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資料 3 - 3 現行の診断基準等 (20 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》
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外路症状を示さない。
フランス系カナダ人家系は 498-499insTC 変異で、20 歳代に手指の位置性振戦で発症し、症状の増悪によ
り 40 歳代には上肢運動障害が著明となり、小脳症状、錐体外路障害、顔面の不随意運動、認知障害を認め
る。460insA 遺伝子変異とは小脳症状、認知障害を認める点で異なる。646insC 変異もフランス系カナダ人/
オランダ人家系でみられ、60 歳代で小脳症状、仮性球麻痺、舞踏運動、加速歩行、感情失禁、口下顎~頸部
ジストニア、軽度であるが下肢の筋力低下を示す。パーキンソニズム、認知障害はない。474G>A 変異がス
ペイン~ポルトガル家系で見られ、10 代に失調性歩行で発症、次いで精神症状を示す。パーキンソニズムも
見られる。
3.検査所見
血清フェリチン濃度はほとんどの男性、更年期以降の女性で低下する。更年期以前の女性では血清フェリ
チン濃度の低下は 1/4 に留まる。
MRI で発症早期には赤核、尾状核、淡蒼球、被殻、視床、黒質、大脳皮質が T2 強調画像で低輝度となる。
進行期となり組織障害が増悪すると、淡蒼球、尾状核が高輝度となる。これはおそらく変性による浮腫、嚢胞
と思われる。C468_484dup 16int 症例では小脳萎縮を認める。T2*による撮像の報告もあり、最早期や発症前
症例で淡蒼球や黒質が低輝度となる。
4.遺伝子変異と病態生理
フェリチンは分子量 21k のフェリチン重鎖(ferritin heavy chain 1:FTH1)と分子量 19k のフェリチン軽鎖
(ferritin light chain:FTL)からなり、合計 24 個集まって中空の殻状構造になり内部に最大 4500 個の鉄原子を
取り込む。フェリチン重鎖は Fe2+を Fe3+に速やかに酸化する。フェリチンは細胞質にあり Fe2+鉄イオンの解毒作
用と貯蔵機能を有している。同時にフェリチンは軸索にも存在し、シナプスまでの鉄の輸送に関連している。
ミトコンドリアはヘムの生合成に鉄を必要とし、鉄/硫酸クラスターは多くの不可欠な酵素中に存在している。
鉄はミトコンドリア内で mitoferrin となりミトコンドリアの内膜に存在する。Frataxin はミトコンドリア鉄シャペロン
で、鉄/硫酸クラスタータンパク生合成における品質管理を行っている。
神経フェリチン症(Neuroferritinopathy)における遺伝子変異部位はいずれも FTL C 末端側にあり、フェリチ
ン 12 面体の形態を変化させ、鉄輸送能に影響を及ぼす。鉄輸送障害により、神経系のレドックス鉄が神経系
に沈着する。
現時点で exon4 に6、exon3 に1つ遺伝子変異が報告されている。
頻度の高い変異:
DNA ヌクレオチド変異(同義)

タンパク質アミノ酸変異

c.474G>A

p.Ala96Thr

c.442dupC (c.646_647insC)

p.His148ProfsX33

c.497_498dupTC (498insTC)

p.Phe167SerfsX26

c.460dupA (c.460_461insA)

p.Arg154LysfsX27

神経病理学的には大脳皮質、視床、黒質、尾状核、被殻、淡蒼球、Purkinje 細胞の脱落とグリオーシスを
認める。組織学的には核内及び細胞質内の封入体を神経細胞、グリア血管内皮細胞に認め、これらは Perl
染色及び抗フェリチン抗体で陽性である。フェリチン陽性封入体は被殻で最も濃度が高い。細胞外のヒアリン
様構造物もフェリチンや鉄が陽性とされる。
神経フェリチン症(Neuroferritinopathy)では鉄の沈着が酸化的ストレスを生じ、heme-oxygenase-1(酸化的

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