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医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 報告書 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33548.html
出典情報 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 報告書の公表について(6/9)《厚生労働省》
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1.2.2


ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念

海外で使用されている医薬品が、日本で上市又は開発されておらず使用できないとい
う、い わ ゆ る ド ラ ッ グ ・ラ グ 問 題 に つ い て は 、 か つ て は 国 内 で の 承 認 審 査 に 長 期 間を
要して いた こ と等 に よ り生 じ てい た が、 独 立 行政 法 人医 薬 品医 療 機 器 総 合 機構 ( PMDA)
による 承 認 審 査 の 迅 速 化や 国 際 共 同 治 験 の 推 進 等 に よ り 、 そ の 解 消 が 図 ら れ て き たと
ころである。



しかしながら、近年において、欧米では承認されているが国内では未承認の医薬品が
拡大する兆候が見られている。令和5年(2023 年)3月時点の日本製薬工業協会から
の情報 に よ る と 、 欧 米 で承 認 さ れ て い る に も か か わ ら ず 、 国 内 で は 未 承 認 の 医 薬 品が
143 品目あり、このうち、国内で開発未着手となっている医薬品は 86 品目(未承認薬
のうち 60.1%)あるとの報告が行われている。国内開発が未着手の 86 品目について、
その内 訳 を 見 る と 、 ベ ンチ ャ ー 企 業 発 の 医 薬 品 や 、 希 少 疾 病 用 医 薬 品 、 小 児 用 医 薬品
の割合が比較的多くなっている。



このような状況は、過去に見られたように、欧米と比べて日本での承認時期が遅れる
という ド ラ ッ グ ・ ラ グ のみ な ら ず 、 そ も そ も 海 外 企 業 に よ る 日 本 で の 開 発 が 行 わ れな
いというドラッグ・ロスの懸念も生じていることを示している。



この背景には、企業経営に影響を与える薬価引き下げや薬価制度の予見可能性、日本
市場へ の 成 長 期 待 の 低 さが 、 外 資 系 企 業 の 日 本 市 場 へ の 医 薬 品 上 市 の 敬 遠 に つ な がっ
ていることが指摘されている。



特に、国内での開発の未着手の割合が高い希少疾病や小児、難病等を対象とした医薬
品につ い て は 、 相 対 的 に市 場 規 模 が 小 さ い こ と も あ り 、 日 本 市 場 で は 安 定 的 な 売 上げ
が見込めないと捉えられているおそれがあることが指摘されている。



また、こうした薬価制度に起因する課題に加え、患者数の少ない疾患であっても、薬
事承認 申 請 に お い て 、 日本 人 を 組 み 入 れ た 臨 床 試 験 で 有 効 性 、 安 全 性 を 検 証 す る こと
が求められることによる負担増といった薬事の課題も指摘されている。

(臨床試験、薬事制度)


医薬品の開発において、最もコストを要するのは臨床試験の実施であるが、日本にお
ける臨 床 試 験 の 実 施 コ スト は 、 国 際 的 に も 比 較 的 高 い 方 で あ る と 言 わ れ て い る 。 その
理由と し て は 、 医 療 機 関に お け る 臨 床 試 験 費 用 の 算 出 根 拠 が 国 際 標 準 と は 異 な る こと
や、医 療 機 関 の 規 模 が 小さ く 、 被 験 者 の 人 数 に 比 し て 医 療 機 関 の 数 が 多 く な る こ とか
ら、契約等の手続に要する手間が多いこと等が挙げられる 2 9 。



海外のベンチャー企業が医薬品開発を行う場合、日本での開発は行われないことが多
い。製 薬 企 業 が 医 薬 品 開発 を 行 う 地 域 の 優 先 順 位 は 、 一 般 に 、 最 も 市 場 規 模 の 大 きな
米国が 最 優 先 で あ り 、 次に 、 人 種 が 共 通 で あ り 米 国 で の 承 認 申 請 に 用 い た デ ー タ をそ
のまま 活 用 し や す い 欧 州が 優 先 さ れ る 。 そ の 次 に ア ジ ア 地 域 が 検 討 さ れ る が 、 米 国と

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疾 患 領域 や 薬 剤 に よっ て は 、 低 コス ト で 臨 床 試験 を 実 施 で きる 場 合 も あ るが 、 平 均 的 には 高 コ ス ト
であると認識されている。

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