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【資料No.1】2.4_非臨床試験の概括資料 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第5回 11/22)、医薬品第二部会(令和4年度第13回 11/22)(合同開催)《厚生労働省》
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S-217622

2.4

2.4 非臨床の概括評価

非臨床試験の概括評価

2.4.1

非臨床試験計画概略

2019 年 12 月,中華人民共和国湖北省武漢市において原因不明の肺炎が数ヵ所で集団発生し
ていることが報告された.疫学調査の結果,この肺炎が新型のコロナウイルスの感染によって
発症していることが確認され,その原因ウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルス
(SARS-CoV) -2 と命名された [1].SARS-CoV-2 は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルスと同
様に,その外殻表面にあるスパイクタンパクが,標的である宿主細胞の細胞膜表面に発現する
アンジオテンシン変換酵素 2 (ACE2) に特異的に結合することで,宿主細胞へと侵入する.ACE2
は鼻粘膜上皮細胞,肺胞上皮細胞,小腸の腸上皮細胞などに発現している [1, 2].
また,SARS-CoV-2 は RNA ウイルスのため変異が起こりやすく,主な変異株は世界保健機関
(WHO) により,懸念される変異株 (VOC),注目すべき変異株 (VOI),監視下の変異株 (VUM)
に分類管理されている [3].2022 年 1 月時点で,VOC に指定されている変異株は,アルファ株,
ベータ株,ガンマ株,デルタ株及びオミクロン株があり,オミクロン株は 2021 年 11 月 26 日に
VOC に新たに指定された [4].本邦においても,オミクロン株による感染再拡大が進んでおり,
早急に対策を講じる必要がある.
S-217622 フマル酸共結晶は,塩野義製薬株式会社によって創製された新型コロナウイルス感
染症 (COVID-19) 治療薬である.SARS-CoV-2 遺伝子にコードされる複合タンパク質のプロセ
シング及びウイルス複製に必須である 3C-like (3CL) プロテアーゼを阻害することにより
SARS-CoV-2 の増殖を阻害する.
非臨床試験パッケージは ICH M3(R2) ガイドラインを考慮して作成した.非臨床試験には,
薬理評価 (マウス) 及び毒性評価 (ラット,ウサギ及びサル) に一般的に用いられる動物を用い
た.ヒトで認められた代謝物は,一般毒性試験で用いたラット又はサル,あるいはその両方で
曝露が確認されており,代謝の面でもこれらの動物種で評価することが適切であると判断した.
また,in vivo 試験の投与経路は臨床予定投与経路である経口投与で実施した.
薬効薬理試験として,in vitro 評価では,SARS-CoV-2 3CL プロテアーゼ活性に対する阻害効
果,SARS-CoV-2 感染細胞における抗ウイルス効果,ヒト及びマウス血清の抗 SARS-CoV-2 活性
への影響,S-217622 フマル酸共結晶に対する感受性低下株の分離及び低感受性株の薬剤感受性
を検討した.マウスを用いた in vivo 評価では,S-217622 フマル酸共結晶を感染直後又は感染
24時間後に投与した際の抗ウイルス効果を評価した.また,
S-217622 フマル酸共結晶を感染 24時
間後に投与した際のマウスの体重変化,生存率及び生存期間を確認し,S-217622 フマル酸共結
晶による感染マウスの病態進展抑制効果を評価した.
副次的薬理試験として,各種受容体,イオンチャネル及びトランスポーターに対する阻害作
用,ヒト初代培養細胞及び異なるヒト組織に由来する株化細胞への細胞障害作用並びにミトコ
ンドリアに対する毒性作用について評価した.
安全性薬理試験としては,標準的なコアバッテリー試験である中枢神経系,呼吸系及び心血
管系に及ぼす影響に関する試験を実施した.
薬物動態試験として,S-217622 フマル酸共結晶の吸収,分布,代謝及び排泄について,毒性
試験に用いた同一の動物種であるラット及びサルを使用して in vitro 及び in vivo にて評価し,
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