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資料 3 - 3 現行の診断基準等 (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》
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6.診断
26 歳までに発症の全身性ジストニアでは DYT1 遺伝子変異を調べるべきである。非典型例も多い。
7.遺伝子変異

DYT1 遺伝子変異は第5エクソンの GAG3塩基の欠失である。浸透率が 30%であることに対して、対立アリ
ルに保護的な変異が想定されている。216 番のアミノ酸はアスパラギン酸であるが、これが対立アリルでヒス
チジンに変わっていると非発症保因者になることがわかった。また、同一アリルに、そして、同一ペプチド鎖上
にグルタミン酸欠失と 216 番アスパラギン酸の両者があることによって DYT1 が浸透し病変を生じることも示唆
された。これらのことで、浸透率が 60%程度までの減少が説明される。
<DYT 5 ジストニア/瀬川病/ドパ反応性ジストニア>
1.診断指針
(1)遺伝様式:常染色体優性(遺伝子座 14q22.1-22.2、遺伝子 GCH1、遺伝子産物 GCH1)
(2)発症年齢:10 歳以下に多い。
(3)神経所見:下肢ジストニアにより歩行障害を来す。尖足、内反尖足が多い。日内変動があり、昼から夕方
にかけて症状が悪化し、睡眠によって改善する。固縮、姿勢時振戦がある。レボドパにより著
明に改善する。
(4)臨床検査所見:画像所見に異常はない。
髄液中ホモバニリン酸の低下。
(5)鑑別診断:他のレボドパ反応性ジストニア
常染色体劣性若年発症パーキンソニズムなど
(6)Definite(確定診断):日内変動を伴う下肢ジストニアでレボドパによく反応し、GTP cyclohydrolase l
(GCH1)活性の低下か GCH1 の変異が見られることによる。
(7)参考事項:不完全浸透で、女性優位(4:1又はそれ以上)に発症する。成人発症例もある。年齢とともに
日内変動の程度は減少する。髄液中ビオプテリン、ネオプテリンの低下は DYT5 を強く示唆す
る。GCH-1 の変異の検出はやや困難である。
2.疾患の概念
GCH1 の活性低下に基づき、レボドパによく反応する日内変動を伴う下肢ジストニアである。1971 年に瀬川
らが“著明な日内変動を呈する遺伝性進行性脳基底核疾患”として報告した。
3.疫学
我が国の疫学調査では 100~200 人の症例が推定されている。
4.臨床症状・検査所見
下肢優位の姿勢ジストニア(下肢の尖足あるいは内反尖足)が主症状で、立位時に腰椎前弯や頸部後屈
位、後膝反張を認め、体幹の捻転ジストニアはない。著明な日内変動を呈し、昼から夕方にかけて症状が悪
化し、睡眠によって改善する。年齢とともに日内変動の程度は減少する。10 歳以降になると姿勢時振戦(8~
10Hz が多い)が出現する。軽度の筋強剛を認める。深部腱反射は亢進し、時に足クローヌスが出現する。知
能は正常である。検査所見に異常は認めない。手の動作性ジストニアなど部分症状を来す例がある。
5.治療・予後
L-ドーパによく反応し、L-ドーパ反応性ジストニア(Dopa responsive dystonia:DRD)の一つである。比較的
少量で反応し、効果減弱は少ない。日内変動が著明のときドーパアゴニストを用いる。剖検で黒質のメラニン

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