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令和3年度老健事業「介護経営の大規模化・協働化に関する調査研究事業」 (12 ページ)

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出典情報 介護施設・事業所の協働化・大規模化(9/19)《厚生労働省》
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大規模化に期待したこと、うまくいかなかったこと、苦労したこと

⿟新たに施設を設立する際は地元の理解を得るのに最も苦労する。結核の保養所の設立が最も大変だったと思われ
る。地元に大反対を受け、建設予定地を変更することとなった。予定地変更後は、理解ある住民の応援が得られ、地
元の説得に協力してもらうなどしてようやく設立することができた。
⿟独自に障害者施設を設立したときも、地元の理解を得るため根気よく関係者へ訪問したが、同意を得るのは非常に
大変だった。
⿟運営に当たっては、職員の確保(医師、資格従事者(特に介護職員))が一番の問題。小規模な組織から大規模化した
ために、組織内の制度的な問題もある。職員の退職金制度が施設ごとに異なっているなど、施設間のバランスをと
ることが難しい。法定労働時間についても介護は週40時間、病院は週37.5時間、
こども園もまた異なるなど、法人
の中で条件が複数あるという点が課題となっている。

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大 規 模 化 前 後にお ける経営マネジメントの変化

⿟大規模化、施設数が多くなったことの良い面としては、有資格者の確保や金銭面でのメリットがある。小さい施設の
場合、例えば管理栄養士ひとりがやめるとなったら大変なことになるが、規模が大きいと法人内の複数の施設で有
資格者を確保できるため、一時的な人員減少の際も融通が利く。また、金銭面では、拠点間の資金移動がゆるやか
なため、病院はかなり赤字だが、他の事業で補填することができている。小規模の場合、病院の赤字が続くと閉じる
しかない。大規模の場合は一部が赤字でも全体として考えることができる。ただ、いずれも目的としていたわけでな
く結果的にそうなった形である。

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その他

⿟大規模化を目的として展開してきたのではなく、地域ニーズに応えていく中で結果的に大規模になったというのが
理想的であるべき姿だと思う。大規模化自体が目的になると歪みが生じる。今回の研究も大規模化自体を目的とす
るのではなく、拡大が必要となった際にどうすればできるかの参考にしたいと考えている。

質疑応答
Q 教育に力を入れているという話を聞いたが、施設横断での取り組みか。
A 各施設の取り組みについての情報を持ち寄っての研究発表会を開催しており、毎回数百人が集
まっている。それぞれの現場でも看護師、栄養士、介護職など横のつながりを持って情報交換し
ている。
質問者:それらの取り組みが離職率低下、職員の定着に繋がっているのだと思う。

Q M&Aについて困ったことなどはあったか。
A 土地も建物も所有者が不明で苦労したことがあったが、その時は役員の弁護士が色々調べて解
決してくれた。

Q 経営を引き受けた施設等について、経営困難だった状況を立て直すことができたのは何が理由
か。

A きちんと身を入れて取り組むかどうか。誠実にその事業に取り組めるかどうかが大事なのでは
ないかと考えている。

Q 病院を中心に児童や介護など、地域のニーズに応えていることもそうだが、人口動態も踏まえて
おり、ポートフォリオとして安定している。財政面では病院以外で補填して全体が黒字となって

いるとのことだが、具体的にどこの収益が大きいか。過去と比べてどのように変化してきたか。
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A かつては病院も赤字ではなかった。いまは慢性期だが、急性期の頃は黒字だった。その黒字をつ

かって特養を設立した。大規模の特養は収益が上がるが、小規模特養は採算をとるのが難しい。

ただ、特養利用者にとっても、
サービス付き高齢者住宅利用者にとっても、法人として病院が併
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