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厚生労働省国際保健ビジョン (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42939.html
出典情報 「厚生労働省国際保健ビジョン」の公表について(8/26)《厚生労働省》
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会 に お い て 、 将 来 の パ ン デ ミ ッ ク へ の 予 防 ・ 備 え ・ 対 応 ( Prevention,
Preparedness, Response: PPR)の強化に向けたグローバルヘルス・アーキテ
クチャー(Global Health Architecture: GHA)の構築の必要性が積極的に議論
されるようになった。
それと同時に、COVID-19 の経験は、健康危機対応においても、我が国が提唱
してきた強靱な保健システムの構築が必須であることを再確認する契機となっ
た。新たなパンデミックへの対応を強化していくためには、人間の安全保障の
考えに基づいた保健システムの強化、とりわけ保健財政の強化が重要であり、
世界全体の UHC 達成こそが、人々の健康を守るための根幹である。
COVID-19 は緊急事態宣言を解除され、人々の記憶や教訓が徐々に薄くなって
いく中で、GHA の構築を通じた PPR の強化や UHC 達成に向けたモメンタムが低
下しつつある。これまで世界は、累次のパンデミックのたびに“panic and
neglect”を繰り返してきた。COVID-19 の後に同じ轍を踏まないために、UHC
を推進してきた我が国が果たし得る役割は大きい。
〔人類社会が直面する地球規模での複合的な課題〕
世界は、エイズ・結核・マラリアをはじめとした依然として蔓延し続けてい
る感染症や、ワクチン接種・母子保健といった従来からの課題に加えて、この
10 年ぐらいの間に、多様かつ新しい課題も同時に抱えるようになった。例えば、
COVID-19 等の新興・再興感染症、気候変動がもたらす直接的・間接的な健康へ
の 影 響 、 AMR 、 世 界 全 体 で 疾 病 負 荷 を 増 し つ つ あ る 非 感 染 性 疾 患
(Noncommunicable Diseases: NCDs)と精神疾患、及び、認知症をはじめとす
る高齢化に伴う諸課題、頻発する紛争・災害への対応などである。
とりわけ、気候変動が健康に与える影響は、熱中症や洪水のような直接的な
要因にとどまらない。マラリアをはじめとする感染症の分布を変えるほか、農
業・畜産業への打撃による食料安全保障への影響、大規模な人口移動による農
村部の荒廃と都市スラムへの人口流入、野生動物の移動による人畜共通感染症
の流行リスク増加など、日本を含む世界の健康に与える影響は多岐に及ぶ。
さらに、新たな地球規模の複合課題の中で日本と関連が深いのが人口の高齢
化に伴う諸課題である。日本は現時点での高齢化率(65 歳以上が人口に占める
割合)が 30%に迫り、世界で最も高齢化している国家である。今後も高齢化は
さらに進み、今世紀後半には高齢化率が 40%近くになる見込みである。これに
伴いとるべき対応は、健康保険制度・介護保険制度・年金制度を骨格とする社
会保障制度の維持、認知症や運動機能障害を筆頭に高齢化に伴い増大する疾患

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