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07【参考資料2】肺炎球菌コンジュゲートワクチン(小児用)作業チーム報告書 (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40343.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第25回 5/23)《厚生労働省》 |
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③ 厚生労働科学研究班による分析
平成 21 年出生コホート(107.8 万人)を対象に、肺炎球菌コンジュゲートワ
ク チ ン ( 小 児 用 ) を 投 与 し た 場 合 と 投 与 し な か っ た 場 合 の QALY
(quality-adjusted life year)並びに医療費の比較を行った。米国で実施された
Lieu ら 2 のマルコフモデル(図 1)に従って、肺炎球菌による感染症として髄
膜炎、菌血症、肺炎、中耳炎を取り扱い、1 ヶ月周期で状態が変化すると仮定し
て分析を行った。厚生労働科学研究「ワクチンの医療経済性の評価」研究班(班
長 池田俊也)で定めた「ワクチン接種の費用対効果推計法」に従い分析期間
は生涯、割引率は年率 3%とし、感度分析で年率を 0%から 5%に変化させた場
合の影響を見た。また、接種率は 2008 年麻疹ワクチン接種実績相当(1 歳 94.3%)
とした。医療費に関しては保健医療費のみを考慮した場合(保健医療費支払者
の視点)と、保健医療費に加え、非保健医療費と生産性損失を考慮した場合(社
会の視点)に分けて分析を行った。その他、ワクチン効果、移行確率、医療費
等に関するデータは先行研究に従った 1。
その結果を表 2 に示す。効果に関しては、髄膜炎後の後遺症が生じた場合の
効用値を難聴(0.675)
、水頭症(0.675)、てんかん(0.664)、発育遅滞(0.350)、
麻痺(0.310)として QALY を計算した結果、ワクチンを投与した場合の 1 人当
たりの QALY は 29.9680QALY、非投与の場合は 29.9675QALY であり、ワクチ
ン投与によって 0.0004QALY 余分に獲得出来る、これを出生コホート 107.0 万
人当たりで計算し、接種率を考慮すると 438.2QALY 分に相当する。
費用に関してはワクチン投与によって感染症や後遺症にかかる費用が減るこ
とによって、保健医療費としてはコホート全体で総額 242.7 億円の削減となる。
非保健医療費および生産性損失を加えた場合、総額 590.6 億円の削減となる。
さらに早期に死亡することによって失われる生産性損失(死亡費用)は総額 5.4
億円と推計される。一方、予防接種にかかる費用は、ワクチン代と接種代を合
わせて 1 回 11,109 円(消費税 5%を含む)、4 回接種した場合の総額は、割引率
3%のもと、接種率を考慮すると 442.2 億円となる。子供の接種に付き添う親の
労働損失について、1 回の接種で半日分 (3800 円)の労働損失を計上すると、総
額では 151.3 億円となる。
保健医療費支払者の視点で分析を行った場合、ワクチン接種費が高額である
ため、ワクチン接種によって削減できる保健医療費を上回る。費用効果分析を
行った場合、感染予防によって期待される獲得 QALY 数がコホート全体で
438.2QALY と尐ないため、ICER(1QALY を追加で獲得するための費用)は
4,554.6 万円となる。これは、ワクチン接種費用の設定によって結果は大きく変
動し、ワクチン接種費を 1 回 6,090 円まで下げることによって、ワクチン接種
費と感染予防によって削減される医療費が同額となる。なお、ワクチン接種費
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平成 21 年出生コホート(107.8 万人)を対象に、肺炎球菌コンジュゲートワ
ク チ ン ( 小 児 用 ) を 投 与 し た 場 合 と 投 与 し な か っ た 場 合 の QALY
(quality-adjusted life year)並びに医療費の比較を行った。米国で実施された
Lieu ら 2 のマルコフモデル(図 1)に従って、肺炎球菌による感染症として髄
膜炎、菌血症、肺炎、中耳炎を取り扱い、1 ヶ月周期で状態が変化すると仮定し
て分析を行った。厚生労働科学研究「ワクチンの医療経済性の評価」研究班(班
長 池田俊也)で定めた「ワクチン接種の費用対効果推計法」に従い分析期間
は生涯、割引率は年率 3%とし、感度分析で年率を 0%から 5%に変化させた場
合の影響を見た。また、接種率は 2008 年麻疹ワクチン接種実績相当(1 歳 94.3%)
とした。医療費に関しては保健医療費のみを考慮した場合(保健医療費支払者
の視点)と、保健医療費に加え、非保健医療費と生産性損失を考慮した場合(社
会の視点)に分けて分析を行った。その他、ワクチン効果、移行確率、医療費
等に関するデータは先行研究に従った 1。
その結果を表 2 に示す。効果に関しては、髄膜炎後の後遺症が生じた場合の
効用値を難聴(0.675)
、水頭症(0.675)、てんかん(0.664)、発育遅滞(0.350)、
麻痺(0.310)として QALY を計算した結果、ワクチンを投与した場合の 1 人当
たりの QALY は 29.9680QALY、非投与の場合は 29.9675QALY であり、ワクチ
ン投与によって 0.0004QALY 余分に獲得出来る、これを出生コホート 107.0 万
人当たりで計算し、接種率を考慮すると 438.2QALY 分に相当する。
費用に関してはワクチン投与によって感染症や後遺症にかかる費用が減るこ
とによって、保健医療費としてはコホート全体で総額 242.7 億円の削減となる。
非保健医療費および生産性損失を加えた場合、総額 590.6 億円の削減となる。
さらに早期に死亡することによって失われる生産性損失(死亡費用)は総額 5.4
億円と推計される。一方、予防接種にかかる費用は、ワクチン代と接種代を合
わせて 1 回 11,109 円(消費税 5%を含む)、4 回接種した場合の総額は、割引率
3%のもと、接種率を考慮すると 442.2 億円となる。子供の接種に付き添う親の
労働損失について、1 回の接種で半日分 (3800 円)の労働損失を計上すると、総
額では 151.3 億円となる。
保健医療費支払者の視点で分析を行った場合、ワクチン接種費が高額である
ため、ワクチン接種によって削減できる保健医療費を上回る。費用効果分析を
行った場合、感染予防によって期待される獲得 QALY 数がコホート全体で
438.2QALY と尐ないため、ICER(1QALY を追加で獲得するための費用)は
4,554.6 万円となる。これは、ワクチン接種費用の設定によって結果は大きく変
動し、ワクチン接種費を 1 回 6,090 円まで下げることによって、ワクチン接種
費と感染予防によって削減される医療費が同額となる。なお、ワクチン接種費
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