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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (47 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》 |
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<無セルロプラスミン血症 Aceruloplaminemia/遺伝性セルロプラスミン欠損症(Hereditary ceruloplasmin
deficiency)>
1. 病因遺伝子と概要
無セルロプラスミン血症(Aceruloplasminemia)は鉄が脳と内臓に蓄積する疾患である。糖尿病(神経所見に
10 年以上先行することがある)、網膜色素変性症、神経症状を 3 主徴とする。日本人に多い。
(1)遺伝様式:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(遺伝子座 3q23-q24、原因遺伝子 CP、ホモ接合体とヘテロ
接合体があり、ほとんどがホモ接合体、遺伝子産物 セルロプラスミン(ceruloplasmin)、MIM ID #
604290)
(2)発症年齢:成人期発症(平均 51 歳)、60~70 歳代に死亡する症例が多い。
(3)頻度:5000 人、1/2,000,000 人(日本)
2. 臨床症状
(1)糖尿病
(2)中枢神経症状:神経症状としては認知障害、頭部顔面ジスキネジア、顔面頸部のジストニア、小脳失調
が多くの症例で見られる。舞踏運動、パーキンソニズムも頻度が高い。神経症状は 30~50 歳代に発現
することが多い。精神症状としてはうつ、認知障害があり、50 歳以上で見られる。
神経所見は様々で小脳失調、姿勢時振戦、舞踏運動-アテトーシスの報告がある。
(3)網膜色素変性症: 93%の症例で見られるが、視力は保たれることが多い。
3. 特記すべき検査所見
(1)一般検査所見:糖尿病で本症が発症することが多い(20~40 歳代)。コントロール不良例が多い。小球
性低色素性貧血を認める。貧血は見かけ上は鉄欠乏貧血であるが、鉄不応性である。糖尿病発症前
に貧血が先行することもある。ホモ接合体では血清セルロプラスミンはなく、フェリチン濃度が上昇(正常
の 12 倍程度)をみる。血清セルロプラスミン、フェロキシダーゼ活性は無く、血清銅(10µg/dL 以下)、鉄
濃度(45µg/dL 以下)は低下する。ヘテロ接合体では血清セルロプラスミンレベルは正常の約 1/2 であ
る肝臓の鉄濃度は増大する。
(2)脳 MRI 画像 :T2 強調画像で大脳および小脳、淡蒼球、尾状核、被殻、視床、赤核、黒質で低輝度を認
め、FDG-PET で発症早期には尾状核の低代謝、進行期には基底核、大脳皮質にまで低代謝領域が広
がる。ヘテロ接合体の MRI では小脳萎縮のみが報告されている。
(3)内臓 MRI 画像:鉄濃度の増大は内臓でも見られ、肝臓で著しい。
4. 遺伝子診断
CP 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別疾患
HFA-associated hereditary hemochromatosis、ウィルソン Wilson 病、メンケス Menkes 病、αfucosidosis、
Glutaric aciduria I、リーLeigh 脳症、神経セロイドリポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチント
ン Huntington 病、神経有棘赤血球症、β-hexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマ
ン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺伝性小脳性運動失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症
(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚性ニューロパチーⅡC 型(HSNⅡC)、遺伝性パーキンソ
ニズム、遺伝性ジストニアに属する疾患群、脳血管障害、抗精神病薬などによる遅発性ジストニア、レット
Rett 症候群。
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deficiency)>
1. 病因遺伝子と概要
無セルロプラスミン血症(Aceruloplasminemia)は鉄が脳と内臓に蓄積する疾患である。糖尿病(神経所見に
10 年以上先行することがある)、網膜色素変性症、神経症状を 3 主徴とする。日本人に多い。
(1)遺伝様式:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(遺伝子座 3q23-q24、原因遺伝子 CP、ホモ接合体とヘテロ
接合体があり、ほとんどがホモ接合体、遺伝子産物 セルロプラスミン(ceruloplasmin)、MIM ID #
604290)
(2)発症年齢:成人期発症(平均 51 歳)、60~70 歳代に死亡する症例が多い。
(3)頻度:5000 人、1/2,000,000 人(日本)
2. 臨床症状
(1)糖尿病
(2)中枢神経症状:神経症状としては認知障害、頭部顔面ジスキネジア、顔面頸部のジストニア、小脳失調
が多くの症例で見られる。舞踏運動、パーキンソニズムも頻度が高い。神経症状は 30~50 歳代に発現
することが多い。精神症状としてはうつ、認知障害があり、50 歳以上で見られる。
神経所見は様々で小脳失調、姿勢時振戦、舞踏運動-アテトーシスの報告がある。
(3)網膜色素変性症: 93%の症例で見られるが、視力は保たれることが多い。
3. 特記すべき検査所見
(1)一般検査所見:糖尿病で本症が発症することが多い(20~40 歳代)。コントロール不良例が多い。小球
性低色素性貧血を認める。貧血は見かけ上は鉄欠乏貧血であるが、鉄不応性である。糖尿病発症前
に貧血が先行することもある。ホモ接合体では血清セルロプラスミンはなく、フェリチン濃度が上昇(正常
の 12 倍程度)をみる。血清セルロプラスミン、フェロキシダーゼ活性は無く、血清銅(10µg/dL 以下)、鉄
濃度(45µg/dL 以下)は低下する。ヘテロ接合体では血清セルロプラスミンレベルは正常の約 1/2 であ
る肝臓の鉄濃度は増大する。
(2)脳 MRI 画像 :T2 強調画像で大脳および小脳、淡蒼球、尾状核、被殻、視床、赤核、黒質で低輝度を認
め、FDG-PET で発症早期には尾状核の低代謝、進行期には基底核、大脳皮質にまで低代謝領域が広
がる。ヘテロ接合体の MRI では小脳萎縮のみが報告されている。
(3)内臓 MRI 画像:鉄濃度の増大は内臓でも見られ、肝臓で著しい。
4. 遺伝子診断
CP 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別疾患
HFA-associated hereditary hemochromatosis、ウィルソン Wilson 病、メンケス Menkes 病、αfucosidosis、
Glutaric aciduria I、リーLeigh 脳症、神経セロイドリポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチント
ン Huntington 病、神経有棘赤血球症、β-hexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマ
ン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の遺伝性小脳性運動失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症
(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性感覚性ニューロパチーⅡC 型(HSNⅡC)、遺伝性パーキンソ
ニズム、遺伝性ジストニアに属する疾患群、脳血管障害、抗精神病薬などによる遅発性ジストニア、レット
Rett 症候群。
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