よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料 3 - 3 現行の診断基準等 (17 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

25%を占める atypical type の症例では、10 歳以上で発症し、発話障害や精神症状が目立ち、より緩徐に進
行する。発話障害としては 40%の症例で反復言語か構語障害が多い。その後ジストニアをみるが、classical
type よりも程度は軽症で、15~40 年程度で歩行不能となる。すくみ足の頻度も高い。約 1/3 の症例で精神症
状(行動障害あり)か前頭側頭葉型認知症が見られる。症例によっては運動症状が明らかでなく、精神症状で
推移する場合もある。網膜色素変性症は通常合併しない。
中間表現型と呼ばれる 10 歳代以前に発症するが進行が遅い型、10 歳代に発症し進行が速く 20 歳代に歩
行不能となる例などがある。その他 Tourette 症候群、純粋アキネジア、運動ニューロン疾患類似の病態を呈
する症例、早期発症パーキンソニズムを示す症例などが報告されている。
HARP 症候群(hypoprebetalipoproteinemia、acanthocytosis、retinitis pigmentosa、pallidal degeneration、
OMIM 607236)も遺伝子変異が PANK2 に見られたことから PKAN に包含された。
3.検査所見
MRI で eye-of-the tiger sign を認める。これは 1.5 テスラ以上の MRI の T2 強調画像で、強い低輝度を示す
淡蒼球内の内側領域に高輝度を認めることを指す。PANK2 変異の見られる PKAN では全例陽性であるため、
MRI 所見から PKAN の診断に至る例が少なくない。NBIA の中でも PKAN にのみ見られる所見で特異性が高
い。ただし逆は成立せず、Hartig のシリーズでは eye-of-the tiger sign が見られる症例のうち 15%で PANK2
変異が見出されなかった。
網膜電図で網膜障害パターンを示す。
8%の症例で有棘赤血球症を示す。
4.診断
Pantothenate kinase 2 遺伝子に変異を認める。
遺伝歴、臨床像で PKAN を疑い MRI で eye-of-the tiger sign を認めた場合には PKAN を強く疑う。遺伝子
診断については日本神経学会「神経疾患の遺伝子診断に関するガイドライン」を参照されたい。
5.鑑別診断
(1)セルロプラスミン値、血清銅(R/O Wilson 病)
(2)神経セロイドリポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)
(3)β-hexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症
(4)乳児神経軸索ジストロフィー(infantile neuroaxonal dystrophy)及び他の NBIA の疾患群
(5)αfucosidosis
(6)childhood-onset ataxia (esp. SCA3、SCA7)
6.遺伝子変異と病態生理
PKAN に見られる PANK2 遺伝子変異は極めて多様である。Hartig の 72 症例のシリーズでは 48 例の 96
のアレルで変異が見出され、33 種の変異が検出された。ミスセンス変異、exon 欠失、小欠失による frame
shift、aberrant splicing があり保存部位の全長にわたり見られた。ホモ接合もあるが複合ヘテロ接合も多い。
Alternative splicing で多種の翻訳産物を生じるため変異部位の呼称も安定しない。このシリーズで最も多いの
は c.1583C>T(p.Thr528Met)で、C.573delC(p.S191RfsX13)変異はポーランド人でのみ見られた。
これまでの報告を集積すると最も多い変異は c.1561G>A 変異で p.Gly521Arg とミスセンス変異を示し
25%を占める。このほか c.1583C>T(p.Thr528Met)、c.1351C>T(p.Arg451X)、c.1413-1G>T(IVS)が多い。
c.1561G>A 変異はハプロタイプ解析から共通の創始者が推定された。

- 17-