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厚生労働省国際保健ビジョン (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42939.html
出典情報 「厚生労働省国際保健ビジョン」の公表について(8/26)《厚生労働省》
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から人類社会にとっての安全保障を考える必要性が認識され、2022 年に国連開
発計画から「人間の安全保障特別報告書」が発表された。この報告書では、
「人類社会と地球との共存」のために、地球規模での変化と健康リスクとの因
果関係を解析した上で、対策を講じ、リスクマネジメントを行うことで、人間
の安全保障と健康の課題に取り組むことの重要性を述べており、国境を越えた
「連帯」(solidarity)の必要性が強調された。
〔新たな「ソフト・ガバナンス・アプローチ」と UHC〕
一方、我々は、日本の近隣地域を含め深刻な地政学的な対立に直面しており、
国家同士の合意形成ははるかに難しくなっている。
このような国際政治状況下にあっては、保健領域においても、国家間の合意
のみに依ることでは期待する成果を挙げることは難しい。むしろ、合意可能な
目標を設定しつつ、その目標を達成するために主権国家、国際機関、市民社会
等のステークホルダー、さらには企業等が連携して、共通の目標達成のために
行動すること、すなわち「ソフト・ガバナンス・アプローチ」が、国際保健を
前進させるために有効である。
国際保健の諸課題を解決するために、ソフト・ガバナンス・アプローチに基
づいて現実的な目標を設定するならば、その第一として提唱すべきは、世界全
体の強靱で持続可能な UHC 達成を目指すことである。具体的には、低中所得国
(Low- and Middle-Income Countries: LMICs)における保健財政規模を拡大さ
せ、国内財源の安定的な確保を通じて、持続可能な保健財政の達成を含む保健
システムを強化することである。
そのための貢献として、我が国は現在、多くの国や関係機関の協力を得なが
ら、「UHC に関する世界的なハブ機能」の実現に向けて取り組んでいる。このハ
ブ機能は、現在、WHO や世界銀行をはじめとした関係機関とともに実現に向け
た準備を行っており、まさに、国際保健におけるソフト・ガバナンス・アプロ
ーチを体現するものとなるだろう。こうしたハブ機能を通じて、世界全体の
UHC 達成に向けた議論の深化と取組の強化を進めるべきである。
〔アジア諸国を始めとするインド太平洋地域の重要性〕
我が国を取り巻く地政学的な状況を踏まえ、我が国は、健康分野においても
アジア諸国を始めとするインド太平洋諸国との連携を重視している。アジア諸
国等においても、高齢化が進展しており、それに伴う疾病構造の変化や健康格
差の拡大が大きな課題となることが予見される。急速な少子高齢化社会を先駆

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