり、野鳥から乳牛への HPAIV(H5N1)のスピルオーバーとして 2・
3 例目の事例であると考えられている(USDA 2025b、APHIS 2025)。
また、米国のオレゴン州では、2024 年 10 月 30 日、家きんで HPAIV(H5N1)が検出さ
れ て い た 非 営 利 農 場 にお い て 、 豚 から HPAIV(H5N1) の 検 出 が 報 告 さ れ た ( USDA.
2024e)。これは米国で初めての豚の HPAIV(H5N1)感染事例である。豚および同農場の
家きんから検出された Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)の遺伝子型はともに D1.2 で
あり、この地域の渡り鳥のサンプルのゲノム配列と非常に類似した配列を示していた。このこ
とから、この農場の豚や家きんは、乳牛や他の家畜ではなく、感染した渡り鳥との接触により
感染した可能性が高いと考えられている (USDA. 2024f)。
世界的な哺乳類における感染拡大の背景には、H5N1 ウイルスの遺伝的変異が関与してい
る可能性が示唆されているが、現時点で、ヒトへの感染力が強まったとする報告はない(CDC.
2024d)。
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023-2024
©Japan Institute for Health Security, Tokyo, Japan, 2025
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