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資料1-2-7診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (46 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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116 アトピー性脊髄炎
○ 概要
1.概要
アトピー性脊髄炎とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などのアトピー素因
を有する患者で見られる脊髄炎である。1997 年に吉良らが4例の高 IgE 血症とアトピー性皮膚炎を伴った、
四肢の異常感覚(じんじん感)を呈し頚髄後索を主病変とする脊髄炎を報告し、アトピー性脊髄炎と命名し
た。
2.原因
本疾患の発症メカニズムは不明である。疾患の定義であるアトピー素因の存在や高 IgE 血症から考える
と、ヘルパーT 細胞の Th バランスは、末梢において主に Th2 に偏っていると思われる。すなわち、Th2 細
胞のシグナルは形質細胞からの IgE 産生を促進し、これにより肥満細胞からヒスタミンなどが遊離し、血管
透過性の亢進を来す。また、Th2 は末梢血好酸球も活性化・増殖させる。末梢組織で増殖した Th2 細胞は
脳脊髄液腔へ侵入し、準備状態となる。実際の患者髄液中では IL-9 と CCL11(eotaxin)の増加が見られる。
CCL11 は好酸球上の CCR3 及び CCR5 と結合し細胞遊走因子として働き、IL-9 は Th2 から Th9 への分化
を誘導すると考えられている。
3.症状
アトピー性脊髄炎は、基礎となるアトピー性疾患の増悪後に発症する傾向がある。発症様式は急性、亜
急性、慢性それぞれ3割で、単相性経過は3割、あとの7割は動揺性に慢性の経過をたどる。初発症状は7
割で四肢遠位部の異常感覚(じんじん感)や感覚鈍麻で、運動障害も6割に見られるが軽症であることが多
い。深部反射は8割で亢進し、排尿障害を伴う事もある。
疾患の定義上、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などを合併する。
4.治療法
村井らによるアトピー脊髄炎患者 26 例の治療効果の検討では、ステロイド(CS)治療のみ又は免疫グロ
ブリン静注療法(IVIg)のみではそれぞれ 72%、60%の患者で臨床症状の改善が見られた。一方、血漿交
換(PE)は単独でも9割の患者で臨床症状の改善が見られ、他の治療と比較し有意に効果的であった。第2
回全国調査では6割で CS 治療が行なわれており、PE は 25%で施行されたに過ぎなかったが、そのうち8
割で有効であった。PE は本疾患の治療としてまだ一般的ではないが、CS 治療に反応しない症例には PE
を積極的に施行すべきである。

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