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令和3年度老健事業「介護経営の大規模化・協働化に関する調査研究事業」 (9 ページ)
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出典情報 | 介護施設・事業所の協働化・大規模化(9/19)《厚生労働省》 |
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大規模化に期待したこと、うまくいかなかったこと、苦労したこと
サ付きの経営は介護保険事業とは根本的に異なり、利用者の確保には戦略が必要であったが、その重要性が十分
に認識されておらず、集客のための工夫が乏しかったこともあり当初非常に苦労した。有料老人ホームの集客事業
者とネットワークを組む等様々な媒体を活用しながら周知に努めたことや、口コミによる友人紹介、さらに自治体の
生活保護担当者との連携、医療機関への情報提供等により利用者確保に結びついていった。
サ付きは基本的に住まいの提供に留まる。介護・医療サービスはついているが、選択してくれるのであれば提供する
という考えで運営しており利用者に提供するサービスにおける囲い込みはやらないこととしている。ファーストコン
タクトの段階から、そうしたことを問い合わせてくる利用者もいた。費用的には月額15万円くらいであり、誰でも入
れるというものでもなく、本来は月額10万円程度で安心して住むことができる住まいがあると良いのだろうとは感
じる。
小多機については、サービス機能を理解していないケアマネジャージャーが多く、また、他の事業所からすると利用
者を取られることにもなるので利用者を獲得することが困難であった。29人の利用登録者がいても通所介護の定
員は18名、部屋も9室しかないため、小多機のケアマネジャーは家族の要望を受け止めつつ現場のシフト管理等に
落とし込まなければいけないため、高度なテクニック
(専門性と調整力など)が必要とされること等、人財確保の面
で難しさがあった。
一方で、小多機は時々の利用者や家族の状況を把握し、必要なサービスを柔軟に組み合わせながら暮らしを支える
ことができることが強みである。そのため、高齢者が元気な段階から小多機の存在を知っていれば地域で暮らし続
けることの不安が軽減されるのではないかと思っている。新しく作っている小多機には交流スペースを設置し、地域
の方に理解してもらう、介護サービスを使うことに慣れてもらうようにしている。事前に情報を持っていることにより
いざというときにどれだけ安心するか、地域社会に対して更なる広報活動をしていかなければと思っている。
4
事業 展 開 前 後にお ける経営マネジメントの変化
マネジメント手法について
2017~2019年度までは赤字であり、2020年度は黒字転換するものの特養は依然として赤字状態であり特
に人件費が圧迫していた。特養における人件費率は8割を超えていたため、宿直の外部委託、清掃の外部委託を廃
止、特養100床に対し6人の夜勤者を設置していたものを運用効率の見直しにより5人にするなどした。その一方
で現場に配置する介護職員を減らすということは極力しないように工夫している。これにより、今年度になって黒字
化し、また、離職率の減少にもつながった。
以前はトップマネジメントで組織が運営されていたが、地域を基盤にした組織体制に整え、併せて次世代リーダーを
登用し事業部としてスタートさせた。中央集権型組織から現場への権限移譲を意図した「アメーバ経営」を導入、事
業部長を中心にした経営体へと転換した。事業部では採算管理を各事業管理者とともに毎月実施、
「事業部会議」で
は財務知識に関するトレーニングし、当事者意識を醸成した。
事業所の多い法人だと、本部の方針がなかなか伝わりにくいということがあるが、アメーバ経営により、現場の若い
リーダーが、法人の経営状況を理解し、当事者意識を持つに至った。それぞれの事業所がそれぞれで自らの収支を
把握し、日常業務の改善を図りそれら取組が数字にどう反映されるのかを理解できるようになったことで改善への
意識づけに繋がった。現場のリーダーにとってマイナスな意識づけに偏らなかった要因としては、目標設定は本部か
ら提示したことはなく、現場で設定したことが考えられる。結果として現場の自主的取り組みとして機能し、
トップダ
ウンの形ではなく主体性を持った取り組みになった。
法人では毎月重要な会議を二つ設定しており、一つは若いリーダーが中心の事業部会議、もう一つは同じサービス
種別ごとの種別会議がある。種別会議では介護の質を重視する会議として実施しており、経営の軸が偏らないよう
にしている。
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大規模化に期待したこと、うまくいかなかったこと、苦労したこと
サ付きの経営は介護保険事業とは根本的に異なり、利用者の確保には戦略が必要であったが、その重要性が十分
に認識されておらず、集客のための工夫が乏しかったこともあり当初非常に苦労した。有料老人ホームの集客事業
者とネットワークを組む等様々な媒体を活用しながら周知に努めたことや、口コミによる友人紹介、さらに自治体の
生活保護担当者との連携、医療機関への情報提供等により利用者確保に結びついていった。
サ付きは基本的に住まいの提供に留まる。介護・医療サービスはついているが、選択してくれるのであれば提供する
という考えで運営しており利用者に提供するサービスにおける囲い込みはやらないこととしている。ファーストコン
タクトの段階から、そうしたことを問い合わせてくる利用者もいた。費用的には月額15万円くらいであり、誰でも入
れるというものでもなく、本来は月額10万円程度で安心して住むことができる住まいがあると良いのだろうとは感
じる。
小多機については、サービス機能を理解していないケアマネジャージャーが多く、また、他の事業所からすると利用
者を取られることにもなるので利用者を獲得することが困難であった。29人の利用登録者がいても通所介護の定
員は18名、部屋も9室しかないため、小多機のケアマネジャーは家族の要望を受け止めつつ現場のシフト管理等に
落とし込まなければいけないため、高度なテクニック
(専門性と調整力など)が必要とされること等、人財確保の面
で難しさがあった。
一方で、小多機は時々の利用者や家族の状況を把握し、必要なサービスを柔軟に組み合わせながら暮らしを支える
ことができることが強みである。そのため、高齢者が元気な段階から小多機の存在を知っていれば地域で暮らし続
けることの不安が軽減されるのではないかと思っている。新しく作っている小多機には交流スペースを設置し、地域
の方に理解してもらう、介護サービスを使うことに慣れてもらうようにしている。事前に情報を持っていることにより
いざというときにどれだけ安心するか、地域社会に対して更なる広報活動をしていかなければと思っている。
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事業 展 開 前 後にお ける経営マネジメントの変化
マネジメント手法について
2017~2019年度までは赤字であり、2020年度は黒字転換するものの特養は依然として赤字状態であり特
に人件費が圧迫していた。特養における人件費率は8割を超えていたため、宿直の外部委託、清掃の外部委託を廃
止、特養100床に対し6人の夜勤者を設置していたものを運用効率の見直しにより5人にするなどした。その一方
で現場に配置する介護職員を減らすということは極力しないように工夫している。これにより、今年度になって黒字
化し、また、離職率の減少にもつながった。
以前はトップマネジメントで組織が運営されていたが、地域を基盤にした組織体制に整え、併せて次世代リーダーを
登用し事業部としてスタートさせた。中央集権型組織から現場への権限移譲を意図した「アメーバ経営」を導入、事
業部長を中心にした経営体へと転換した。事業部では採算管理を各事業管理者とともに毎月実施、
「事業部会議」で
は財務知識に関するトレーニングし、当事者意識を醸成した。
事業所の多い法人だと、本部の方針がなかなか伝わりにくいということがあるが、アメーバ経営により、現場の若い
リーダーが、法人の経営状況を理解し、当事者意識を持つに至った。それぞれの事業所がそれぞれで自らの収支を
把握し、日常業務の改善を図りそれら取組が数字にどう反映されるのかを理解できるようになったことで改善への
意識づけに繋がった。現場のリーダーにとってマイナスな意識づけに偏らなかった要因としては、目標設定は本部か
ら提示したことはなく、現場で設定したことが考えられる。結果として現場の自主的取り組みとして機能し、
トップダ
ウンの形ではなく主体性を持った取り組みになった。
法人では毎月重要な会議を二つ設定しており、一つは若いリーダーが中心の事業部会議、もう一つは同じサービス
種別ごとの種別会議がある。種別会議では介護の質を重視する会議として実施しており、経営の軸が偏らないよう
にしている。
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