議題3 参考資料 (75 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41117.html |
出典情報 | 先進医療会議(第133回 7/4)《厚生労働省》 |
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<先進医療告示22>
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術
適応症
胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復して流産を認めたもの、あるいは奇形精子を伴うものに限る)
内容
(先進性)
ICSI における精子の選別は、手技を行う胚培養士が顕微鏡下で精子の形態と運動性を評価し選別を行う形態学
的選別が主流である。しかしながら、形態学的にbest looking な精子が必ずしも良好な精子とは限らないとの報告が
ある。さらにICSIではin vivoや体外受精の過程で自然に行われている成熟精子の選別を省略してしまっている。この
ことから、形態学的評価のみで精子を選別しICSIを行うと本来卵子の中に侵入できない未成熟な精子が注入されて
しまう可能性がある。その結果として、受精率や胚の発生率が低下し流産率が増加するという報告もある。
卵子に注入する精子は成熟を完了していることが望ましい。成熟を完了した精子は、原形質膜の再構築、細胞
質の押し出し、核の成熟が起きていて高密度のヒアルロン酸レセプターが発現しており透明帯とヒアルロン酸の両方
に結合することができる。この特徴を利用して生理学的に精子を選別する方法がHuszarらにより報告され、PICSI
(Physiologic intracytoplasmic sperm injection) として広く行われるようになった。ヒアルロン酸を利用した精子選別は
特別な器具や染色は必要なく簡便であり、選別した精子を直ちに使用することが可能である。すなわちPICSIは、精
子の形態学的評価だけではなく、成熟度をその場で判別しながら卵子に注入できるという点で従来のICSI よりも先
進性がある。
(概要)
1)対象及びランダム化
・ICSI 適応患者で、ICSI 後に反復流産や着床不全がみられた患者。または、夫が奇形精子症の患者を対象とす
る。説明後同意が得られた対象をICSI 群とPICSI 群の2 群にランダムに振り分ける。
2)卵子・精子の処理
・採卵の3 時間後にヒアルロニダーゼを使用して裸化を行い。第一極体が放出されている卵子を成熟卵とし、ICSI
の対象とする。
・採卵の朝に採精してもらい15~30 分液化させた後マクラーカウンティングチャンバーで一般精液検査を行う。正
常形態率は精液の塗抹標本作成後にDiff-Quikで染色を行い、strict criteriaに準じて求める。
・精子の処理はIsolate2 層法で行い、再度洗浄した後に沈渣を0.5ml に調整してインキュベートしておく。
3)HBA アッセイ
・調整後精子はICSI の前にHBA○R Assay を使用してHBA スコアを求める。
・ヒアルロン酸がコーティングされているスライドガラスに調整後精子を5~10μℓ滴下し、カバーガラスを被せる。
・室温またはインキュベーターでしばらく静置し、ヒアルロン酸に結合している運動精子の割合を求める。
4)ICSI 手技と胚培養
・精子の選別、不動化、インジェクションピペット内への充填はICSI 群ではPVP をPICSI 群ではSpermSlowTM を使
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