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総-3ー1最適使用推進ガイドライン チルゼパチド [793KB] (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53715.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 総会(第605回 3/12)《厚生労働省》 |
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2.本剤の特徴、作用機序
肥満は様々な健康障害を引き起こすことが知られており、2 型糖尿病、高血圧、脂質
異常症等の発症に関わる危険因子であるi,ii,iii,iv。さらに、死に至る心血管疾患や特定の種
類のがんの発生リスクを高めるとされているv。日本において、肥満者の割合は年々増
加しており、厚生労働省による国民健康・栄養調査(2022 年)では、成人男性の 31.7%
及び成人女性の 21.0%が肥満(BMI 25 kg/m2 以上と定義)と報告されているvi。
一般社団法人日本肥満学会(Japan Society for the Study of Obesity:JASSO)の最新の
治療ガイドライン(肥満症診療ガイドライン)viiでは、肥満という身体状況を判定する
ことと、肥満に関連して発症する健康障害を有し、医学的観点から減量治療を必要とす
る肥満症を疾患として診断することを明確に区別している。軽度の肥満であっても、内
臓脂肪の蓄積による場合は肥満に関連する合併症が発症しやすいことが報告されてい
るviii。これらの点を踏まえ、肥満症診療ガイドラインでは、肥満症の診断基準は「BMI
が 25 kg/m2 以上で、以下のいずれかの条件を満たす場合:1)肥満症の診断に必要な健
康障害を有するもの、2)腹部コンピュータ断層撮影検査によって内臓脂肪面積 100 cm2
以上と確認された内臓脂肪型肥満(健康障害の合併の有無は問わない)」とされている。
肥満症診療ガイドラインでは、肥満症に対する薬物療法は、食事・運動・行動療法か
ら成る生活習慣改善療法では十分な効果がみられない場合に考慮するとされている。
海外では肥満に対する治療薬は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(以下、「GLP-1」)受
容体作動薬を含め数種類存在しており、薬物治療の重要性が広く認識されている。日本
においても、肥満症に対して医学的に適切な治療及び管理が実施されるよう、日本肥満
学会を中心に医学的認識を高める取り組みが行われており、肥満に関連する日本医学連
合「領域横断的肥満症ワーキンググループ」23 学会が肥満症の撲滅を目指して領域を
超えて協働することを合意した「神戸宣言 2018」が発表されているが、現在利用可能な
肥満症治療薬は限られており肥満症に対する治療薬のニーズが存在する。このような状
況に鑑み、肥満症の新しい治療選択肢を提供する薬剤としてゼップバウンド皮下注〔一
般名:チルゼパチド〕の開発が行われた。
本剤はグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(以下、「GIP」
)受容体及
び GLP-1 受容体に対するアゴニスト作用を有するチルゼパチドを有効成分とする週 1
回皮下投与製剤である。現在、日本では本剤の有効成分であるチルゼパチドを含有する
週 1 回皮下投与製剤(マンジャロ皮下注)が 2 型糖尿病の治療薬として市販されてい
る。
本薬は、中枢神経系に分布する GIP 受容体及び GLP-1 受容体を介して食欲を調節す
ること、また、GIP 受容体の活性化により、インスリンとは独立した代謝転写因子や各
ホルモン受容体の転写調節等が影響され脂肪細胞における脂質代謝が亢進すること等
によって、体重減少作用を示すと考えられるix,x,xi。
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肥満は様々な健康障害を引き起こすことが知られており、2 型糖尿病、高血圧、脂質
異常症等の発症に関わる危険因子であるi,ii,iii,iv。さらに、死に至る心血管疾患や特定の種
類のがんの発生リスクを高めるとされているv。日本において、肥満者の割合は年々増
加しており、厚生労働省による国民健康・栄養調査(2022 年)では、成人男性の 31.7%
及び成人女性の 21.0%が肥満(BMI 25 kg/m2 以上と定義)と報告されているvi。
一般社団法人日本肥満学会(Japan Society for the Study of Obesity:JASSO)の最新の
治療ガイドライン(肥満症診療ガイドライン)viiでは、肥満という身体状況を判定する
ことと、肥満に関連して発症する健康障害を有し、医学的観点から減量治療を必要とす
る肥満症を疾患として診断することを明確に区別している。軽度の肥満であっても、内
臓脂肪の蓄積による場合は肥満に関連する合併症が発症しやすいことが報告されてい
るviii。これらの点を踏まえ、肥満症診療ガイドラインでは、肥満症の診断基準は「BMI
が 25 kg/m2 以上で、以下のいずれかの条件を満たす場合:1)肥満症の診断に必要な健
康障害を有するもの、2)腹部コンピュータ断層撮影検査によって内臓脂肪面積 100 cm2
以上と確認された内臓脂肪型肥満(健康障害の合併の有無は問わない)」とされている。
肥満症診療ガイドラインでは、肥満症に対する薬物療法は、食事・運動・行動療法か
ら成る生活習慣改善療法では十分な効果がみられない場合に考慮するとされている。
海外では肥満に対する治療薬は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(以下、「GLP-1」)受
容体作動薬を含め数種類存在しており、薬物治療の重要性が広く認識されている。日本
においても、肥満症に対して医学的に適切な治療及び管理が実施されるよう、日本肥満
学会を中心に医学的認識を高める取り組みが行われており、肥満に関連する日本医学連
合「領域横断的肥満症ワーキンググループ」23 学会が肥満症の撲滅を目指して領域を
超えて協働することを合意した「神戸宣言 2018」が発表されているが、現在利用可能な
肥満症治療薬は限られており肥満症に対する治療薬のニーズが存在する。このような状
況に鑑み、肥満症の新しい治療選択肢を提供する薬剤としてゼップバウンド皮下注〔一
般名:チルゼパチド〕の開発が行われた。
本剤はグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(以下、「GIP」
)受容体及
び GLP-1 受容体に対するアゴニスト作用を有するチルゼパチドを有効成分とする週 1
回皮下投与製剤である。現在、日本では本剤の有効成分であるチルゼパチドを含有する
週 1 回皮下投与製剤(マンジャロ皮下注)が 2 型糖尿病の治療薬として市販されてい
る。
本薬は、中枢神経系に分布する GIP 受容体及び GLP-1 受容体を介して食欲を調節す
ること、また、GIP 受容体の活性化により、インスリンとは独立した代謝転写因子や各
ホルモン受容体の転写調節等が影響され脂肪細胞における脂質代謝が亢進すること等
によって、体重減少作用を示すと考えられるix,x,xi。
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