よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【資料4】特区制度を利用した救急救命処置の先行的な実証に向けた調査・検討会業務報告 (17 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41901.html
出典情報 救急医療の現場における医療関係職種の在り方 に関する検討会ワーキンググループ(第6回 7/29)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

<各論⑧>
想定される有害事象と発生時の対応に関する検討1
目的・調査方法
• 救急救命士が「アナフィラキシーに対するアドレナリン筋肉内注射」を実施する際に生じ得る有害事象を特定し、当該事象が発生した場合の対
応策を検討する。
• 検討に当たっては、国内外の文献を幅広く検索し、有害事象の種類、頻度、重症度等の情報を収集するとともに、救急医療・救急救命士教
育に携わる医師や救急救命士等に対して意見聴取を実施し、現場経験に基づく有害事象の情報や、対応策に係る知見を収集した。
想定される有害事象
• 日本のアナフィラキシーガイドライン2022(日本アレルギー学会)が示すアドレナリン筋肉内投与による有害事象は図1のとおり。
• スペインから報告された、アナフィラキシーに対してアドレナリン製剤を筋肉内投与した場合の有害事象の発生状況を図2に示す。最も多いの
は振戦(43%)で、動悸(24%)と不安(23%)がこれに続く。これら有害事象は特に治療の必要はなく、速やかに消失したとされている。
• また、筋肉内注射の手技に関連する有害事象として、投与経路の誤りや投与量の誤りが挙げられる。これらは心筋梗塞を含む心筋虚血、
心室性不整脈、著しい高血圧など危険な有害作用を引き起こす可能性があると報告されている。特に心疾患、高血圧症、肺気腫、高齢
者などでは発生頻度が高まる可能性がある。
図1

想定される
有害事象

アドレナリン:アナフィラキシーの治療の第一選択薬
《通常量の投与時》

蒼白、振戦、不安、動悸、浮動性めまい、頭痛。

・1:1000(1mg/mL) 0.01mg/kgの筋肉注射

上記症状は薬理作用量にが注射されたことを示す。

図2

・最大量:成人0.5mg、小児0.3mg
《アドレナリン過量投与時》

心室性不整脈、高血圧、肺水腫。

心臓自体がアナフィラキシーの標的臓器になりうること
に注意。
したがって、既知の冠動脈疾患を有する患者、無症
・静脈内ボーラス投与
状の冠動脈疾患が判明した患者、冠動脈疾患を有
しておらず、一過性の血管攣縮による症状を呈する患
・1:1000(1mg/mL) 溶液を希釈せず静脈投与す 者(小児を含む)において、アナフィラキシーの治療を
るなどの用量の誤りなど
行わない場合であっても、急性冠動脈症候群(狭心
症、心筋梗塞、不整脈)が発症しうる。
・過度の急速静脈内投与

アナフィラキシーガイドライン2022(日本アレルギー学会)

Cardona V et. al. Safety of adrenaline use in anaphylaxis: A multicentre register. Int
Arch Allergy Immunol 2017;173:171–177

17