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参考資料4 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用等について~(令和4年2月1日 総合科学技術・イノベーション会議) (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/12/mext_00048.html |
出典情報 | ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(第1回 3/30)《文部科学省》 |
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(3)ヒト受精胚の取扱いの基本原則
ア
「人の尊厳」を踏まえたヒト受精胚尊重の原則
既に述べたとおり、「人」へと成長し得る「人の生命の萌芽」であるヒト受
精胚は、「人の尊厳」という社会の基本的価値を維持するために、特に尊重し
なければならない。
したがって、ヒト胚研究小委員会の報告に示されたとおり、「研究材料とし
て使用するために新たに受精によりヒト胚を作成しないこと」を原則とすると
ともに、その目的如何にかかわらず、ヒト受精胚を損なう取扱いが認められな
いことを原則とする。
イ
ヒト受精胚尊重の原則の例外
しかし、人の健康と福祉に関する幸福追求の要請も、基本的人権に基づくも
のである。このため、人の健康と福祉に関する幸福追求の要請に応えるための
ヒト受精胚の取扱いについては、一定の条件を満たす場合には、たとえ、ヒト
受精胚を損なう取扱いであるとしても、例外的に認めざるを得ないと考えられ
る。
ウ
ヒト受精胚尊重の原則の例外が許容される条件
イに述べた例外が認められるには、そのようなヒト受精胚の取扱いによらな
ければ得られない生命科学や医学の恩恵及びこれへの期待が十分な科学的合
理性に基づいたものであること、人に直接関わる場合には、人への安全性に十
分な配慮がなされること、及びそのような恩恵及びこれへの期待が社会的に妥
当なものであること、という3つの条件を全て満たす必要があると考えられる。
また、これらの条件を満たすヒト受精胚の取扱いであっても、人間の道具化・
手段化の懸念をもたらさないよう、適切な歯止めを設けることが必要である。
3.ヒト受精胚の取扱いの検討
前述の基本原則をもとにヒト受精胚の取扱いについて、目的別の考察を行った。
(1)研究目的のヒト受精胚の作成・利用
ヒト受精胚の研究目的での作成・利用は、ヒト受精胚を損なう取扱いを前提と
しており、認められないが、基本原則における例外の条件を満たす場合も考えら
れ、この場合には容認し得る。
その場合においても、ヒト受精胚は、体外にあって胎盤を形成しない限り、発生
の過程が進んでも「胚」として扱われるため、研究目的での作成・利用について
は、その取扱いの期間を限定する必要がある。ヒト受精胚は、原始線条を形成し
て臓器分化を開始する前までは、ヒト受精胚の細胞(胚性細胞)が多分化性を有
していることから、ヒト個体としての発育を開始する段階に至っていないと考え
ることができるが、原始線条を形成して臓器分化を開始してからは、ヒト個体と
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ア
「人の尊厳」を踏まえたヒト受精胚尊重の原則
既に述べたとおり、「人」へと成長し得る「人の生命の萌芽」であるヒト受
精胚は、「人の尊厳」という社会の基本的価値を維持するために、特に尊重し
なければならない。
したがって、ヒト胚研究小委員会の報告に示されたとおり、「研究材料とし
て使用するために新たに受精によりヒト胚を作成しないこと」を原則とすると
ともに、その目的如何にかかわらず、ヒト受精胚を損なう取扱いが認められな
いことを原則とする。
イ
ヒト受精胚尊重の原則の例外
しかし、人の健康と福祉に関する幸福追求の要請も、基本的人権に基づくも
のである。このため、人の健康と福祉に関する幸福追求の要請に応えるための
ヒト受精胚の取扱いについては、一定の条件を満たす場合には、たとえ、ヒト
受精胚を損なう取扱いであるとしても、例外的に認めざるを得ないと考えられ
る。
ウ
ヒト受精胚尊重の原則の例外が許容される条件
イに述べた例外が認められるには、そのようなヒト受精胚の取扱いによらな
ければ得られない生命科学や医学の恩恵及びこれへの期待が十分な科学的合
理性に基づいたものであること、人に直接関わる場合には、人への安全性に十
分な配慮がなされること、及びそのような恩恵及びこれへの期待が社会的に妥
当なものであること、という3つの条件を全て満たす必要があると考えられる。
また、これらの条件を満たすヒト受精胚の取扱いであっても、人間の道具化・
手段化の懸念をもたらさないよう、適切な歯止めを設けることが必要である。
3.ヒト受精胚の取扱いの検討
前述の基本原則をもとにヒト受精胚の取扱いについて、目的別の考察を行った。
(1)研究目的のヒト受精胚の作成・利用
ヒト受精胚の研究目的での作成・利用は、ヒト受精胚を損なう取扱いを前提と
しており、認められないが、基本原則における例外の条件を満たす場合も考えら
れ、この場合には容認し得る。
その場合においても、ヒト受精胚は、体外にあって胎盤を形成しない限り、発生
の過程が進んでも「胚」として扱われるため、研究目的での作成・利用について
は、その取扱いの期間を限定する必要がある。ヒト受精胚は、原始線条を形成し
て臓器分化を開始する前までは、ヒト受精胚の細胞(胚性細胞)が多分化性を有
していることから、ヒト個体としての発育を開始する段階に至っていないと考え
ることができるが、原始線条を形成して臓器分化を開始してからは、ヒト個体と
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