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岡部先生資料(レポート) (7 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
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〇大規模活動データのヒト脳活動との比較、その数理解析、病態モデル動物との比較による
精神・神経疾患研究の進展
革新脳事業においては、精神疾患と神経変性疾患の双方について、その病態の本質を理解す
るための回路研究を推進することが当初より期待されていた。この目的に向けて、精神疾患
においては統合失調症、神経疾患においてはパーキンソン病をモデルケースとして研究を
実施し、特に発症に至る早期病態に関連する神経回路の同定を目指した。革新脳事業により、
統合失調症では淡蒼球の体積変化が早期から検出されること、また信頼度の高いバイオマ
ーカーとしては高次聴覚野におけるミスマッチ陰性電位を発生させる大脳皮質神経回路、
視線を制御する大脳皮質神経回路に障害が存在することが示唆された。

一方でパーキンソン病においては、レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder; RBD)
の患者においてパーキンソン病とレビー小体型認知症の発症リスクが高いことに着目して
計画された国立精神・神経医療研究センターのコホート研究(「パーキンソン病発症予防の
ための運動症状発症前 biomarker の特定(通称: J-PPMI; The Japan Parkinson’s Progression
Markers Initiative)」における画像データ(MRI, DAT-SPECT, MIBG 心筋シンチグラフィ
など)
、認知機能・運動機能データを活用したパーキンソン病の超早期病態関連神経回路の
同定を推進した。これらの臨床データに基づく病態関連神経回路の同定は臨床研究グルー
プにより実施されて一定の成果を挙げたが、これをマーモセットモデルにおける神経回路
研究と直接的に結びつける次のステップについてはまだゴールに到達していない。
精神疾患の研究において最も進展が見られているのはミスマッチ陰性電位の障害に関連す
る大脳皮質高次聴覚野におけるマーモセット脳での皮質脳波(electrocorticogram; ECoG)計
測とカルシウムイメージングの研究である。今後は統合失調症の病態メカニズムを直接的
に検証する実験を立案することが期待される。パーキンソン病の早期病態に関する研究で
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