学、有機化学、生命科学等の基礎領域の学修に裏付けられた職能が発揮できると考えられる。
そこで、モデル・コア・カリキュラムの提案にあたって次の方針を立て検討した。
１．物理化学、無機化学、有機化学および生命科学間での相互関係を明確にする。
２．物理化学、無機化学、有機化学および生命科学から生理・解剖学、薬理学、薬物治療学、
薬剤学等へのつながりを明確にする。
３．後継科目の設定にあたって基礎薬学との関連を明確にすることを求める。

D

医療薬学
本領域における「医療薬学」の範囲は、「F 臨床薬学」で目標とする患者一人一人に個別に対
応するために用いる内容について、個別ではなく一般論とした。主たる内容は、薬理学、病態
学、医薬品情報学、薬剤学（薬物動態学、製剤学、調剤学）で構成した。作成にあたっての基
本的な方針は以下のとおりである。
１．薬学教育モデル・コア・カリキュラムにおける「A 薬剤師として求められる基本的な資
質・能力」を発揮するために、「B 社会と薬学」
、「C 基礎薬学」で学んだ成果を「E 衛生薬
学・公衆衛生薬学」の疾病予防、公衆衛生、「F 臨床薬学」における患者一人一人への責任
ある薬物治療の実践に繋げるために必要な一般的な目標とした。
２．各種疾患の病態生理と薬物の作用等のメカニズムを関連付けて系統的に理解した上で、根
拠に基づく医療を提供するための基本的事項を設定した。
３．患者一人一人の薬物動態を考慮して、適切な用法・用量・剤形を選択し、薬物の有効性・
安全性の情報を評価するための基本事項を掲げた。
４．薬物治療に関わるガイドライン等を十分に理解し、「F 臨床薬学」で実践する患者一人一人
に対応した効果的な薬物療法に必要となる基本的な内容を掲げた。
５．「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」へのつながりを念頭に置いて、関連する疾患、医薬品、環境
物質の特徴等を理解し、薬剤師のもう一つの重要な使命である予防、衛生につながる基本
事項を掲げた。

E 衛生薬学・公衆衛生薬学
１. 改訂モデル・コア・カリキュラムでは、「衛生薬学・公衆衛生薬学」を「社会と薬学」、
「基
礎薬学」、「医療薬学」において修得した基礎知識や技能をもとに、「臨床薬学」における主に
患者への薬物治療の実践と並行して、社会・集団における人の健康を科学し、薬剤師としてそ
の維持・増進に貢献するために必要な学修領域と位置づけた。旧版の「D 衛生薬学」から「E
衛生薬学・公衆衛生薬学」と名称を改めた。
旧版の「D 衛生薬学」では、疾病の予防、身体的・精神的な健康の維持・増進を科学する公
衆衛生学と主に化学物質の人の健康に対する影響を科学する衛生化学の学習によって構成さ
れていたが、改訂モデル・コア・カリキュラム「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」では、現在薬剤
師に求められている社会・集団における人の健康の維持・増進に係る保健統計・疫学的な解
析（E-1 人の健康の維持・増進を図る保健・医療）や、感染症の予防・蔓延防止（E-4 健康を
脅かす感染症の予防と蔓延の防止）等に関する実践的な学習を充実すべく、学習目標を設定
した。
学習成果基盤型教育において、こういった「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」で身に付けるべき
能力を＜学修目標＞として明示した。
２. 「E 衛生薬学・公衆衛生薬学」では、旧版の公衆衛生学と衛生化学に係る学習目標を中項目
「E-1 人の健康の維持・増進を図る保健・医療」、「E-2 食品の人の健康の維持・増進におけ
る機能と疾病予防における役割」、
「E-3 人の健康をまもるための化学物質の管理と環境の保全」
及び「E-4 健康を脅かす感染症の予防と蔓延の防止」に再構成し、基礎的な知識や技能の修得、
10