よむ、つかう、まなぶ。
資料1-2-1診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
6 パーキンソン病
○ 概要
1.概要
パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の障害によって発症する神経変性を主体とする進行性変成
疾患である。43大症状として(1)安静時振戦静止時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)運動緩慢・無動・寡動、を
特徴とする。このほか(4)姿勢反射保持障害を特徴とする。このほか、(5)同時に2つの動作をする能力の低
下、(6)自由にリズムを作る能力の低下を加えると、ほとんどの運動症状を説明することができる。近年では
運動症状のみならず、精神症状などの非運動症状も注目されている。発症年齢は 50~65 歳に多いが、高
齢になるほど発病率が増加する。40 歳以下で発症するものは若年性パーキンソン病と呼ばれる。この中に
は遺伝子異常が明らかにされた症例なる場合も含まれるある。
2.原因
現段階では不明であるが、いくつかの仮説が提唱されている。また、家族性パーキンソニズムの原因とな
る遺伝子異常が関与することや、環境因子が影響することも明らかとなっている。
3.症状
運動症状として、初発症状は振戦が最も多く、次に動作の拙劣さが続く。中には痛みで発症する症例こと
もあり、五十肩だと思って治療していたが良くならず、そのうち振戦が出現して診断がつくこともまれでない。
しかし、姿勢反射保持障害やすくみ足で発症することはない。症状の左右差があることが多い。
動作は全般的に遅く拙劣となるが、椅子からの起立時やベッド上での体位変換時に目立つことが多い。表
情は変化に乏しく(仮面様顔貌)、言葉言語は単調で低くなり抑揚と声量が低下して、なにげない自然な動作
が減少する。歩行は前傾前屈姿勢で、前後にも横方向にも歩幅が狭く、歩行速度は遅くなる。進行例では、
歩行時に足が地面に張り付いて離れなくなり、いわゆるすくみ足が見られる。方向転換するときや狭い場所
を通過するときに障害が目立つ。
パーキンソン病では上記の運動症状に加えて、意欲の低下、認知機能障害、幻視、幻覚、妄想などの多
彩な非運動症状が認められる。 認められうる。このほか睡眠障害(昼間の過眠、REM 期睡眠行動異常など
異常症)、自律神経障害(便秘、頻尿、発汗異常、起立性低血圧)、嗅覚の低下、痛みやしびれ、浮腫など
様々な症状を伴うことが知られるようになり、パーキンソン病は単に錐体外路疾患ではなく、パーキンソン複
合病態として認識すべきとの考えが提唱されている。
4.治療法
病勢の進行そのものを止める治療法は現在までのところ開発されていない。全ての治療は対症療法であ
るので、症状の程度によって適切な薬物療法や手術療法を選択する。
(1)薬物療法
現在大きく分けて89グループの治療薬が使われている。それぞれに特徴があり、必要に応じて組
み合わせて服薬する。パーキンソン病治療の基本薬は L-dopa とドパミンアゴニストである。早期には
どちらも有効であるが、概ね 65 歳以下発症など運動合併症の発現リスクが高いと推定される場合に
- 23-
○ 概要
1.概要
パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の障害によって発症する神経変性を主体とする進行性変成
疾患である。43大症状として(1)安静時振戦静止時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)運動緩慢・無動・寡動、を
特徴とする。このほか(4)姿勢反射保持障害を特徴とする。このほか、(5)同時に2つの動作をする能力の低
下、(6)自由にリズムを作る能力の低下を加えると、ほとんどの運動症状を説明することができる。近年では
運動症状のみならず、精神症状などの非運動症状も注目されている。発症年齢は 50~65 歳に多いが、高
齢になるほど発病率が増加する。40 歳以下で発症するものは若年性パーキンソン病と呼ばれる。この中に
は遺伝子異常が明らかにされた症例なる場合も含まれるある。
2.原因
現段階では不明であるが、いくつかの仮説が提唱されている。また、家族性パーキンソニズムの原因とな
る遺伝子異常が関与することや、環境因子が影響することも明らかとなっている。
3.症状
運動症状として、初発症状は振戦が最も多く、次に動作の拙劣さが続く。中には痛みで発症する症例こと
もあり、五十肩だと思って治療していたが良くならず、そのうち振戦が出現して診断がつくこともまれでない。
しかし、姿勢反射保持障害やすくみ足で発症することはない。症状の左右差があることが多い。
動作は全般的に遅く拙劣となるが、椅子からの起立時やベッド上での体位変換時に目立つことが多い。表
情は変化に乏しく(仮面様顔貌)、言葉言語は単調で低くなり抑揚と声量が低下して、なにげない自然な動作
が減少する。歩行は前傾前屈姿勢で、前後にも横方向にも歩幅が狭く、歩行速度は遅くなる。進行例では、
歩行時に足が地面に張り付いて離れなくなり、いわゆるすくみ足が見られる。方向転換するときや狭い場所
を通過するときに障害が目立つ。
パーキンソン病では上記の運動症状に加えて、意欲の低下、認知機能障害、幻視、幻覚、妄想などの多
彩な非運動症状が認められる。 認められうる。このほか睡眠障害(昼間の過眠、REM 期睡眠行動異常など
異常症)、自律神経障害(便秘、頻尿、発汗異常、起立性低血圧)、嗅覚の低下、痛みやしびれ、浮腫など
様々な症状を伴うことが知られるようになり、パーキンソン病は単に錐体外路疾患ではなく、パーキンソン複
合病態として認識すべきとの考えが提唱されている。
4.治療法
病勢の進行そのものを止める治療法は現在までのところ開発されていない。全ての治療は対症療法であ
るので、症状の程度によって適切な薬物療法や手術療法を選択する。
(1)薬物療法
現在大きく分けて89グループの治療薬が使われている。それぞれに特徴があり、必要に応じて組
み合わせて服薬する。パーキンソン病治療の基本薬は L-dopa とドパミンアゴニストである。早期には
どちらも有効であるが、概ね 65 歳以下発症など運動合併症の発現リスクが高いと推定される場合に
- 23-