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・資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (22 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00007.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和4年度第1回 7/26)《厚生労働省》 |
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参考情報
7 .
1
変更の影響を受ける可能性がある分析能パラメーターが,
50
粉体の流動性は,質量や含量均一性などの製剤特性に関連す
2
システム適合性試験の1項目として設定されている場合は, 51
ることから,医薬品の品質に大きな影響を与える.製剤処方
3
当該分析能パラメーターについてシステム適合性試験を用
52
及び製造工程,並びに製造装置を適切に設計するためにも,
4
いて検証できる場合もある.さらにクロマトグラフィーに
53
粉体の流動性評価は重要である.せん断セル法は粉体の流動
5
おけるカラムサイズや移動相組成などの変更においては,
54
性評価に有用な試験法の一つで,幅広い応力条件下で測定が
6
クロマトグラフィー総論 〈2.00〉 の「クロマトグラフィー
55
行えるため,粉体動摩擦角や単軸崩壊応力,フローファンク
7
条件の調整」を参考にし,変更に際して適切に分析性能の
56
ションなどの,医薬品の製造における様々な粉体挙動の予測
8
検証を行う.
57
に役立つパラメーターを求めることができる.
9
③試験室を変更する,あるいは日本薬局方に規定する試験法
58
10
を新たに適用する場合は,分析装置,試験者,試薬などの
59
ホッパーなどからの流出において粉体は,粒子同士の付着・
11
変化に伴い分析性能特性が影響を受ける可能性があるため,
60
凝集や複雑な表面形状による互いの動きへの干渉などのため,
12
リスクアセスメントを行い,適切な適格性評価を行う(3.,
61
外から力が加えられても速やかに流れ出すとは限らず,加える
13
4.を参照).一方,同じ試験室において分析装置やカラム
62
力が十分に大きくなると急に流れ始めるようになる.また,容
14
の更新,試験者の交替などを行う場合には,変更した分析
63
器中の準静的な条件下での粉体の流動性は,圧密応力に強く依
15
システムにより,少なくともシステム適合性の試験を行っ
64
存する.圧密とは,粉体層に荷重を加えて,そのかさ体積を減
16
て,変更前後で同等の結果が得られることを確認する.
65
少させ,粉体層のかさ密度又は空間率を変化させる操作をいう.
17
④新しい分析法や技術へ変更する場合には,新しい手法が目
66
せん断セル法は,圧密した粉体に垂直応力を負荷しながら横滑
18
標プロファイルに合致するか示すために,新しい分析法の
67
りさせたとき,静止状態から流動状態に移行する過程の粉体の
開発時に適格性評価を行う必要がある(2.,3.,4.を参照).
19
1. 原理
68
挙動,すなわち横滑りし始める直前の最大せん断応力や定常流
20
⑤目標プロファイルに影響するような変更(例えば,規格値
69
動状態の動的摩擦力を測定する試験法である.
21
の変更,元の目標プロファイルで考慮していなかった不純
70
22
物などの新たな分析物量を測定するための手法への変更)
71
ε),垂直応力(σ)及びせん断応力(τ)の三つの条件によって決
23
の必要が出てきた場合は,目標プロファイルを更新し,分
72
まる.三条件の関係を三次元的に表した図をロスコー状態図
24
析法が新しい目標プロファイルの要求を満たすかどうか評
73
(図1)といい,せん断セル法は,このロスコー状態図あるいは
25
価するために,現在の分析法と適格性評価の見直しが必要
74
ロスコー状態図を構成する破壊包絡線を得るための試験法であ
26
になるであろう(1.,2.,3.,4.を参照).
75
る.
27
分析法の変更が目的に適う試験結果を与えるかどうかを確認
28
するための作業の程度は,①変更に伴うリスク,②当該分析法
29
について得られている知識,③管理戦略,に依存する.どのよ
30
うな変更をしたとしても,程度の差はあれリスクアセスメント
31
を行い,これにより変更された分析法が試験法の目的に適う
32
(つまり,目標プロファイルで規定された範囲の)結果を与える
33
ことを確認する.
荷重下の粉体の流動性は,圧密の程度(かさ密度又は空間率,
34
35
6. 参考資料
36
1) G.P. Martin, et al., Pharmacopeial Forum 39 (5), (2013).
37
2) Proposed New USP General Chapter: The Analytical
38
Procedure life cycle<1220>, Pharmacopeial Forum 43 (1),
39
(2017).
40
3) K.L. Barnett, et al., Pharmacopeial Forum 42 (5), (2016).
41
4) E. Kovacs, et al., Pharmacopeial Forum 42 (5), (2016).
42
5) ICH: Guideline for Q3A (R2), Impurities in New Drug
43
44
45
46
47
48
49
Substances.
参考情報
G2.
物性関連
せん断セル法による粉体の流動
性測定法 を加える.
76
77
78
図1 ロスコー状態図
2. 装置
79
せん断セル法には,定荷重法と定容積法の二つの測定方法が
80
ある.どちらの方法でも,使用する装置は通例,せん断セル,
81
試料に垂直応力を負荷するための分銅やプレス装置,試料をせ
82
ん断するための機構,垂直応力及びせん断応力を計測するロー
83
ドセルからなる.
84
2.1. せん断セル
せん断セル法による粉体の流動性測定法〈G2-
85
せん断セルは,上下に二分割できる容器(セル)に充塡した粉
5-181〉
86
体を,垂直応力を負荷しながら横滑りさせ,粉体層の内部にせ
87
ん断面を生じさせることのできる構造を持つものが多い.定荷
88
重法の場合,上部セルに嵌合する蓋はせん断応力が負荷される
臼への粉体充塡など,粉体の搬送及び供給を伴う工程が多い. 89
90
と上下し,粉体の収容容積が変化する.定容積法では,蓋を押
医薬品の製造においては,混合機への原料投入や打錠機の
21
し込むプレス機などにより蓋の位置が固定される.
7 .
1
変更の影響を受ける可能性がある分析能パラメーターが,
50
粉体の流動性は,質量や含量均一性などの製剤特性に関連す
2
システム適合性試験の1項目として設定されている場合は, 51
ることから,医薬品の品質に大きな影響を与える.製剤処方
3
当該分析能パラメーターについてシステム適合性試験を用
52
及び製造工程,並びに製造装置を適切に設計するためにも,
4
いて検証できる場合もある.さらにクロマトグラフィーに
53
粉体の流動性評価は重要である.せん断セル法は粉体の流動
5
おけるカラムサイズや移動相組成などの変更においては,
54
性評価に有用な試験法の一つで,幅広い応力条件下で測定が
6
クロマトグラフィー総論 〈2.00〉 の「クロマトグラフィー
55
行えるため,粉体動摩擦角や単軸崩壊応力,フローファンク
7
条件の調整」を参考にし,変更に際して適切に分析性能の
56
ションなどの,医薬品の製造における様々な粉体挙動の予測
8
検証を行う.
57
に役立つパラメーターを求めることができる.
9
③試験室を変更する,あるいは日本薬局方に規定する試験法
58
10
を新たに適用する場合は,分析装置,試験者,試薬などの
59
ホッパーなどからの流出において粉体は,粒子同士の付着・
11
変化に伴い分析性能特性が影響を受ける可能性があるため,
60
凝集や複雑な表面形状による互いの動きへの干渉などのため,
12
リスクアセスメントを行い,適切な適格性評価を行う(3.,
61
外から力が加えられても速やかに流れ出すとは限らず,加える
13
4.を参照).一方,同じ試験室において分析装置やカラム
62
力が十分に大きくなると急に流れ始めるようになる.また,容
14
の更新,試験者の交替などを行う場合には,変更した分析
63
器中の準静的な条件下での粉体の流動性は,圧密応力に強く依
15
システムにより,少なくともシステム適合性の試験を行っ
64
存する.圧密とは,粉体層に荷重を加えて,そのかさ体積を減
16
て,変更前後で同等の結果が得られることを確認する.
65
少させ,粉体層のかさ密度又は空間率を変化させる操作をいう.
17
④新しい分析法や技術へ変更する場合には,新しい手法が目
66
せん断セル法は,圧密した粉体に垂直応力を負荷しながら横滑
18
標プロファイルに合致するか示すために,新しい分析法の
67
りさせたとき,静止状態から流動状態に移行する過程の粉体の
開発時に適格性評価を行う必要がある(2.,3.,4.を参照).
19
1. 原理
68
挙動,すなわち横滑りし始める直前の最大せん断応力や定常流
20
⑤目標プロファイルに影響するような変更(例えば,規格値
69
動状態の動的摩擦力を測定する試験法である.
21
の変更,元の目標プロファイルで考慮していなかった不純
70
22
物などの新たな分析物量を測定するための手法への変更)
71
ε),垂直応力(σ)及びせん断応力(τ)の三つの条件によって決
23
の必要が出てきた場合は,目標プロファイルを更新し,分
72
まる.三条件の関係を三次元的に表した図をロスコー状態図
24
析法が新しい目標プロファイルの要求を満たすかどうか評
73
(図1)といい,せん断セル法は,このロスコー状態図あるいは
25
価するために,現在の分析法と適格性評価の見直しが必要
74
ロスコー状態図を構成する破壊包絡線を得るための試験法であ
26
になるであろう(1.,2.,3.,4.を参照).
75
る.
27
分析法の変更が目的に適う試験結果を与えるかどうかを確認
28
するための作業の程度は,①変更に伴うリスク,②当該分析法
29
について得られている知識,③管理戦略,に依存する.どのよ
30
うな変更をしたとしても,程度の差はあれリスクアセスメント
31
を行い,これにより変更された分析法が試験法の目的に適う
32
(つまり,目標プロファイルで規定された範囲の)結果を与える
33
ことを確認する.
荷重下の粉体の流動性は,圧密の程度(かさ密度又は空間率,
34
35
6. 参考資料
36
1) G.P. Martin, et al., Pharmacopeial Forum 39 (5), (2013).
37
2) Proposed New USP General Chapter: The Analytical
38
Procedure life cycle<1220>, Pharmacopeial Forum 43 (1),
39
(2017).
40
3) K.L. Barnett, et al., Pharmacopeial Forum 42 (5), (2016).
41
4) E. Kovacs, et al., Pharmacopeial Forum 42 (5), (2016).
42
5) ICH: Guideline for Q3A (R2), Impurities in New Drug
43
44
45
46
47
48
49
Substances.
参考情報
G2.
物性関連
せん断セル法による粉体の流動
性測定法 を加える.
76
77
78
図1 ロスコー状態図
2. 装置
79
せん断セル法には,定荷重法と定容積法の二つの測定方法が
80
ある.どちらの方法でも,使用する装置は通例,せん断セル,
81
試料に垂直応力を負荷するための分銅やプレス装置,試料をせ
82
ん断するための機構,垂直応力及びせん断応力を計測するロー
83
ドセルからなる.
84
2.1. せん断セル
せん断セル法による粉体の流動性測定法〈G2-
85
せん断セルは,上下に二分割できる容器(セル)に充塡した粉
5-181〉
86
体を,垂直応力を負荷しながら横滑りさせ,粉体層の内部にせ
87
ん断面を生じさせることのできる構造を持つものが多い.定荷
88
重法の場合,上部セルに嵌合する蓋はせん断応力が負荷される
臼への粉体充塡など,粉体の搬送及び供給を伴う工程が多い. 89
90
と上下し,粉体の収容容積が変化する.定容積法では,蓋を押
医薬品の製造においては,混合機への原料投入や打錠機の
21
し込むプレス機などにより蓋の位置が固定される.