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岡部先生資料(レポート) (10 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
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3-2. 大規模神経回路データを活用した精神・神経疾患研究
革新脳ではヒト神経回路データを活用して精神・神経疾患関連回路を抽出し、その情報をマ
ーモセット研究において活用することで、病態神経回路の役割を明らかにすることを重要
なゴールとして設定した。この戦略はきわめて妥当なものであり、ヒトにおける統合失調症
とパーキンソン病に関する脳神経回路レベルでの障害に関するデータも蓄積されてきてい
る。一方で、これを動物モデルと融合する段階では従来型の研究を超える工夫が求められる
事となった。特に臨床データから抽出された神経回路が、基礎研究としてはこれまで注目さ
れていなかった回路であり、更にマーモセット研究の蓄積がほとんど無い中で臨床から基
礎へのリバーストランスレーションを進める、という点が大きな課題となった。
神経疾患においてはパーキンソン病のマーモセットモデルの解析が進み、この動物におい
て REM 睡眠中の筋緊張の上昇が観察され、ヒトにおけるレム睡眠行動障害(REM sleep
behavior disorder; RBD)の神経回路障害に対応する病態が再現されていることが強く示唆
された。従ってこの霊長類モデルはパーキンソン病やレビー小体型認知症の超早期病態・神
経回路障害を再現する極めて貴重な動物リソースと考えられる。しかし現時点では革新脳
事業においてヒトとマーモセットでの睡眠行動障害に関連する回路障害の全貌を解明する
所までは到達していない。また統合失調症の早期病態を反映する回路レベルの障害として
淡蒼球体積の左右差という有用な指標が得られたが、げっ歯類においても淡蒼球を含む回
路についてはデータが乏しく、更にマーモセットでは先行研究が全く存在しない状態から
出発する必要があった。一方で革新脳事業の後半 5 年間で淡蒼球と統合失調症の関連性を
マーモセットモデルを含めて研究を推進する体制が確立されつつあり、この研究領域につ
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