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【資料No.1】2.4_非臨床試験の概括資料 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第5回 11/22)、医薬品第二部会(令和4年度第13回 11/22)(合同開催)《厚生労働省》
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S-217622

2.4 非臨床の概括評価

いて炎症性細胞浸潤が認められた (2.6.6.3.3 項及び 2.6.6.3.4 項参照).生存例においてはいずれ
の臓器においても実質細胞や血管壁の変性は伴わなかった.上記より,サルに S-217622 フマル
酸共結晶を反復投与した際に認められた炎症性細胞浸潤は,細胞傷害に対する反応や血管壁傷
害に起因したものではないことが示唆された.また,組織球及び形質細胞などの単核炎症細胞
を主体とした炎症性病変は,炎症性病変が背景病変として認められることが知られている臓器
に認められた [23, 24].これらの臓器は外来異物によって炎症が起こりやすい場所と考えられ
ることから,上記の炎症性変化は S-217622 フマル酸共結晶による外来異物に対する免疫機能の
亢進によって誘発された可能性が考えられた.なお,サル 2 週間反復経口投与毒性試験の
50 mg/kg/日投与群の雄,1000/300/100 mg/kg/日投与群の雄及び 300/100 mg/kg/日投与群の雌にお
いて,フィブリノーゲンの増加が認められ,これらは上記の単核炎症細胞を主体とした炎症性
病変に関連した変化であると考えられた.
サル反復経口投与毒性試験で認められた全ての炎症性変化及び炎症性マーカー変動は休薬に
より回復した.
申請用法用量におけるヒト曝露量は,サル 4 週間反復経口投与毒性試験の無毒性量における
曝露量の範囲内 (Cmax:2.7~3.4 倍及び AUC0-24hr:2.3~3.6 倍) にあること (表 2.4.4-2),本剤の
第 1 相及び第 2/3 相試験において,本剤の投与に関連する炎症性マーカーの変動や炎症性変化
を示唆する変化は現時点では認められていないことから (2.5.5.2 項参照),申請用法用量では,
炎症やそれに関連した変化が起こる可能性は低いと考えられる.


ビリルビンの増加
サル 2 週間反復経口投与毒性試験の 50 mg/kg/日以上の投与群及び 4 週間反復経口投与毒性試
験の 30 mg/kg/日投与群において総ビリルビン (T.Bil) 及び直接ビリルビン (D.Bil) の増加が認
められた.T.Bil の増加よりも D.Bil の増加の方が小さく,血清中ビリルビンの増加は I.Bil の増
加が主体であった.しかし,いずれの個体においても血液化学的検査及び病理組織学的検査に
おいて,他に胆汁うっ滞及び肝胆道障害を示唆する変化は認められなかった (2.6.6.3.3 項及び
2.6.6.3.4 項参照).
S-217622 フマル酸共結晶は OATP1B1 及び OATP1B3 阻害作用を有する (2.6.4.7.2 項参照).血
中で生成された I.Bil は,OATP1B1 及び OATP1B3 を介して肝臓中に取り込まれ,グルクロン酸
抱合された後に排泄される [25].サル反復経口投与毒性試験において I.Bil 増加が認められた
30 mg/kg/日以上の用量を投与した際の S-217622 の非結合型 Cmax は 7 µmol/L (総薬物濃度
[211 µg/mL],分子量 [531.88] 及びサル血漿中タンパク結合率 [98.3%] を基に算出) 以上であり
(2.6.6.3.4 項及び 2.6.4.4.1.1 項参照),この値は S-217622 フマル酸共結晶による OATP1B1 阻害作
用の IC50 値 (13.2 µmol/L) に近似し,OATP1B3 阻害作用の IC50 値 (3.51 µmol/L) よりも高かっ
た.このことから,サル反復経口投与毒性試験で認められた血清中ビリルビン値の増加は主に
OATP 阻害が関与していることが示唆された.なお,上述したようにサル 2 週間反復経口投与
毒性試験の 50 mg/kg/日以上の投与群及び 4 週間反復経口投与毒性試験の 30 mg/kg/日投与群で
は血管外溶血が示唆されており,赤血球系パラメータの減少を伴っている個体においては血清
中ビリルビンの増加の要因として血管外溶血も寄与した可能性も考えられる.
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