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岡部先生資料(レポート) (14 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
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3-4. 新しい技術の導入に対応した「階層をつなぐ研究」の実現
これまで繰り返し脳研究においては階層をつなぐ研究開発の必要性が提唱されてきたが、
この状況は更に新しい技術が脳科学に導入されることによって変化しつつある。まず第一
に一細胞レベルでの遺伝子発現解析技術が導入されたが、この技術単独では神経細胞の形
態、他の細胞との結合様式、神経活動の情報が得られず、単なる発現マップの蓄積に留まっ
てしまう可能性がある。
「遺伝子発現‐回路結合情報‐活動情報」を統合したデータ取得が
可能となれば、遺伝子発現解析の持つ情報の意味は飛躍的に増大する。このような研究開発
は国際競争力を高めるために必須のものとなる。次に MRI を中心とした脳機能画像の解像
度が向上し、一方で細胞単位の活動をカルシウムの変化を用いて検出する技術が大規模化
した事により、この二つのデータを統合した解析技術の可能性もより高まっている。局所回
路内での神経情報のダイナミクスを MRI などの非侵襲的手法により推定することが可能と
なれば研究の飛躍的発展が期待できる。さらに拡散強調 MRI などの軸索投射の方向性を評
価する画像手法についてもトレーサーデータとの直接比較により、得られた画像データの
解釈をより精密化することが可能になりつつある。このような階層をつなぐ研究パラダイ
ムの開発に正面から取り組む事も重要な課題である。

3-5. 既存のモデルにとらわれない病態モデルの開発
革新脳では認知症のマーモセットモデルとして家族性アルツハイマー病において遺伝子変
異が認められるプレセネリン 1 遺伝子に集中し、超若年発症の患者における変異を再現し
たマーモセットモデルを作成するという目標設定を行った。これにより家族性アルツハイ
マー病に対応する動物モデルとしては国際的にも最も先端的な遺伝子改変マーモセットを
得ることが出来たが、一方でアミロイドβに集中したモデル動物開発の戦略については、そ
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