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07 参考資料2-1 帯状疱疹ワクチン ファクトシート (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36248.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第21回 11/9)《厚生労働省》
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な場合、水痘ではなく播種性帯状疱疹である可能性がある。
水痘ワクチン接種後に帯状疱疹を発症することは稀であるが、急性白血病患児など免疫不全を有
する患者(帯状疱疹発症リスクが高い)では、水痘ワクチン接種後に帯状疱疹を発症することがあ
る。水痘ワクチン既接種者が帯状疱疹を発症した場合、帯状疱疹の原因となった VZV が野生株かワ
クチン株かを調べることが必要である。その鑑別は水疱内容液から検出される VZV の性状を解析す
ることで可能である 44)。
帯状疱疹の場合,皮疹出現に先行して、あるいは皮疹を認めずに帯状疱疹による疼痛、掻痒、臓
器障害などの症状が出現したり、播種性となって皮疹が単一の神経支配領域にとどまらない分布と
なったりすることがある。その場合、帯状疱疹と早期に診断することが困難である。帯状疱疹には
前述のようにさまざまな合併症があり、特に免疫不全患者においては重篤化したり致命的となった
りすることがあるため、早期診断と抗ウイルス薬治療の早期開始が重要である。


検査法
ウイルス学的な検査法について記述する。

1) ウイルス分離・ウイルス DNA 検出:ウイルス分離もしくは VZV DNA の検出は、最も直接的な
検査法である。感染性ウイルスが存在する水疱内容物を検体とする。VZV DNA の検出には、PCR
法 45)、LAMP 法 46)及びリアルタイム PCR 法 44,47,48)などが用いられる。近年、帯状疱疹発症前の患者
の唾液中に VZV DNA が検出されることが明らかとなり、帯状疱疹の診断に有用な可能性があるこ
とが示された 40,49)。VZV DNA 検出(定量的検出を含む)は民間の検査機関で実施されているが、健
康保険適用はなされていない。また、ワクチン株と野生株を判別するには、PCR-RFLP 法 44,50)、
LightCycler を用いた Tm 解析法 51)、株特異的プライマーを用いた LAMP 法 52)、TaqMan allelic
discrimination assay による方法 53)などが有用である。また、病変から分離されたウイルスや直接採取
されたサンプルから open reading frame(ORF*)62 遺伝子を PCR 法で増幅し、その塩基配列を決定
することでより確実に判別できる。*ORF:タンパク質に転写・翻訳される DNA 配列
2) ウイルス抗原検出:VZV 抗原に対するモノクローナル抗体(市販の FITC 標識モノクローナル抗
体など)を用いた直接蛍光抗体法 54)は、HSV と区別して VZV を検出することができ、感度は PCR
より落ちる(十分な検体量が必要)ものの迅速に結果を得ることができる。民間の検査機関で実施
され、健康保険適用もなされている。HSV による水疱性病変を鑑別することが必要な場合には、迅
速 HSV 抗原検出法 55)による検査を行う必要がある。
水疱擦過物スメア(Tzanck smear)の染色標本により多核巨細胞を検出する方法(Tzanck test)56)
を用いると、迅速に結果を得ることが可能である。しかし、この方法で陽性結果が得られたとして
も帯状疱疹と HSV 感染症との鑑別が不可能である。また、自己免疫性水疱症、特に尋常性天疱瘡と
の鑑別も必要である。
3) 血清学的検査:抗体価の測定による検査法も帯状疱疹の診断に役立つ。発症初期および回復期の
ペア血清を用いて抗体価の有意な上昇を確認したり、発症初期(急性期)の IgM 抗体を検出(IgM
抗体陽性)したりすることにより、診断の一助となる 57)。
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