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資料1 社会保障 (66 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20220411.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度分科会(4/13)《財務省》 |
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都道府県医療費適正化計画と保険者のあり方
〇 医療費適正化における予防・健康づくりの重視は、保険者のあり方にも影響を与えている。
〇 すなわち、保険者にとっては、医療費適正化効果が明確な取組は、保険料負担の抑制を通じ、被保険者全体が裨益することになるため、事業として取り組む正当性が高
い。
ところが、予防・健康づくりは、こうした観点からの検証が不十分なまま、各種制度で保険者による取組が強力に推進されており、日本の健診はOECDでも厳しい指摘を受け
ている。
〇 もちろん、予防・健康づくりは個々人のQOLの向上という大きな価値をもたらし得るものである。ただし、企業等が従業員等の福利厚生のために行う事業や市町村が住民福
祉の向上のために行うべき保健事業として推進すべきものであって、保険者が他の医療費適正化策より優先して行うべき事業として位置づけることは妥当でなく、「保険」と
「保健」を徒に混同しないことが求められている。
◆保険者における予防・健康づくり等のインセンティブ制度
保険者
種別
手法等
健康保険組合・共済組合
協会けんぽ
後期高齢者支援金の加算・減算制度
⇒ 加算率:最大10%
減算率:最大10%
加入者・事業主等の行動努力に
係る評価指標の結果を都道府県
支部ごとの保険料率に反映
国保(都道府県・市町村)
後期高齢者医療広域連合
保険者努力支援制度
(1,500億円※)
各広域連合の取組等を特別調
整交付金に反映
※うち以下の共通指標・独自指標に (100億円)
関する部分は、1,000億円程度。
共通
指標
①特定健診・保健指導、②特定健診以外の健診(がん検診、歯科健診など)、 ③糖尿病等の重症化予防、④ヘルスケアポイントなどの
個人へのインセンティブ等、⑤重複頻回受診・重複投薬・多剤投与等の防止対策、⑥後発医薬品の使用促進
独自
指標
・被扶養者の健診実施率向上
・事業主との連携(受動喫煙防止等)
等の取組を評価
医療機関への受診勧奨を受けた
要治療者の医療機関受診率等
◆OECD Reviews of Public Health : Japan (公衆衛生白書:日本 明日の
ための健康づくり, 2019年2月)
・(日本における)二次予防戦略は、OECD諸国の中でも独特のもの[unique]で
あり、多くの国民をカバーする、広範囲の検診や検査は、OECD諸国の医療制度全
体を通しても、一般的なものとはほど遠い[far from common]
・全ての健診が、集団の健康と費用節減の両方の観点から、制度に価値をもたらして
いるか、明らかでない[not clear that all tests are adding value to the system]
・現在の健康診断について経済的な評価を行い、金額に見合う価値のない健康診
断をなくすことを注視する。
保険料収納率向上等
高齢者の特性(フレイルな
ど)を踏まえた保健事業の実
施等
◆海外の論文等
① Joshua T. Cohen, Peter J, Neumann, Milton C. Weinstein 「Does Preventive
Care Save Money?
Health Economics and the Presidential Candidates」(2008年)の研究結果
・ 予防医療の費用対効果に関する1500の研究結果のうち、医療費削減を効果を認めた予防
医療サービスは20%以下。
② Louise B. Russell、 Health Affairs (2009年) (抄訳)
・ 過去40年間以上にわたり、数百の費用対効果の研究が行われたが、そのほとんどは、予防医
療は医療費を削減するのではなく、むしろ増加させることを示している。
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〇 医療費適正化における予防・健康づくりの重視は、保険者のあり方にも影響を与えている。
〇 すなわち、保険者にとっては、医療費適正化効果が明確な取組は、保険料負担の抑制を通じ、被保険者全体が裨益することになるため、事業として取り組む正当性が高
い。
ところが、予防・健康づくりは、こうした観点からの検証が不十分なまま、各種制度で保険者による取組が強力に推進されており、日本の健診はOECDでも厳しい指摘を受け
ている。
〇 もちろん、予防・健康づくりは個々人のQOLの向上という大きな価値をもたらし得るものである。ただし、企業等が従業員等の福利厚生のために行う事業や市町村が住民福
祉の向上のために行うべき保健事業として推進すべきものであって、保険者が他の医療費適正化策より優先して行うべき事業として位置づけることは妥当でなく、「保険」と
「保健」を徒に混同しないことが求められている。
◆保険者における予防・健康づくり等のインセンティブ制度
保険者
種別
手法等
健康保険組合・共済組合
協会けんぽ
後期高齢者支援金の加算・減算制度
⇒ 加算率:最大10%
減算率:最大10%
加入者・事業主等の行動努力に
係る評価指標の結果を都道府県
支部ごとの保険料率に反映
国保(都道府県・市町村)
後期高齢者医療広域連合
保険者努力支援制度
(1,500億円※)
各広域連合の取組等を特別調
整交付金に反映
※うち以下の共通指標・独自指標に (100億円)
関する部分は、1,000億円程度。
共通
指標
①特定健診・保健指導、②特定健診以外の健診(がん検診、歯科健診など)、 ③糖尿病等の重症化予防、④ヘルスケアポイントなどの
個人へのインセンティブ等、⑤重複頻回受診・重複投薬・多剤投与等の防止対策、⑥後発医薬品の使用促進
独自
指標
・被扶養者の健診実施率向上
・事業主との連携(受動喫煙防止等)
等の取組を評価
医療機関への受診勧奨を受けた
要治療者の医療機関受診率等
◆OECD Reviews of Public Health : Japan (公衆衛生白書:日本 明日の
ための健康づくり, 2019年2月)
・(日本における)二次予防戦略は、OECD諸国の中でも独特のもの[unique]で
あり、多くの国民をカバーする、広範囲の検診や検査は、OECD諸国の医療制度全
体を通しても、一般的なものとはほど遠い[far from common]
・全ての健診が、集団の健康と費用節減の両方の観点から、制度に価値をもたらして
いるか、明らかでない[not clear that all tests are adding value to the system]
・現在の健康診断について経済的な評価を行い、金額に見合う価値のない健康診
断をなくすことを注視する。
保険料収納率向上等
高齢者の特性(フレイルな
ど)を踏まえた保健事業の実
施等
◆海外の論文等
① Joshua T. Cohen, Peter J, Neumann, Milton C. Weinstein 「Does Preventive
Care Save Money?
Health Economics and the Presidential Candidates」(2008年)の研究結果
・ 予防医療の費用対効果に関する1500の研究結果のうち、医療費削減を効果を認めた予防
医療サービスは20%以下。
② Louise B. Russell、 Health Affairs (2009年) (抄訳)
・ 過去40年間以上にわたり、数百の費用対効果の研究が行われたが、そのほとんどは、予防医
療は医療費を削減するのではなく、むしろ増加させることを示している。
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