議題3 参考資料 (62 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41117.html |
出典情報 | 先進医療会議(第133回 7/4)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示19>
子宮内膜刺激術
適応症
胚移植を必要とする不妊症
内容
(先進性)
生殖補助医療における反復不成功例のなかに、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊娠にいたらない着
床不全症例が存在する。着床不全の原因のうち、子宮および卵管側の器質的要因として子宮粘膜下筋腫、子宮内
膜ポリープ、子宮内膜症、子宮奇形、卵管水腫などが挙げられる。一方、機能的要因として性ステロイドホルモンや
胚因子の刺激に対する子宮内膜の反応異常に起因する胚受容能の異常がなど考えられている。これらのうち胚由
来因子の欠如または減少による子宮内膜の胚受容能の低下に起因する着床率低下を改善する方法として、1999年
に滋賀医科大学にて二段階胚移植が考案された。二段階胚移植は着床周辺期の胚と子宮内膜はシグナル交換
(クロストーク)をしており、胚は着床に向けて子宮内膜の局所環境を修飾していることを示したマウスを用いた基礎
研究に基づいている。二段階胚移植法ではday2に初期胚を移植し、残りの胚は培養を継続し、引き続きday5に胚盤
胞を移植する。初期胚にはクロストークにより子宮内膜の胚受容能を高める働きを期待し、継続培養によって選択さ
れた胚盤胞がより高い確率で着床することを期待している。以来、特に反復ART 不成功例に対する移植方法として
他施設にても用いられ良好な成績を挙げており、誌上報告もなされている。しかしながら、二段階胚移植法は少なく
とも胚を2個移植するため多胎の問題を回避することはできなかった。近年、多胎予防を目的として単一胚移植が推
奨されるようになってきた。単一胚移植を行う場合は、初期胚移植か胚盤胞移植のいずれかを行うことになるが、こ
れらの移植方法では二段階胚移植法のように胚と子宮内膜の相互作用を利用することができない。この問題を克服
するために新たに考案した方法が子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium–Embryo Transfer;(SEET)
である。
近年、胚培養液上清には子宮内膜胚受容能促進に関与する胚由来因子が存在することが報告されている。そこ
で、胚培養液上清を子宮腔内に注入することにより子宮内膜が刺激を受け、胚受容に適した環境に修飾される可能
性があると考え、胚盤胞移植(BT)に先立ち胚培養液上清を子宮腔内に注入する方法を考案し、これを子宮内膜刺
激胚移植法:Stimulation of Endometrium–Embryo Transfer; SEET と命名した。
胚盤胞移植は継続培養により移植胚の選択が容易になることや、胚発生と子宮内膜が同調することなどにより、
高い着床率を得ることができるとされる移植方法である。しかしながら、その妊娠率は50%前後にとどまっている。胚
盤胞移植における着床不全の機能的原因として、移植胚盤胞の子宮内での発生停止や透明帯から孵化できない
などの胚に起因する要因と、子宮環境の不全による要因などが考えられる。
着床に適切な子宮内膜の分化、すなわちimplantation window は性ステロイドホルモンの制御のみならず、胚と子
宮内膜のクロストークによって導き出されると考えられており、クロストークは初期胚の段階からなされているとも考え
られている。ところが、ホルモン調節周期における胚盤胞移植では、性ステロイドによる子宮内膜の分化は行われて
いるものの、胚盤胞が移植されて初めてクロストークが開始するため、子宮内膜の着床準備が遅れ、着床不全が起
き妊娠不成立となる、または着床遅延が生じている可能性がある。
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