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(資料5-2)「精神医療審査会について」(田村構成員提出資料) (26 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24234.html |
出典情報 | 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会(第6回 3/3)《厚生労働省》 |
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2.審査会事務局の体制と権利擁護機能
本調査による分析結果から、事務局に精神保健福祉士が配置されている審査会において
は、配置していない審査会に比べ、短期再請求の意見聴取をしている割合が有意に多いこ
とが確認された。さらに、事務局に精神保健福祉士を継続的に配置している審査会におい
ては、継続的に配置していない審査会に比べ、審査マニュアル(審査にあたり判断の基準
となるもの)がある場合が有意に多く、短期再請求の意見聴取をしている場合も有意に多
いことや、退院請求等の審査終了までの平均日数についても有意に短かいことが明らかに
なった。
入院者の権利擁護のための取り組み・工夫に関する自由記述においても、審査会事務局
に精神保健福祉士を継続配置している自治体の回答の中には、請求内容を直接請求者に対
面により聴取する等をしているとの記載もある。事務局における保健師や事務職などの配
置の有無による比較では、審査会機能に関する変数での統計的な有意差は見られていない
ことから、事務局における精神保健福祉士の配置は他職種以上に、審査会機能に変化をも
たらしうるものであることが示唆される。精神保健福祉士の継続的な配置によって、法や
事務処理要領で規定されている以上の取り組みがされ、事務局として権利擁護機能を発揮
していると考えられる。審査会事務局における精神保健福祉士の継続的配置ができる体制
を進めていくことも重要と思われる。
3.審査会委員の状況と権利擁護機能
全自治体における審査会委員の総数の内訳は、医療委員が最も多く 52.38%で、次いで
保健福祉委員が 25.43%、法律家が 22.18%となっており、過半数を医療委員が占めてい
る状況である。審査の質を問うことに限界はあるが、前述の通り、書類審査の総審査件数
のうち、「現形態が適切」という結果がほぼ 100%である現状については、審査委員の割合
が影響しているとの疑念も指摘されており、それを払拭するためにも、各合議体の内訳に
ついて医療委員以外が過半数になるように構成するなどの変更が必要と考える。
保健福祉委員のうち、精神保健福祉士は6割以上(66.03%)を占める状況も明らかに
なった。しかし、精神保健福祉士を選任する条件を定めている自治体は 18%程度にとどま
っている。選出される精神保健福祉士の質の担保として、推薦基準の明確化が必要と思わ
れる。そのために、本協会の認定精神保健福祉士の活用を進めていくことも有用と考え
る。
保健福祉委員の質の向上に関する研修については、平成 30(2018)年の本協会のアンケ
ート調査では、32%の自治体で「実施している」との回答であったが(公益社団法人日本
精神保健福祉士協会,2018)
、本調査では、3.23%(2自治体)となっており、ほとんど
の自治体で実施されていなかった。法改正後数年が経ち、研修が継続されていない現状が
あることが把握できた。精神障害者の社会的復権と権利擁護を専門性に据える精神保健福
祉士として、保健福祉委員の質の向上と担保を図るための研修会の開催や質を評価する仕
26
本調査による分析結果から、事務局に精神保健福祉士が配置されている審査会において
は、配置していない審査会に比べ、短期再請求の意見聴取をしている割合が有意に多いこ
とが確認された。さらに、事務局に精神保健福祉士を継続的に配置している審査会におい
ては、継続的に配置していない審査会に比べ、審査マニュアル(審査にあたり判断の基準
となるもの)がある場合が有意に多く、短期再請求の意見聴取をしている場合も有意に多
いことや、退院請求等の審査終了までの平均日数についても有意に短かいことが明らかに
なった。
入院者の権利擁護のための取り組み・工夫に関する自由記述においても、審査会事務局
に精神保健福祉士を継続配置している自治体の回答の中には、請求内容を直接請求者に対
面により聴取する等をしているとの記載もある。事務局における保健師や事務職などの配
置の有無による比較では、審査会機能に関する変数での統計的な有意差は見られていない
ことから、事務局における精神保健福祉士の配置は他職種以上に、審査会機能に変化をも
たらしうるものであることが示唆される。精神保健福祉士の継続的な配置によって、法や
事務処理要領で規定されている以上の取り組みがされ、事務局として権利擁護機能を発揮
していると考えられる。審査会事務局における精神保健福祉士の継続的配置ができる体制
を進めていくことも重要と思われる。
3.審査会委員の状況と権利擁護機能
全自治体における審査会委員の総数の内訳は、医療委員が最も多く 52.38%で、次いで
保健福祉委員が 25.43%、法律家が 22.18%となっており、過半数を医療委員が占めてい
る状況である。審査の質を問うことに限界はあるが、前述の通り、書類審査の総審査件数
のうち、「現形態が適切」という結果がほぼ 100%である現状については、審査委員の割合
が影響しているとの疑念も指摘されており、それを払拭するためにも、各合議体の内訳に
ついて医療委員以外が過半数になるように構成するなどの変更が必要と考える。
保健福祉委員のうち、精神保健福祉士は6割以上(66.03%)を占める状況も明らかに
なった。しかし、精神保健福祉士を選任する条件を定めている自治体は 18%程度にとどま
っている。選出される精神保健福祉士の質の担保として、推薦基準の明確化が必要と思わ
れる。そのために、本協会の認定精神保健福祉士の活用を進めていくことも有用と考え
る。
保健福祉委員の質の向上に関する研修については、平成 30(2018)年の本協会のアンケ
ート調査では、32%の自治体で「実施している」との回答であったが(公益社団法人日本
精神保健福祉士協会,2018)
、本調査では、3.23%(2自治体)となっており、ほとんど
の自治体で実施されていなかった。法改正後数年が経ち、研修が継続されていない現状が
あることが把握できた。精神障害者の社会的復権と権利擁護を専門性に据える精神保健福
祉士として、保健福祉委員の質の向上と担保を図るための研修会の開催や質を評価する仕
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