よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


・資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00007.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和4年度第1回 7/26)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

6 参考情報

1

ると共に,分析法が異なった状況で行われた場合に起こり得る

55

日本薬局方に規定する試験法適用時の適格性評価では,分析

2

変動の程度を調べることができる.そして,管理すべき変動要

56

法を確立する際と同程度に分析能パラメーターの妥当性確認を

3

因とその許容可能な変動範囲が明確になり,分析法が最適化さ

57

再度行うことは必須ではないが,参考情報の「分析法バリデー

4

れていく.この分析法策定の過程で取得された適切な実験結果

58

ション」 〈G1-1-130〉にある分析能パラメーターのうち適切な

5

を,バリデーションデータに代わるものとして使用できる場合

59

ものを用いて適格性を確認する必要がある.実施内容は,分析

6

がある.

60

法のタイプ,関連する機器などを考慮する.さらに,試験試料

7

リスクアセスメントの結果から管理戦略を策定する.管理項

61

に由来する要素に留意すべきである.例えば,日本薬局方に規

8

目としては,例えば,温度,試料溶液の安定性,繰返しの回数

62

定する試験法適用の際に,原薬及び製剤により異なる可能性の

9

なども含まれるだろう.後述のようにシステム適合性の要件も

63

ある不純物は,当該試験法の「特異性」に影響を与え得る.シ

あるだろう.

10

64

ステム適合性試験で分離度が設定されている場合は,まずは,

11

変数的な変動要因(例えば移動相pHやカラムサイズ)として

65

分離度で影響を確認し,特異性が低下している場合には,分析

12

管理できない,分析法に残されている変動要因の影響を評価す

66

結果に与える影響を精査する.分析性能が低下している場合は,

13

るため,適切なチェック試験としてシステム適合性試験

67

分析条件の検討が必要になるであろう.その他,特に製剤の添

14

(System suitability test)が設定される(参考情報「システム適

68

加剤が異なることにより,分析対象物質への妨害(特異性),検

15

合性」 〈G1-2-181〉).したがって,システム適合性試験は,以

69

出(検出限界),添加回収率(真度),定量値のばらつき(精度)に影

16

下に記す分析性能の適格性評価段階では,最小限の管理手法と

70

響を与える可能性があるので,システム適合性試験や参考情報

17

して考慮されるべきである.システム適合性試験は,影響され

71

の「分析法バリデーション」 〈G1-1-130〉にある分析能パラメ

18

得る分析性能特性に焦点を当てて,目標プロファイルの要件を

72

ーターのうち適切なものを用いて適格性評価を行う.

19

満たすと考えられることが保証されるように設定される必要が

73

5. 分析法の継続的な検証

20

ある.システム適合性試験では,例えば,分離度やシンメトリ

74

1) 日常的なモニタリング:この段階では,分析法の性能に関

21

ー係数などが設定される.

75

わるデータ,例えば,分析結果,システム適合性への適否,

22

3. 適格性評価の準備段階

76

規格値からのずれや特定の傾向などのデータを収集し,解析

77

する.もし,システム適合性への不適合,規格値からのずれ

78

や特定の傾向が明らかになった場合には,その原因解明に向

23
24

変動要因の明確化,集積された知識により,分析法の管理戦
略が提案され,分析能力が適格となる準備が整う.

25

すなわち,既に日本薬局方に規定する試験法が存在する場合

79

26

は,当該試験法をベースとして,更に実際の分析を行う試験室

80

2) 分析法の変更:医薬品の製造と同様,分析法にも継続した

27

でどの程度追加の変動要因があるか,どこまで事前の情報が得

81

改善活動や異なる環境での分析のために,変更を加えること

28

られているかをあらかじめ把握・検討する必要がある.追加の

82

もあるであろう.日本薬局方に規定する試験法を新たに適用

29

変動要因には,例えば,試料,試薬,施設,機器,更に,それ

83

する場合も,現在ある装置やカラムに合わせた変更が必要に

30

らの変動に伴い生じ得る繰返しの回数が挙げられる.日本薬局

84

なる場合もあるであろう.さらに1)の日常的なモニタリング

31

方に規定する試験法を適用する際,多くの場合は試験者が当該

85

の結果,分析法の変更が必要となることも想定される.変更

32

分析法の開発の間に得られた知識や理解を有していないため,

86

の程度に応じて,その変更が試験結果に及ぼす影響を評価す

33

試験者はこの追加の変動要因に起因するリスクの可能性を認識

87

るための作業内容や作業量は異なる.以下に想定される変更

34

し,分析性能の適格性評価などにより,上記リスクが適切に軽

88

の事例を挙げる.

35

減されるように保証する必要がある.(独立行政法人医薬品医

89

①分析法開発時に評価した分析手法の許容可能な変動範囲内

36

療機器総合機構のウェブサイトで公開されているカラム情報な

90

で変更する場合は,その変更の影響評価はケースバイケー

37

どは事前の情報として有用だろう).

91

スで行い,変更後の分析手法が目標プロファイルを常に満

38

4. 分析性能の適格性評価

92

たしていることを確認することが必要である (ただし,分

けて検討を行い,修正や予防対策が行われなければならない.

39

適格性評価の目的は,日常的に使用される試験室で分析法が

93

析法開発時にこのような変動範囲について検討していない

40

目標プロファイルを常に満たすことを確認することである.適

94

場合には当てはまらない.).なお,個々の条件変更は許

41

格性評価のための試験実施に当たっては,プロトコールが作成

95

容可能な変動範囲内であっても,複数の条件を変更するこ

42

され,手順書と適切な管理に従って実行される.試験の結果,

96

43

例えば,報告値のばらつきが目標プロファイルの要件を超える

97

②分析法開発時に評価した分析手法の許容可能な変動範囲を

44

恐れがある場合には,当該試験室に対して管理戦略が最適化さ

98

超えて変更する場合は,リスクアセスメントを必要とする

45

れているか検討し,変動要因を特定し,分析法の管理戦略が改

99

であろう.また,分析法開発時に品質リスクマネジメント

46

善・改訂されることもある.日常的に使用される試験室で分析

100

により変更許容範囲が検討されていない場合も,分析条件

47

法開発がなされた場合,分析性能の適格性評価を省略できる場

101

を変更する場合は,リスクアセスメントが必要となる.リ

48

合がある.

とにより,以下の②と同様の対応を必要とする場合もある.

102

スクアセスメントは,どの分析性能特性(分析能パラメー

49

日本薬局方に規定する試験法適用の際も,実験室や機器が異

103

ター)が変更により影響を受ける可能性があるかを考慮す

50

なれば,異なる管理戦略が必要になる.日本薬局方に規定する

104

る.そして,変更により,分析性能が目標プロファイルを

51

試験法を実施する試験室における適格性評価のために,医薬品

105

外れないことを確認するために適格性評価を行う(4.を参

52

各条中の規格値や判定基準の意図する目標プロファイルに適う

106

照).具体的には,参考情報「分析法バリデーション」

53

ように分析法の品質リスクマネジメントのプロセスが考慮され

107

〈G1-1-130〉 の分析能パラメーターのうち変更の影響を受

54

るべきである.

108

ける可能性がある分析能パラメーターを用いて検証する.

20