よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


07 参考資料2-1 帯状疱疹ワクチン ファクトシート (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36248.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第21回 11/9)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

帯状疱疹ワクチン

ファクトシートの要約

疾病の特徴
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus、以下 VZV という)の初感染後、脊髄
後根神経節(知覚神経節)
、脳神経節に潜伏感染している VZV が再活性化することによって、神経
支配領域(皮膚デルマトーム)に、時に疼痛を伴う水疱が集簇して出現する疾患である。VZV の再
活性化には VZV に対する特異的な細胞性免疫の低下が関与している。予防接種法に基づく感染症流
行予測調査によると、成人の VZV に対する抗体保有率(酵素抗体法による)は 90%以上であり、成
人のほとんどが VZV に既感染で、帯状疱疹の発症リスクを有している。また、85 歳の人の約半数
が帯状疱疹を経験していると報告されており、80 歳までに 3 人に1人が帯状疱疹を経験すると推定
されている。
帯状疱疹は外来で治療される場合が多いが、国内の前方視的観察研究では 3.4%(27 人/800 人)が
入院を要した。帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)が
ある。発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なるが、PHN は帯状疱疹患者の 10-50%で生じる
とされている。加齢は PHN の重要なリスク因子である。また、帯状疱疹発症時の疼痛の程度、皮疹
の数も関与するとされる。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から 3 ヶ
月以上持続する疼痛が 10~20%に認められる。また、Ramsay Hunt 症候群、眼合併症、髄膜炎・脳炎、
血管炎・脳梗塞、横断性脊髄炎・運動神経炎、内臓播種性 VZV 感染症など様々な合併症が存在する。
免疫不全を有する者では、帯状疱疹の発症および重症化のリスクが高まる。さらに、水疱病変には
VZV が存在することから感染源となり、感受性者は水痘を発症する可能性がある。
帯状疱疹の患者では、抗ウイルス薬の投与により、ウイルス排出期間の短縮、新規皮膚病変の出
現抑制、皮膚病変の治癒の促進効果、疼痛期間の短縮と重症度の低減効果、PHN の発症頻度を減少
させる効果が認められる。抗ウイルス薬は皮疹出現後 3 日以内に投与がなされることが望ましく、
遅くとも 5 日以内に投与を開始する。PHN は知覚神経の損傷によることから、より早期に抗ウイル
ス薬投与を開始することが PHN を予防するためにも重要である。
2016年3月に、一般財団法人阪大微生物病研究会(以下、阪大微研)の乾燥弱毒生水痘ワクチンの
効能効果に、50歳以上の者に対する帯状疱疹予防が追加され、国内で帯状疱疹ワクチンとして接種
できるようになった。
疫学の状況(国内及び海外)
国内で実施された大規模疫学調査として、宮崎スタディ(1997~2011 年)および SHEZ スタディ
(2009〜2012 年)がある。宮崎スタディにおける帯状疱疹の罹患率は全体で 4.38/千人・年であり、
年齢別・性別の罹患率は男女とも 50 歳未満は 3.0/千人・年以下であるが、50 代で上昇し、70 代(男
女ともに約 8.0/千人・年)でピークを示した。50 歳以上の成人を対象とした SHEZ スタディでは、
罹患率は 10.9/千人・年であった。
帯状疱疹患者の 19.7%が PHN を発症し、
年齢別では 80 代で 32.9%,
60 代で 13.6%であった。PHN の罹患率(/千人・年)は全体で 2.1(男性 1.7、女性 2.4)であり、男
女に有意差はなかった。
イタリアでは、人口 10 万人あたりの入院率(/10 万人・年)は、50 歳未満、50 代、60 代、70 代、