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資料1-2-7診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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109 非典型溶血性尿毒症症候群
○ 概要
1.概要
溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)は、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少、
急性腎障害を3徴候とする、小児に多く見られる疾患である。HUSの約90%は下痢を伴い、O157等の病原
性大腸菌に感染することで発症する。一方で、病原性大腸菌感染によらないHUSが約10%存在し、それら
は血栓性微小血管症(血栓性微小血管症(TMA: thrombotic microangiopathy:)は微小血管症性溶血性貧
血(MAHA: microangiopathic hemolytic anemia)、消費性血小板減少、微小血管内血小板血栓による臓器機
能障害を3主徴とする病態である。TMA)の中でも、病原性は志賀毒素産生性大腸菌感染による溶血性尿
毒 症 症 候 群 ( STEC-HUS: Shiga toxin-producing E.coli associated Hemolytic Uremic Syndrome ) 、
ADAMTS13 活 性 低 下 ( < 10 % ) 活 性 著 減 に よ る 血 栓 性 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 ( TTP: thrombotic
thrombocytopenic purpura: TTP)、薬剤・移植などによるニ次性TMAを除外したものとして、非典型()、補
体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS: atypical,a) HUSと呼ばれている。病原性大腸菌)、
二次性TMAの4つによるHUSは比較的予後が良いのに対し、分類される。
aHUS では致死率が約 25%と高く予後が非常に悪い。海外では、毎年 100 万人あたり成人で2人発症、小
児では 100 万人に7人発症と報告がある。日本腎臓学会/日本小児科学会合同委員会による 2013 年の
aHUS の診断基準では、aHUS を「血栓性微小血管症
(TMA)から志賀毒素による HUS 及び ADAMTS13 活性著減による TTP を除いたもの」とし、その中の一部
に先天性と後天性の「補体制御異常による aHUS」が含まれている。日本腎臓学会/日本小児科学会によ
る「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド 2015」における診断基準の改訂版では、先天性と後天
性の補体制御異常による aHUS のみが新たに aHUS(補体関連 HUS)と定義された。TMA のうち、STEC
TMA のうち、STEC-HUS、TTP、二次性 TMA を鑑別しえた患者で臨床的に aHUS と診断される。臨床的
aHUS 患者において、さらに aHUS の特異的な検査を行い、既知補体関連の病的遺伝子変異例、抗 H 因子
抗体陽性例が aHUS 確定診断例である。医療費助成の対象とすべき疾病の範囲は、2015 年の基準による
臨床的 aHUS 診断例、又は aHUS 確定診断例のみに対してであり、注意を要する。
2.原因
aHUS は TMA を来す多彩な疾患を含み、そのうちの一部が補体活性化制御因子の遺伝子異常による
ことが分かってきた。これらの遺伝子異常は aHUS 患者の約 60%で見つかっている。これまでに先天性の
例とし CFH、CFI、CD46(MCP)、C3、CFB、THBD、 diacylglycerol kinase ε(DGKE)の病的遺伝子変異、後
天性の例として抗 H 因子抗体陽性例が aHUS を起こすと報告されている。ただし、原因の特定できない
aHUS もある。補体の遺伝子異常を有していても発症するのは、約 30%とされる。
3.症状
aHUS で見られる主な症状としては、血小板数の減少による出血斑(紫斑)などの出血症状や溶血性貧
血による全身倦怠感、息切れなどである。また、高度の腎不全によって浮腫、乏尿が認められることもある。

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