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別紙1 (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00042.html
出典情報 先進医療会議(第108回先進医療会議、第129回先進医療技術審査部会 3/3)《厚生労働省》
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先進医療会議事前評価構成員からの指摘事項に対する回答2
先進医療技術名: ラメルテオンを用いたせん妄発症抑制療法
令和4年 2 月 23 日
国立がん研究センター中央病院
精神腫瘍科
松岡 弘道
以下の点について検討し,必要に応じて関連書類についても修正してください.
1.手術時間 6 時間以上のがん切除手術を対象としていますが、根拠となる論文の対象
症例は頭頸部(一部肝胆膵など)を中心としており、あらゆる癌腫や術式にこの結果が
適用される根拠とはなりえません。また、特に食道手術に関しては近年急速に鏡視下手
術が普及しており、鏡視下手術は開胸開腹手術に比較して低侵襲ではあるものの、長
時間手術になることが知られております。手術時間だけで規定するのではなく、対象とす
る術式(アプローチを含め)を限定する必要があるのではないでしょうか。
【回答】
本試験は臨床への実装を目指した effectiveness trial として、実臨床に近い対象
で有効性を検証することを目指していることから、リスク因子として極めて影響が大
きい年齢(せん妄リスク:65 歳未満:3%, 65-74 歳:14%, 75 歳以上:36%, Maldonado,
2018, Int J Geriatr Psychiatry)のみを対象選択に規定し、それ以外のリスク因子
による対象の制限は行わないこととしました。対象には手術時間 6 時間未満のがん切
除手術も含めており、手術時間 6 時間以上は層別因子として用い、その他の因子につ
いてはランダム化による調整としております。
手術時間 6 時間以上のみを層別因子とする根拠は以下の通りです。せん妄の発症割
合は手術術式や手術アプローチ以外にも麻酔方法、輸血等様々な術中因子の影響を受
けることが報告されていますが、その影響度は一定せず、既知のリスク因子を定式化
し、介入群と対照群のリスクを一定化する方法はありません。手術術式の違いによるせ
ん妄発症割合への影響として、心血管手術の場合に他の手術部位よりもリスクが高ま
る可能性が複数文献で指摘されております(Chaiwat, 2019, BMC Anesthesiology,
Bilotta, 2013, BMC Anesthesiology)が、本試験の対象には含んでおりません。その
他因子として、がん患者のみを対象とした術後せん妄リスクを検討したメタアナリシ
ス(Zhu, 2017, Jpn J Clin Oncol)の対象手術は頭頚部であることはご指摘の通りで
すが、手術時間は他の術中因子(失血量・輸液量・輸血・切除部位・創部再建・リンパ
節郭清・オピオイド使用)や術後因子(創感染)よりもきわめて高い術後せん妄のオッ
ズ比を示しています(OR: 54.7(22.81-86.6))。また、我々は手術時間 6 時間以上の高
侵襲がん切除手術を予定する患者を対象に国立がん研究センター中央病院にて先行研
究(Wada, 2019, World J Surg)を行いましたが、手術部位(頭頚部 17 名・食道 37

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