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資料4 第4期がん対策推進基本計画(案)について事前にいただいたご意見 (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29457.html
出典情報 がん対策推進協議会(第86回 11/30)《厚生労働省》
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資料4
委員氏名
茂松

直之

第4期がん対策推進基本計画(案)について
事前にいただいたご意見
事前意見
新しい画像誘導放射線治療の推進
これまでのCTによる画像誘導放射線治療では腫瘍及び近接臓器の位置・形状の変化を照射直前および照射中に検知して、即時に再
計画することは困難であった。これを可能にするMR画像誘導即時適応放射線治療(MR guided online adaptive radiotherapy,
MRgOART)が 海外で普及しつつある。これまで生存期間中央値が18か月程度であった膵がんに対して MRgOARTを適用した初期
の連続症例30名の治療成績 が報告されたが、治療開始後22か月における全生存率が70%程度で、 グレード3以上の消化管有害事
象は0件であった。今後の切除不能進行性膵がんの標準治療になる可能性がある。
一方、わが国では、MR画像誘導放射線治療装置の導入が遅れており、診療報酬を含めた検討が必要である。
放射線治療専門医の不足
がん患者の高齢化により、低侵襲ながん治療である放射線治療への需要増加が予測される。更には、強度変調放射線治療や定位放
射線治療、粒子線治療の保険適用拡大から、放射線治療適応患者の増加も見込まれる。一方、全国のがん診療拠点病院(454施
設)に勤務する放射線治療専門医の令和3年度総計は821名であり、常勤0名(83施設:18.2%)、常勤1名(177施設:39.0%)と半
数以上の施設で1名以下の配置で放射線治療が実施されている。放射線治療専門医1名以下での診療体制では安全性、恒常性、信頼
性等の面で明らかに脆弱であり、今後の放射線治療専門医の増加が必要とされていると考える。
医学物理面の充実
高精度放射線治療では、先進的な科学技術が数多く応用されている。これを病院で安定的に提供するために、医療と科学技術の双
方に対して十分な知見を有する「医学物理士」の活躍が極めて重要である。欧米では理工学部出身の研究者が病院で医学物理士と
して雇用され、高精度放射線治療およびその技術開発を行っているが、日本では診療放射線技師が従来の多忙な技師業務と兼務す
るのが一般的である。このような医学物理体制の遅れは、国民が世界最新の治療を容易に享受することを阻んでおり、また本邦発
信の技術開発が乏しいことから、外資の高額な放射線治療装置を導入し続ける必要があり、国益を損なう状況が続いている。医学
物理士の教育と雇用を拡充し、医師の働き方改革・タスクシフトと連携した新体制を構築することが急務である。

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