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参考資料4 NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針 (7 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30725.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会(第8回 2/2)《厚生労働省》 |
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第8回 NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会
参考
令和5年2月2日
資料4
資料1
【2】医療機関における出生前検査への対応
1.出生前検査に対して医療機関が示すべき姿勢
出生前検査においてはそもそも、疾患をもつ人の人生の排除に利用される懸
念や、生命の尊厳にかかわる倫理的問題の包含も指摘されている。したがって出
生前遺伝学的検査は日本医学会が定める「医療における遺伝学的検査・診断に関
するガイドライン」*1を遵守し、適切な遺伝カウンセリングを通じて行われるべ
きである。
遺伝カウンセリングとは、クライエント(依頼者である患者や家族)のニーズ
に対応する遺伝学的情報等を提供し、クライエントがそれらを十分に理解した
上で自らによる意志決定ができるように援助する行為である*2。したがって提供
すべき情報は、単なる遺伝性疾患の医学的情報や検査内容だけではなく、社会的
な支援体制や倫理的問題等も含めた広汎なものとなり、心理的な対応技術も必
要となる。非指示的な、共感的理解を伴う受容的な態度が重要であり、このよう
な対応の中で、クライエント自身が問題解決能力を高めていくコミュニケーシ
ョンプロセスが遺伝カウンセリングといえる。
出生前検査に関する遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医 *3 や一定のトレー
ニングを受けて運営委員会に認められた医師*4、またその医師の指導の下で認定
遺伝カウンセラー*5 や遺伝看護専門看護師*6 が対応することが望ましい。一方で、
出生前検査には、通常の妊婦健康診査(以下「妊婦健診」という。
)で行われる
内容も関わってくるため、専門職だけで全てに対応することはできない。そのた
め、専門資格を持たない一般の産婦人科医をはじめとする医療従事者も「遺伝カ
ウンセリング」の本質を理解し、可能な限り「遺伝カウンセリングマインド」*7
をもって出生前検査に関わることが求められる。
2.出生前検査の定義
出生前検査とは、母体内の胎児の状況を把握するために行われる検査をいう。
広義には羊水、絨毛、その他の胎児試料等を用いた細胞遺伝学的、遺伝生化学的、
分子遺伝学的、細胞・病理学的方法、及び超音波検査等を用いた画像診断的方法
等がある。これらはそれだけでは診断を確定できない「非確定的検査」と検査結
果に基づいて診断を確定できる「確定的検査」に大別される。
3.出生前検査に関わる医療従事者の心構え
出生前検査においては、胎児の成長を確認するために行う胎児の超音波検査
が、出生前診断に直結する場合もあるが、いわゆる出生前検査については、それ
を実施するかどうか等の自己決定は、個人の自律的な判断で行われるべきであ
り、その自己決定に寄り添うのが遺伝カウンセリングである。専門職ではない場
合においても、
「遺伝カウンセリングマインド」をもって対応することが求めら
れる。そのため、非専門職の医療従事者においても、遺伝カウンセリングとはど
ういうものかの最低限の理解は必要であり、運営委員会による資料等を常に参
照し、最新の知識や指針等に触れる自助努力が必要である。また、関連学会の学
術講演会等で正しくかつ最新の知識を常にアップデートすること等が求められ
る。
4.医療機関ごとの役割
出生前検査は専門職が在籍する医療機関だけで行われるものではない。妊婦
6
参考
令和5年2月2日
資料4
資料1
【2】医療機関における出生前検査への対応
1.出生前検査に対して医療機関が示すべき姿勢
出生前検査においてはそもそも、疾患をもつ人の人生の排除に利用される懸
念や、生命の尊厳にかかわる倫理的問題の包含も指摘されている。したがって出
生前遺伝学的検査は日本医学会が定める「医療における遺伝学的検査・診断に関
するガイドライン」*1を遵守し、適切な遺伝カウンセリングを通じて行われるべ
きである。
遺伝カウンセリングとは、クライエント(依頼者である患者や家族)のニーズ
に対応する遺伝学的情報等を提供し、クライエントがそれらを十分に理解した
上で自らによる意志決定ができるように援助する行為である*2。したがって提供
すべき情報は、単なる遺伝性疾患の医学的情報や検査内容だけではなく、社会的
な支援体制や倫理的問題等も含めた広汎なものとなり、心理的な対応技術も必
要となる。非指示的な、共感的理解を伴う受容的な態度が重要であり、このよう
な対応の中で、クライエント自身が問題解決能力を高めていくコミュニケーシ
ョンプロセスが遺伝カウンセリングといえる。
出生前検査に関する遺伝カウンセリングは臨床遺伝専門医 *3 や一定のトレー
ニングを受けて運営委員会に認められた医師*4、またその医師の指導の下で認定
遺伝カウンセラー*5 や遺伝看護専門看護師*6 が対応することが望ましい。一方で、
出生前検査には、通常の妊婦健康診査(以下「妊婦健診」という。
)で行われる
内容も関わってくるため、専門職だけで全てに対応することはできない。そのた
め、専門資格を持たない一般の産婦人科医をはじめとする医療従事者も「遺伝カ
ウンセリング」の本質を理解し、可能な限り「遺伝カウンセリングマインド」*7
をもって出生前検査に関わることが求められる。
2.出生前検査の定義
出生前検査とは、母体内の胎児の状況を把握するために行われる検査をいう。
広義には羊水、絨毛、その他の胎児試料等を用いた細胞遺伝学的、遺伝生化学的、
分子遺伝学的、細胞・病理学的方法、及び超音波検査等を用いた画像診断的方法
等がある。これらはそれだけでは診断を確定できない「非確定的検査」と検査結
果に基づいて診断を確定できる「確定的検査」に大別される。
3.出生前検査に関わる医療従事者の心構え
出生前検査においては、胎児の成長を確認するために行う胎児の超音波検査
が、出生前診断に直結する場合もあるが、いわゆる出生前検査については、それ
を実施するかどうか等の自己決定は、個人の自律的な判断で行われるべきであ
り、その自己決定に寄り添うのが遺伝カウンセリングである。専門職ではない場
合においても、
「遺伝カウンセリングマインド」をもって対応することが求めら
れる。そのため、非専門職の医療従事者においても、遺伝カウンセリングとはど
ういうものかの最低限の理解は必要であり、運営委員会による資料等を常に参
照し、最新の知識や指針等に触れる自助努力が必要である。また、関連学会の学
術講演会等で正しくかつ最新の知識を常にアップデートすること等が求められ
る。
4.医療機関ごとの役割
出生前検査は専門職が在籍する医療機関だけで行われるものではない。妊婦
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