よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


診療所における医療DXに係る調査報告書 (2 ページ)

公開元URL
出典情報 診療所における医療DXに係る調査報告書(12/2)《日本医師会総合政策研究機構》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

診療所における医療 DX に係る調査
日本医師会総合政策研究機構 主席研究員 江口成美
主任研究員 出口真弓
日本医師会 情報システム課
・医療 DX ・マイナ保険証 ・電子処方箋 ・電子カルテ ・システム費用 ・ICT 人材



12 月 2 日以降、医療機関での受診がマイナ保険証を基本とする仕組みに移行し、医療
機関における医療 DX 推進について一層の対応が求められる。しかしながら現場では
システムに係るさまざまな作業や費用負担が課題とされてきた。医療 DX に係る直近
の取組みや課題を把握するため、まずは日本医師会会員の診療所管理者・開設者を対
象に緊急 Web 調査を実施し、4,454 名の回答を得た(有効回答率 44.5%)




回答施設のマイナ保険証の利用率(レセプト件数ベース)は、10%未満が回答施設の
約 7 割を占めた。電子処方箋の導入・運用も低迷していた。電子カルテの使用率は
62.6%であったが、電子カルテ情報共有サービスに関する理解は不足していた。



約 9 割の施設が ICT 人材不足としており、64%の施設では診療の傍ら、医師自らがシ
ステムの対応を行っていた。システム費用の負担も大きく、費用の分布図からは、シス
テム事業者への支払いが多額にのぼる施設が少なくない状況であった。



診療所は規模が小さく、ICT 対応に係るさまざまな負担感が大きいことが明らかにな
った。医療 DX の推進には、国が全力で支援するという強いメッセージが必要で、作
業負担の軽減や補助金、診療報酬上の十分な手当てを検討するべきである。



医療 DX 推進体制整備加算の施設基準については、マイナ保険証の利用率や電子処方
箋の導入率の分布から実態を把握し、対応を検討することが必要である。



電子処方箋など医療 DX ツールの意義が診療所管理者に十分に伝えられていないこと
も明らかになった。災害時などの際にも患者情報を閲覧できるなど、患者と医療機関
にとってのメリットをより分かりやすくかつ丁寧に提供していくことが求められる。



医療 DX はわが国の医療の向上に向けた重要な取り組みであり、関係者の理解を得な
がら、丁寧に進めることが必要である。まずは補助金や診療報酬によるインセンティ
ブ、作業負担の軽減、そして丁寧かつ効果的な情報提供が求められる。地域の医師会に
おいても高齢医師を含む地域の医師・医療機関に寄り添い、タイムリーで分かりやす
い情報提供と支援を行うことが期待される。

1