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07 参考資料2-1 帯状疱疹ワクチン ファクトシート (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36248.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第21回 11/9)《厚生労働省》 |
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・内臓播種性 VZV 感染症
白血病や悪性腫瘍、臓器移植後、ネフローゼ症候群、膠原病など、基礎疾患やその治療の影響に
よる免疫不全患者においては、水痘もしくは播種性帯状疱疹の初発症状として皮疹出現に先行して
体内臓器での感染が原因で激しい腹痛や腰背部痛が出現する内臓播種性VZV感染症の場合があり、
致命率が高い35,36)。帯状疱疹に伴う肺炎、肝炎も重篤な合併症である。
同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後の患者における調査(日本, 1994年1月~2005年6月)では、
2,411人中20人(0.8%)で内臓播種性VZV感染症を発症し、そのうち17人(85%)が免疫抑制剤投与
中の患者であった。VZVに対する抗体検査を実施された症例のうち、12/17人(70%)が移植前の時
点で抗体陽性であった。移植から発症までの中央値は273日(範囲:103-800日)で、初発症状は80%
が腹痛、15%が意識障害、1人は無症状で、18人(90%)に皮疹が出現した。皮疹出現までの期間は
初発症状から0~13日(中央値3日)であった。全体の致命率は20%であった36)。
5)
感染性
帯状疱疹患者の水疱中には VZV が存在することから、VZV に対する感受性者への感染源となり
得る。水痘の家族内二次感染率は、71.5%37)や、61~100%38)と報告されている。一方、帯状疱疹の場
合の感染性は、水痘の場合に比較すると低いものの、家族内感染の場合には、感受性者への二次感
染率は 20%とされている 38)。
免疫機能に異常を認めない帯状疱疹患者において、唾液中にVZV DNAが検出されることが示され
ている39-41)。また、基礎疾患のない帯状疱疹症例の唾液から感染性を有するVZVが分離された例も報
告されている41)。 主な感染経路は接触感染とされているが、帯状疱疹患者が滞在した部屋の空気中
からVZV DNAが検出されることから42)、帯状疱疹患者からも空気感染が生じうることが示唆される。
顔面の帯状疱疹の場合や、免疫不全を有する帯状疱疹患者、播種性帯状疱疹の場合の感染性はより
高い。局所的な帯状疱疹の場合には病変部が被服等に覆われていると感染性は低くなる2)。
以上のことから、帯状疱疹患者は病変部が乾燥・痂皮化するまでは、感受性者、特に重症水痘と
なるリスクが高い者(妊娠中の女性、VZV に対する免疫を持たない母親から生まれた新生児、母親
の免疫状態にかかわらず妊娠 28 週未満あるいは体重 1000 グラム未満の乳児、全年齢層の免疫不全
の者)との接触は避けるべきとされている 2)。
②
鑑別を要する他の疾患
一般的に帯状疱疹は臨床症状が特徴的なことから診断が比較的容易である。単純ヘルペスウイル
ス(herpes simplex virus、以下 HSV という)の再活性化による単純疱疹、接触皮膚炎、虫刺症、丹毒
43)
など、様々な皮膚疾患が鑑別疾患として挙げられる。皮疹の分布、水痘の既往歴、基礎疾患など
の患者背景を考慮し、ウイルス学的な検査が必要な場合がある。
水痘と播種性帯状疱疹との鑑別は、水痘の既往歴が不明である場合、臨床症状のみでは難しい場
合が多い。帯状疱疹の場合にも水痘と同様に抗 VZV-IgM 抗体が陽性になることがあるが、陽性化し
ない場合もある。ペア血清で抗 VZV-IgG 抗体の有意上昇を認めることがあるが、急性期から既に抗
VZV-IgG 抗体が高い場合は、回復期の抗 VZV-IgG 抗体の上昇を確認できないことがある。急性期か
ら抗 VZV-IgG 抗体が陽性である場合は VZV に既に感染している蓋然性が高いことから、そのよう
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白血病や悪性腫瘍、臓器移植後、ネフローゼ症候群、膠原病など、基礎疾患やその治療の影響に
よる免疫不全患者においては、水痘もしくは播種性帯状疱疹の初発症状として皮疹出現に先行して
体内臓器での感染が原因で激しい腹痛や腰背部痛が出現する内臓播種性VZV感染症の場合があり、
致命率が高い35,36)。帯状疱疹に伴う肺炎、肝炎も重篤な合併症である。
同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後の患者における調査(日本, 1994年1月~2005年6月)では、
2,411人中20人(0.8%)で内臓播種性VZV感染症を発症し、そのうち17人(85%)が免疫抑制剤投与
中の患者であった。VZVに対する抗体検査を実施された症例のうち、12/17人(70%)が移植前の時
点で抗体陽性であった。移植から発症までの中央値は273日(範囲:103-800日)で、初発症状は80%
が腹痛、15%が意識障害、1人は無症状で、18人(90%)に皮疹が出現した。皮疹出現までの期間は
初発症状から0~13日(中央値3日)であった。全体の致命率は20%であった36)。
5)
感染性
帯状疱疹患者の水疱中には VZV が存在することから、VZV に対する感受性者への感染源となり
得る。水痘の家族内二次感染率は、71.5%37)や、61~100%38)と報告されている。一方、帯状疱疹の場
合の感染性は、水痘の場合に比較すると低いものの、家族内感染の場合には、感受性者への二次感
染率は 20%とされている 38)。
免疫機能に異常を認めない帯状疱疹患者において、唾液中にVZV DNAが検出されることが示され
ている39-41)。また、基礎疾患のない帯状疱疹症例の唾液から感染性を有するVZVが分離された例も報
告されている41)。 主な感染経路は接触感染とされているが、帯状疱疹患者が滞在した部屋の空気中
からVZV DNAが検出されることから42)、帯状疱疹患者からも空気感染が生じうることが示唆される。
顔面の帯状疱疹の場合や、免疫不全を有する帯状疱疹患者、播種性帯状疱疹の場合の感染性はより
高い。局所的な帯状疱疹の場合には病変部が被服等に覆われていると感染性は低くなる2)。
以上のことから、帯状疱疹患者は病変部が乾燥・痂皮化するまでは、感受性者、特に重症水痘と
なるリスクが高い者(妊娠中の女性、VZV に対する免疫を持たない母親から生まれた新生児、母親
の免疫状態にかかわらず妊娠 28 週未満あるいは体重 1000 グラム未満の乳児、全年齢層の免疫不全
の者)との接触は避けるべきとされている 2)。
②
鑑別を要する他の疾患
一般的に帯状疱疹は臨床症状が特徴的なことから診断が比較的容易である。単純ヘルペスウイル
ス(herpes simplex virus、以下 HSV という)の再活性化による単純疱疹、接触皮膚炎、虫刺症、丹毒
43)
など、様々な皮膚疾患が鑑別疾患として挙げられる。皮疹の分布、水痘の既往歴、基礎疾患など
の患者背景を考慮し、ウイルス学的な検査が必要な場合がある。
水痘と播種性帯状疱疹との鑑別は、水痘の既往歴が不明である場合、臨床症状のみでは難しい場
合が多い。帯状疱疹の場合にも水痘と同様に抗 VZV-IgM 抗体が陽性になることがあるが、陽性化し
ない場合もある。ペア血清で抗 VZV-IgG 抗体の有意上昇を認めることがあるが、急性期から既に抗
VZV-IgG 抗体が高い場合は、回復期の抗 VZV-IgG 抗体の上昇を確認できないことがある。急性期か
ら抗 VZV-IgG 抗体が陽性である場合は VZV に既に感染している蓋然性が高いことから、そのよう
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