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岡部先生資料(レポート) (1 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
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資料1-1-1

革新脳事業とその後の戦略的研究のあり方について
東京大学大学院医学系研究科 岡部繁男
1.革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(通称革新脳)事業の経
緯について
「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(通称革新脳)
」は 2014 年
に 10 年計画の大型の脳プロジェクトとして開始され、今年度に9年目を迎えている。革新
脳の開始時期と前後し、欧米でも大型の脳プロジェクトが開始された。EUの選定する重点
科学プロジェクト(フラグシッププログラム)として 2013 年 1 月に Human Brain Project
(HBP)がグラフェンプロジェクトと同時に採択され、10 年間で約 1500 億円の支援を受け
る事業として開始された。アメリカでも 2013 年 2 月にオバマ大統領が議会演説を行い、脳
科学を「次世代の宇宙開発競争」と表現し、米国の科学技術分野での優位性を保つために優
先的に投資すべき対象だと宣言した。その演説を受けてアメリカでは The Brain Research
through Advancing Innovative Neurotechnologies (BRAIN) Initiative と呼ばれる研究構想
が具体化された。NIH, NSF(アメリカ国立科学財団), DARPA(国防高等研究計画局)など
の政府機関と民間機関が投資し、年間 100 億円の予算を投入する計画であり、その後更に
予算規模は拡大されて 2027 年までに 66 億ドル(約 7500 億円)が投入される計画となって
いる。

出典: How the world’s biggest brain maps could transform neuroscience. Nature (2021-10-07) | doi:
10.1038/d41586-021-02661-w |
このような国外の動向も踏まえ、我が国の強みを生かした脳科学研究を戦略的に推進する
ため、日本独自の大型脳研究についての検討が 2013 年 4 月より文部科学省の脳科学委員会
を中心に開始された。それ以前にも日本学術会議でのマスタープランの策定に関連して、日
本脳科学関連学会連合において大型研究についての検討が行われていた。その構想は 2013
年 3 月に「こころの健康社会を創る多次元ブレインプロジェクト」として発出された。脳科
学委員会の作業部会での検討では、この学会連合による研究計画も参考にしつつ、「革新的
な技術の開発」
「マーモセット等の霊長類脳の回路データの蓄積」
「得られたデータの臨床脳
科学研究への活用」といった観点を踏まえた計画の立案に至った。
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