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別紙1 (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00042.html
出典情報 先進医療会議(第108回先進医療会議、第129回先進医療技術審査部会 3/3)《厚生労働省》
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先進医療審査の事前照会事項に対する回答1

先進医療技術名: ラメルテオンを用いたせん妄発症抑制療法
2022 年 2 月 17 日
国立がん研究センター中央病院
精神腫瘍科
松岡 弘道

※照会に伴い変更が生じた場合は、関係書類も併せて修正して下さい。
1.選択基準が全身麻酔下の手術と術後 5 日間以上の入院患者で、術後 2 日以内に経口あるいは経
鼻胃管からの薬剤投与が可能になっているだけですが、手術部位 例えば、肺がんとか大腸がんな
ど、手術部位による違いは考慮されていないようですが、過去に、手術部位の違いなどを検討された
報告があれば教えて下さい。
【回答】
手術部位の違いによるせん妄発症割合への影響として、心血管手術の場合に、他の手術部位よりも
リスクが高まる可能性が複数文献で指摘されております(Chaiwat, 2019, BMC Anesthesiology, Bilotta,
2013, BMC Anesthesiology)。特に心疾患手術は、他の手術部位とリスク因子が異なり、本研究が主な対
象とする高齢者がせん妄リスク上昇に関連しないことが報告されています。(Watt, 2018, JGIM)以上から、
心疾患手術を区別する必要があると考えており、本研究ではがん切除手術のみを対象としております。
(心臓の悪性腫瘍は外科切除の対象となりません。)
また麻酔方法、輸血等の複数の術中因子が、せん妄の発症割合へ影響しますが、既知のリスク因子
を定式化し、介入群と対照群のリスクを一定化する方法はありません。 心疾患手術を含まない、がん患
者の術式と術後せん妄リスクを検討したメタアナリシス(Zhu, 2017, Jpn J Clin Oncol)では、もっとも影響
が大きい因子として手術時間が挙げられています。手術時間は他の術中因子(失血量・輸液量・輸血・
切除部位・創部再建・リンパ節郭清・オピオイド使用)や術後因子(創感染)よりも高い術後せん妄のオッ
ズ比を示しています(OR: 54.7(22.81-86.6))。以上を基に、手術時間 6 時間以上の高侵襲がん切除手術
を予定する患者(Shah, 2012, Arch Otolaryngol Head Neck Surg)を対象として、国立がん研究センター中
央病院にて先行研究(Wada, 2019, World J Surg)を行ったところ手術部位(頭頚部・食道・肝胆膵)により
せん妄の発症割合に違いはありませんでした。
以上から、がん切除手術において最も影響が大きいと考えられる手術時間を層別化因子に加え、さら
に術中因子でせん妄の発症に影響する可能性がある、麻酔方法や出血量・輸血の有無や、ご指摘頂い
た手術部位(がん種)を評価し、背景として介入群と対照群で差が無いことを確認することで、研究結果
の一般化可能性を担保します。
以上

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