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資料 3 - 3 現行の診断基準等 (19 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》 |
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PLA2G6遺伝子変異陽性症例の 87%で末梢神経生検で軸索スフェロイドを認める。
4.遺伝子変異と病態生理
PLA2G6 遺伝子では 44 遺伝子変異が同定され、32 がミスセンス変異、5が小欠失による flameshift、2ノン
センス、1スプライス部位変異、1大欠失の報告がある。
Classic type では null alleles で atypical type は複合ヘテロ接合を示す。共通の遺伝子変異は現時点ではな
い。
神経病理学的検討は少ないが、全般的な大脳皮質、小脳の萎縮と淡蒼球と黒質の茶褐色色素沈着を認
める。組織学的には神経細胞脱落とグリオーシスを全般に認め、小脳では Purkinje cell と granule cell との双
方の細胞脱落をみる。軸索腫大とスフェロイド大脳皮質、基底核、小脳、脳幹、脊髄全般に見られる。スフェロ
イドはエオジン好性の円形の腫大で直径 30~100µm であり、ニューロフィラメントを含んでいる。淡蒼球と黒質
では血管周囲に褐色顆粒状の鉄の沈着を認める。Alzheimer 病変及び PD 病変もみられ、黒質では典型的な
Lewy 小体を、大脳皮質や基底核ではαシヌクレイン陽性の Lewy 小体をみ、また、リン酸化τ陽性の神経原
性線維を前頭葉や側頭葉に認める。
スフェロイドや Lewy 小体、神経原線維変化をもたらす機序は不明であるが、細胞骨格の酸化的ストレスが
鉄によってもたらされる可能性がある。PLA2G6 遺伝子は細胞膜維持やアポトーシスについて極めて重要な
酵素をコードしているが、鉄枕着との関連は不明である。
5.治療
(1)有効な治療はない。
(2)ジストニアはバクロフェンやトリヘキシフェニジールで軽快できる。
(3)てんかん発作については抗痙攣薬におり治療を行う。
<神経フェリチン症(Neuroferritinopathy:NBIA3)>
1.診断指針
(1)遺伝様式:常染色体優性(遺伝子座 19q13.3-q13.4、原因遺伝子 FTL gene の第4exon の 460insA 変異、
まれに 458dupA、遺伝子産物 FTL:ferritin light chain)
MIM ID #606159
(2)発症年齢:平均 39 歳(13~63 歳)
(3)頻度:世界で 100 例以下
2.臨床症状
成人発症の舞踏運動又はジストニアを1~2肢に認め、軽度の認知機能障害を伴う。錐体外路症は舞踏運
動が 50%、局所性ジストニア 43%、パーキンソニズム 7.5%で急性バリスムや顔面痙攣、書痙はまれである。
口下顎ジストニアや発生困難は見られる。顔面のジストニアは動作特異的で会話の際に広頸筋や前頭筋が
収縮する、他の脳神経には問題ない。進行すると舞踏運動とジストニア双方が見られるようになる。5~10 年
で他肢に広がり、発症後 20 年くらいで全身性となるが、非対称性である。小脳失調、動作性振戦、認知症は
目立たないことが多い。
458dupA は進行が速く、パーキンソニズムが目立ち、認知障害、小脳失調が見られる(460insA との差異)。
日本人家系(c.469_484dup16nt)も報告され 10 歳代に手指の振戦が見られ、低緊張性で、発生困難、小字症、
歩行障害を示す。振戦は姿勢時が主体で、神経フェリチン症(neuroferritinopathy)で見られる典型的な錐体
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4.遺伝子変異と病態生理
PLA2G6 遺伝子では 44 遺伝子変異が同定され、32 がミスセンス変異、5が小欠失による flameshift、2ノン
センス、1スプライス部位変異、1大欠失の報告がある。
Classic type では null alleles で atypical type は複合ヘテロ接合を示す。共通の遺伝子変異は現時点ではな
い。
神経病理学的検討は少ないが、全般的な大脳皮質、小脳の萎縮と淡蒼球と黒質の茶褐色色素沈着を認
める。組織学的には神経細胞脱落とグリオーシスを全般に認め、小脳では Purkinje cell と granule cell との双
方の細胞脱落をみる。軸索腫大とスフェロイド大脳皮質、基底核、小脳、脳幹、脊髄全般に見られる。スフェロ
イドはエオジン好性の円形の腫大で直径 30~100µm であり、ニューロフィラメントを含んでいる。淡蒼球と黒質
では血管周囲に褐色顆粒状の鉄の沈着を認める。Alzheimer 病変及び PD 病変もみられ、黒質では典型的な
Lewy 小体を、大脳皮質や基底核ではαシヌクレイン陽性の Lewy 小体をみ、また、リン酸化τ陽性の神経原
性線維を前頭葉や側頭葉に認める。
スフェロイドや Lewy 小体、神経原線維変化をもたらす機序は不明であるが、細胞骨格の酸化的ストレスが
鉄によってもたらされる可能性がある。PLA2G6 遺伝子は細胞膜維持やアポトーシスについて極めて重要な
酵素をコードしているが、鉄枕着との関連は不明である。
5.治療
(1)有効な治療はない。
(2)ジストニアはバクロフェンやトリヘキシフェニジールで軽快できる。
(3)てんかん発作については抗痙攣薬におり治療を行う。
<神経フェリチン症(Neuroferritinopathy:NBIA3)>
1.診断指針
(1)遺伝様式:常染色体優性(遺伝子座 19q13.3-q13.4、原因遺伝子 FTL gene の第4exon の 460insA 変異、
まれに 458dupA、遺伝子産物 FTL:ferritin light chain)
MIM ID #606159
(2)発症年齢:平均 39 歳(13~63 歳)
(3)頻度:世界で 100 例以下
2.臨床症状
成人発症の舞踏運動又はジストニアを1~2肢に認め、軽度の認知機能障害を伴う。錐体外路症は舞踏運
動が 50%、局所性ジストニア 43%、パーキンソニズム 7.5%で急性バリスムや顔面痙攣、書痙はまれである。
口下顎ジストニアや発生困難は見られる。顔面のジストニアは動作特異的で会話の際に広頸筋や前頭筋が
収縮する、他の脳神経には問題ない。進行すると舞踏運動とジストニア双方が見られるようになる。5~10 年
で他肢に広がり、発症後 20 年くらいで全身性となるが、非対称性である。小脳失調、動作性振戦、認知症は
目立たないことが多い。
458dupA は進行が速く、パーキンソニズムが目立ち、認知障害、小脳失調が見られる(460insA との差異)。
日本人家系(c.469_484dup16nt)も報告され 10 歳代に手指の振戦が見られ、低緊張性で、発生困難、小字症、
歩行障害を示す。振戦は姿勢時が主体で、神経フェリチン症(neuroferritinopathy)で見られる典型的な錐体
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