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岡部先生資料(レポート) (3 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
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以上の事業設定に基づいて、2014 年に革新脳事業の公募が行われ、中核拠点として理学研
究所脳科学センター(理研 BSI:当時)、参画機関、複数の臨床研究グループと技術開発個
別課題研究者が採択されて研究が開始された。本事業の前半では 5 年後の目標である「マ
ーモセット全脳に関するマクロレベルの構造と活動マップの完成」に向けた活動を実施し
た。マクロレベルでの構造と活動マップに関しては中核拠点の岡野グループが中心となり、
構造 MRI データと安静時機能的 MRI データを取得し、革新的技術については中核拠点の
宮脇グループと技術開発個別課題研究者が推進、ヒト脳との関連付けについては臨床研究
グループが取得した臨床データを中核拠点へ提供する形で進められた。また統合プラット
フォームの開発としては中核拠点において統合データベースの作成を進めた。
革新脳事業は 2018 年に中間評価を受け、その際の指摘に基づいて本事業体制のかなり抜本
的な改革が行われた。評価報告書の「VII おわりに」の部分において、
「国家レベルの巨大プ
ロジェクトであり、国際的に、また脳科学以外の分野からも認められる成果が必要であるが、
現時点での成果は十分とは言いがたく、一貫したマネージメントが実現されているとも言
うことができない。多大な予算を使った研究開発としてその責任を果たす必要がある。」と
の提言がなされた。本事業のマネージメント体制についての抜本的な改革を行うために、本
事業中間評価後の 2019 年から 2023 年においては、事業体制を変更し、プロジェクトリー
ダーの所掌する範囲は中核拠点とし、事業内の他の研究グループとの調整はプログラムス
ーパーバイザーとプログラムオフィサーが行う事とした。更に具体的な改善案を作成し実
行した。その結果、革新脳事業の後半期間においては、マーモセットモデルの作成において
実験動物中央研究所がより強く関与することで、アルツハイマー型認知症のモデルを複数
作成することに成功した。またトレーサー研究の方法論を一元化しマーモセット前頭葉に
おける霊長類独自の神経回路構築が明らかになった。更に臨床研究グループが取得した疾
患関連神経回路のデータを活用し、特にパーキンソン病と統合失調症についてヒトにおけ
る疾患関連神経回路をマーモセット脳において検証する段階へと研究を進めた。2018 年の
中間評価を受けての抜本的な研究体制の見直しは大きな効果を挙げている。一方で前半5
年間での研究マネージメントの問題の影響はまだ残っており、全体としての研究成果につ
いては革新脳事業 9 年目の現時点でまだゴールに到達していない部分も存在する。この点
は 2021 年度に実施された 8 年目の中間評価の結果にも反映され「脳機能ネットワークの全
容解明を旗印に掲げたが、多様な脳回路の機能解明や疾患の網羅的病態解析に、10 年間と
いう期間は余りに短く、本事業の到達点にかかわらず、期間内、期間終了後もこれらの脳神
経科学の根源的課題に様々な角度から研究を進める必要」があるとのコメントを受けた。

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