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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (42 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》 |
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<神経フェリチン症(Neuroferritinopathy:FTL、別名 NBIA3)>
1. 病因遺伝子と概要
脳内鉄沈着神経変性症の中で唯一鉄に直接関連する疾患である。神経フェリチン症は、フェリチン軽鎖遺伝
子 FTL 変異に関連する多彩な神経症候を数十年にわたり認める疾患である。病理学的には変異フェリチン
軽鎖、正常フェリチン軽鎖および重鎖が、神経細胞体及び核内、グリア細胞核内に蓄積する。
(1)遺伝様式:常染色体顕性遺伝(優性遺伝)(遺伝子座 19q13.3-q13.4、原因遺伝子 FTL gene の第4
exon の 460insA 変異、まれに 458dupA、遺伝子産物 FTL:ferritin light chain MIM ID #606159、#
134790)
(2)発症年齢:成人期(平均 39 歳)、小児期発症はまれである。
(3)頻度:不明
2. 臨床症状
成人発症の舞踏運動、またはジストニアを1~2肢に認め、軽度の認知機能障害を伴う。錐体外路症は舞踏
運動が 50%、局所性ジストニア 43%、パーキンソニズム 7.5%で、急性バリスムや顔面痙攣、書痙はまれで
ある。口下顎ジストニアや発声困難が見られる。顔面のジストニアは動作特異的で会話の際に広頸筋や前
頭筋が収縮する、他の脳神経には問題ない。進行すると舞踏運動とジストニア双方が見られるようになる。5
~10 年で他肢に広がり、発症後 20 年くらいで全身性となるが、非対称性である。小脳失調、動作性振戦、
認知症は目立たないことが多い。
458dupA は進行が速く、パーキンソニズムが目立ち、認知障害、小脳失調が見られる(460insA との差異)。
日本人家系(c.469_484dup16nt)も報告され 10 歳代に手指の振戦が見られ、低緊張性で、発声困難、小字
症、歩行障害を示す。振戦は姿勢時が主体で、神経フェリチン症(neuroferritinopathy)で見られる典型的な
錐体外路症状を示さない。
3. 特記すべき検査所見
(1)臨床検査:血清フェリチン濃度はほとんどの男性、更年期以降の女性で低下する。更年期以前の女性
では血清フェリチン濃度の低下は 1/4 に留まる。
(2)脳 MRI 画像:発症早期には赤核、尾状核、淡蒼球、被殻、視床、黒質、大脳皮質が T2 強調画像で低
輝度となる。進行期となり組織障害が増悪すると、淡蒼球、尾状核が高輝度となる。これはおそらく変
性による浮腫、嚢胞と思われる。C468_484dup 16int 症例では小脳萎縮を認める。T2*による撮像の報
告もあり、最早期や発症前症例で淡蒼球や黒質が低輝度となる。
4. 遺伝子診断
FTL 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別診断
ウィルソン Wilson 病、メンケス Menkes 病、αfucosidosis、Glutaric aciduria I、リーLeigh 脳症、神経セロイドリ
ポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチントン Huntington 病、神経有棘赤血球症、βhexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺
伝性小脳性運動失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚
性ニューロパチーⅡC 型(HSNⅡC)、遺伝性パーキンソニズム、遺伝性ジストニアに属する疾患群、脳血管障
害、抗精神病薬などによる遅発性ジストニア、レット Rett 症候群。
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1. 病因遺伝子と概要
脳内鉄沈着神経変性症の中で唯一鉄に直接関連する疾患である。神経フェリチン症は、フェリチン軽鎖遺伝
子 FTL 変異に関連する多彩な神経症候を数十年にわたり認める疾患である。病理学的には変異フェリチン
軽鎖、正常フェリチン軽鎖および重鎖が、神経細胞体及び核内、グリア細胞核内に蓄積する。
(1)遺伝様式:常染色体顕性遺伝(優性遺伝)(遺伝子座 19q13.3-q13.4、原因遺伝子 FTL gene の第4
exon の 460insA 変異、まれに 458dupA、遺伝子産物 FTL:ferritin light chain MIM ID #606159、#
134790)
(2)発症年齢:成人期(平均 39 歳)、小児期発症はまれである。
(3)頻度:不明
2. 臨床症状
成人発症の舞踏運動、またはジストニアを1~2肢に認め、軽度の認知機能障害を伴う。錐体外路症は舞踏
運動が 50%、局所性ジストニア 43%、パーキンソニズム 7.5%で、急性バリスムや顔面痙攣、書痙はまれで
ある。口下顎ジストニアや発声困難が見られる。顔面のジストニアは動作特異的で会話の際に広頸筋や前
頭筋が収縮する、他の脳神経には問題ない。進行すると舞踏運動とジストニア双方が見られるようになる。5
~10 年で他肢に広がり、発症後 20 年くらいで全身性となるが、非対称性である。小脳失調、動作性振戦、
認知症は目立たないことが多い。
458dupA は進行が速く、パーキンソニズムが目立ち、認知障害、小脳失調が見られる(460insA との差異)。
日本人家系(c.469_484dup16nt)も報告され 10 歳代に手指の振戦が見られ、低緊張性で、発声困難、小字
症、歩行障害を示す。振戦は姿勢時が主体で、神経フェリチン症(neuroferritinopathy)で見られる典型的な
錐体外路症状を示さない。
3. 特記すべき検査所見
(1)臨床検査:血清フェリチン濃度はほとんどの男性、更年期以降の女性で低下する。更年期以前の女性
では血清フェリチン濃度の低下は 1/4 に留まる。
(2)脳 MRI 画像:発症早期には赤核、尾状核、淡蒼球、被殻、視床、黒質、大脳皮質が T2 強調画像で低
輝度となる。進行期となり組織障害が増悪すると、淡蒼球、尾状核が高輝度となる。これはおそらく変
性による浮腫、嚢胞と思われる。C468_484dup 16int 症例では小脳萎縮を認める。T2*による撮像の報
告もあり、最早期や発症前症例で淡蒼球や黒質が低輝度となる。
4. 遺伝子診断
FTL 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別診断
ウィルソン Wilson 病、メンケス Menkes 病、αfucosidosis、Glutaric aciduria I、リーLeigh 脳症、神経セロイドリ
ポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチントン Huntington 病、神経有棘赤血球症、βhexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺
伝性小脳性運動失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚
性ニューロパチーⅡC 型(HSNⅡC)、遺伝性パーキンソニズム、遺伝性ジストニアに属する疾患群、脳血管障
害、抗精神病薬などによる遅発性ジストニア、レット Rett 症候群。
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