よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


議題3 参考資料 (123 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41117.html
出典情報 先進医療会議(第133回 7/4)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

先進医療の名称

<先進医療告示B③>
自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療

適応症
両側下肢完全運動麻痺(AIS の A)を呈する慢性期胸髄損傷
内容
(先進性)
脊髄損傷は運動及び知覚麻痺や膀胱直腸障害等の重篤な神経機能の損失をもたらす。これまでに骨髄細胞を
用いた臨床研究や、神経幹細胞、ES 細胞もしくはiPS 細胞を用いた基礎研究が行われているが、倫理的問題と安
全性の問題が解決されて有効性が検証された慢性期脊髄損傷に対する治療法はまだ存在しない。かかる状況の
中、国立エガス・モニツ病院(ポルトガル・リスボン)のCarlos Lima らが、自家嗅粘膜移植による損傷脊髄の再生医
療法を開発し、回復効果が認められたことを報告した。嗅神経は神経再生が終生行われる部位である。嗅粘膜は嗅
神経の再生機能を担っており、幹細胞、神経栄養因子の分泌と軸索経路の形成に寄与する嗅神経鞘細胞と細胞外
マトリックスを含んでいる。嗅粘膜組織は慢性期脊髄損傷治療に必要とされる神経細胞の補填、軸索伸長因子と軸
索伸長する足場の条件を満たしている。一方慢性期損傷脊髄ではグリア瘢痕組織が認められ、軸索再生を阻む事
がわかっている。自家嗅粘膜移植術は確実に嗅粘膜を内視鏡下に採取する技術と、損傷部位の瘢痕組織を顕微
鏡下に切除し、採取した嗅粘膜を適切に移植する、ヒト神経組織再生の基礎的研究に立脚した外科的技術である。
我々は、Carlos Lima らの方法を用いる自家嗅粘膜移植法を、2007 年より臨床研究として開始し、その安全性と効
果を検討してきた日本国内唯一の施設であり、先進性は極めて高い。

(概要)
自家嗅粘膜移植では、全身麻酔下に患者自身の鼻腔内に存在する嗅粘膜組織を内視鏡下に摘出する。そして
摘出した嗅粘膜を手術室内で洗浄、細切後、脊髄損傷部位に存在する瘢痕組織を摘出して作製した移植床に直ち
に移植する。嗅粘膜移植技術には、①損傷高位の脊椎を安全に切削し損傷脊髄を露出する、②損傷脊髄を顕微
鏡下に正確に見極め瘢痕組織を切除する、③採取した嗅粘膜を母床に適切に移植する技術が必要である。移植後
は少なくとも1年間は週35 時間程度のリハビリテーションを遂行し、軸索再生と新たに獲得された神経回路の維持
の為訓練を行っていく。
(効果)
本治療は、受傷後12 ヶ月以上経過した両側下肢完全運動麻痺(AIS の A)を呈する慢性期胸髄損傷に対し、
自家嗅粘膜移植術を行う。本治療は両下肢運動機能の回復効果を有し、American Spinal Injury Association
Impairment Scale (AIS)、アメリカ脊髄損傷協会(ASIA)機能障害尺度、神経生理学的検査及び、制限されたQOL の
改善が見込まれる。具体的には体幹支持性の向上と生活動作の改善、AIS の改善、随意筋電図波形の出現、経頭

123