よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


岡部先生資料(レポート) (24 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/10/4041102.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第4回 11/2)《文部科学省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

最後に A から D の 4 項目の研究開発を dry の実験系と wet の実験系を統合した脳研究とし
て統合的に推進する事で期待される成果について議論したい。動物モデルでのデータに裏
付けられた in silico モデルが開発されることで、前頭葉を中心とした回路が働き、動物が
様々な認知過程を経て行動を選択する際の情報処理メカニズムが明らかになる。これによ
り生理的な「ヒトの行動」を説明する神経回路活動と、それが疾患においてどのように修飾・
障害されて行動の変化を引き起こすのかを説明するモデルを得る事ができる。また一方で
この研究開発によって分子、回路構造、脳活動情報、行動を含むマルチモーダルなデータと
技術の研究基盤が確立し、そのリソースを事業全体に普及することで更に研究が加速する
ことが期待される。
このような研究を実現するには事業体制についても検討も不可欠である。革新脳は中核拠
点で自ら研究テーマを持つ研究者が全てのチームを管理する体制でスタートしたが、自身
の研究テーマの推進と事業全体のマネージメントを同一研究者が行う体制は大規模な事業
の場合には困難が伴う。事業のマネージメントについては単なる事務局機能だけではなく、
研究の方向性を舵取りし、柔軟に研究体制と方向性をコントロールするためのヘッドクオ
ーターを設置すべきであろう。このヘッドクオーターがデータベースや数理モデルについ
て事業開始時に明確な枠組みを参画研究者全体に提示し、早期に研究の方向性を決定する
ことが必要である。今回提案した A から D の研究項目は相互に密接に関連するが、ヘッド
クオーターとなる組織によるマネージメントがしっかりしていれば、必ずしも同一の研究
機関が全て担う必要はないと考える。脳科学研究は裾野の広い学問であり、国内の多様な神
経科学者を結集し、さらに周辺領域からの研究者の参入を促進するためにも多様な研究組
織の関与が求められるからである。

24