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資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 (15 ページ)

公開元URL https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
出典情報 経済財政諮問会議(令和4年第8回 6/7)《内閣府》
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力がある。
同時に、権威主義的国家による挑戦も顕在化する中で、最終的な勝者を決めるの
は、科学技術の力である。例えば、先端半導体を開発・生産できる力を持っている
ことが、国際競争力、更には国家安全保障を左右する。
研究開発による社会的収益率は、他社への外部効果により、研究開発を行った企
業自身の私的収益率よりも大きいことが知られている。すなわち、個々の企業の研
究開発費の増加によるその企業の売上高の増加(私的な限界収益率)と他社の会社全
体への正・負の外部効果(社会全体の限界収益率)を比較すると、外部効果は正であ
り、かつ、社会全体の収益率は私的な収益率の2.5倍以上と推計されるとの研究が
ある 17。このため、研究開発は私企業のみに任せると過少投資となりやすく、官民
で取り組むことが重要である。
しかしながら、我が国においては、研究開発投資額の伸び率が他の先進国に比し
て低い 18。官が明確な国家戦略を示すことで、将来の成長期待を民間が共有できる
等、新たな官民連携により、研究開発投資を活発化させ、社会的な投資効果を最大
化する必要がある。
このため、民間の現預金を活用した研究開発投資に対するインセンティブを強化
する。具体的には、オープンイノベーションを更に加速し、研究開発投資全体を押
し上げられるよう、民間企業の研究開発投資を促進するための税制の在り方につい
て検討を進める。
特に、量子、AI、バイオテクノロジー・医療分野は、我が国の国益に直結する
科学技術分野である。このため、国が国家戦略・国家目標を提示するため、国家戦
略を策定し、官民が連携して科学技術投資の抜本拡充を図り、科学技術立国を再興
する。
その上で、研究開発投資を増加する企業に対しては、インセンティブを付与して
いく。あわせて、総理に対する情報提供・助言のため、総理官邸に科学技術顧問を
設置する。
(1)量子技術
「新たな量子技術に関する戦略」に基づいて、計画的に取組を進める。
量子技術は、演算分野(コンピュータ・シミュレーション)や通信・暗号分野に強み
がある。量子コンピュータを活用することで、医薬品候補探索の高速化や、化学材
料の改良、渋滞解消等、様々な分野への応用が期待されている。
量子コンピュータの大規模化・高機能化の研究開発については、半導体やBeyond
5G等の他の技術分野との融合やこれを応用する分野の研究も視野に入れた上で、
日本単独で考えるのではなく、先行する有志国の企業との連携を実施するなどグロ
ーバルな対応を進める。このため、量子コンピュータ等の次世代計算基盤に不可欠
な次世代半導体の設計・製造能力の確保に向けて、日米の官民が連携し、2020年代
に設計・製造基盤を構築するためのプロジェクトを進める。
また、量子技術の実証環境を整備し、量子コンピュータや量子暗号通信について、
エネルギー、金融、創薬・医療、材料化学、航空、モビリティ等、幅広い分野で、
実証を進める。加えて、産業化に向けた拠点整備を進める。

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基礎資料P18:研究開発の外部性の大きさ
基礎資料P19:官民合わせた研究開発投資額の国際比較

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