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資料1-2-7診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (40 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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を証明するのに有用である。STEC-HUS では血便を約8割で認め、血液成分が多い重度の血便を伴い、
超音波検査では上行結腸壁の著明な肥厚とエコー輝度の上昇が特徴的で、回盲部から肛門側まで肥厚
し、重症例では大腸全体に及ぶことも多い。小児では、STEC-HUS が TMA 全体の約 90%を占めること
から、生後6か月以降で、重度の血便を主体とした典型的な消化器症状を伴う症例では、最初に考える
べきである。
3.TTP の鑑別
ADAMTS13 活性が 10%未満で ADAMTS13 に対する中和抗体(インヒビター)が陽性であれば、後天
性 TTP と診断する。ADAMTS13 活性が 10%未満で同インヒビターが陰性の場合、先天性 TTP を疑う。
先天性 TTP の確定診断には、ADAMTS13 遺伝子解析が必要となる。TTP 以外の aHUS、HUS、二次性
TMA などでも ADAMTS13 活性の軽度低下が認められることがあるが、一般的に活性は 20%以上であ
る。
4.二次性 TMA の鑑別
・コバラミン代謝異常症(特に生後6か月未満で考慮):生後1年以内に、哺乳不良、嘔吐、成長発育不良、
活気低下、筋緊張低下、痙攣などを契機に発見される例が多いが、近年、成人例の発症例も報告されて
いる。血漿ホモシスチン、血漿メチルマロン酸、尿中メチルマロン酸などを測定する。
・自己免疫疾患・膠原病:全身性エリテマトーデス、強皮症クリーゼ、抗リン脂質抗体症候群、多発性筋炎/
皮膚筋炎、血管炎:これらの疾患は TMA を呈することがあるため、必要に応じて以下の検査を提出する。
抗核抗体、抗リン脂質抗体、抗 DNA 抗体、抗セントロメア抗体、抗 Scl-70 抗体、C3、C4、CH50、IgG、
IgA、IgM、抗好中球細胞質抗体(ANCA: Anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)など。
・加速型-悪性高血圧:ただし、aHUS でも高血圧を呈することが多いので鑑別には注意が必要である。
・悪性腫瘍:進行性の悪性腫瘍により TMA を来すことがある。症例報告をまとめたレビューでは、消化器系
癌、乳癌、前立腺癌、肺癌などが多く、9割以上で転移を認める進行性の悪性腫瘍であったとの報告が
ある。
・感染症:肺炎球菌感染症の中でも、特に侵襲性肺炎球菌感染症が TMA を呈することがあり、小児に認め
られる。侵襲性肺炎球菌感染症とは、重症肺炎、髄膜炎、菌血症、敗血症、膿胸等を生じる重症肺炎球
菌感染症と定義される。国立感染症研究所の報告では5歳未満では本邦で年間 300 例程度の報告があ
る。TMA 発症は乳幼児が主であり、0.6%程度が TMA を発症するとされる。肺炎球菌が産生するニュー
ラミニダーゼによって露出する Thomsen—Friedenreich (T)抗原に対する抗 T-IgM 抗体が血漿中に存在
するため、血漿投与により病状が悪化する可能性がある。直接 Coombs 試験が約 90%の症例で陽性を
示す。新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法や血漿輸注等の血漿治療や非洗浄血液製剤の投与は行わ
ない。
その他、HIV、インフルエンザ A ウイルス H1N1 亜系、C 型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス感染症、
百日咳、水痘、重症溶連菌感染症などが TMA を起こすことが報告されている。ただし、インフルエンザウ
イルスなどの感染を契機として aHUS が発症する例もあるので注意が必要である。
・妊娠関連の HELLP 症候群、子癇:HELLP 症候群(妊娠高血圧症に合併する溶血性貧血、肝障害、血小
板減少)、子癇(妊娠中の高血圧症とけいれん)は、分娩により速やかに軽快する。ただし、TTP や aHUS

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