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07 参考資料2-1 帯状疱疹ワクチン ファクトシート (6 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36248.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第21回 11/9)《厚生労働省》 |
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1.
帯状疱疹の基本的知見
(1)はじめに
水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster virus、以下VZVという)は初感染後、生涯にわたって脊髄
後根神経節(知覚神経節)
、脳神経節に潜伏感染する。潜伏感染細胞は主に神経細胞であるが、一部
サテライト細胞にも潜伏する。潜伏感染しているVZVが、加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫
抑制状態等をきっかけとして再活性化し、帯状疱疹を引き起こす1,2)。VZVの再活性化には様々な研
究成果が発表されているが、VZVに対する特異的な細胞性免疫の低下が関与し、VZV特異的液性免
疫は帯状疱疹の発症や重症化の予防、帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)の発症には
関与していないと報告されている3,4)。
水痘罹患歴のある人では約10~30%が生涯に一度は帯状疱疹を発症する5,6)。また、85歳の人の約
50%が帯状疱疹を経験しているという報告もある7)。1997~2011年に宮崎県で実施された帯状疱疹の
大規模調査では、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定された8)。
性差に関しては、同等 1)という報告もあるが、一般的に女性の罹患率が高い 7)。50 歳以上の成人を
対象として 2008~2009 年に日本で実施された疫学研究では、帯状疱疹全体の罹患率は 10.9/千人・年
であるが、男性の罹患率 8.5/千人・年に対して、女性の罹患率は 12.8/千人・年と高く、年齢、帯状
疱疹の既往を調整したハザード比は 1.5(95%信頼区間(confidence interval:CI)1.2-1.8)9)と報告さ
れている。
日本では 1987 年に水痘ワクチンが製造販売承認され、2014 年 10 月に予防接種法に基づく定期接
種に導入されたが、定期接種導入前の接種率は 30~40%程度で、毎年 100 万人規模の水痘の流行を
繰り返してきた。予防接種法に基づく感染症流行予測調査によると、成人の VZV に対する抗体保有
率(酵素抗体法:EIA 法による)は 90%以上と報告され(図 1)10)、成人のほとんどが VZV に既感
染で、帯状疱疹の発症リスクを有している。水痘ワクチンの定期接種化により 2015 年以降、小児の
水痘患者数が大きく減少している(図 2)
。今後 VZV への曝露頻度が減少することで、帯状疱疹患者
が増加すると推測されている 11)。
図1. VZV に対する抗体保有率
図2.
小児科定点あたり水痘患者報告数の推移
2005 年第 1 週~2016 年第 52 週(2017 年 1 月 16 日現在)
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帯状疱疹の基本的知見
(1)はじめに
水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster virus、以下VZVという)は初感染後、生涯にわたって脊髄
後根神経節(知覚神経節)
、脳神経節に潜伏感染する。潜伏感染細胞は主に神経細胞であるが、一部
サテライト細胞にも潜伏する。潜伏感染しているVZVが、加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫
抑制状態等をきっかけとして再活性化し、帯状疱疹を引き起こす1,2)。VZVの再活性化には様々な研
究成果が発表されているが、VZVに対する特異的な細胞性免疫の低下が関与し、VZV特異的液性免
疫は帯状疱疹の発症や重症化の予防、帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)の発症には
関与していないと報告されている3,4)。
水痘罹患歴のある人では約10~30%が生涯に一度は帯状疱疹を発症する5,6)。また、85歳の人の約
50%が帯状疱疹を経験しているという報告もある7)。1997~2011年に宮崎県で実施された帯状疱疹の
大規模調査では、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定された8)。
性差に関しては、同等 1)という報告もあるが、一般的に女性の罹患率が高い 7)。50 歳以上の成人を
対象として 2008~2009 年に日本で実施された疫学研究では、帯状疱疹全体の罹患率は 10.9/千人・年
であるが、男性の罹患率 8.5/千人・年に対して、女性の罹患率は 12.8/千人・年と高く、年齢、帯状
疱疹の既往を調整したハザード比は 1.5(95%信頼区間(confidence interval:CI)1.2-1.8)9)と報告さ
れている。
日本では 1987 年に水痘ワクチンが製造販売承認され、2014 年 10 月に予防接種法に基づく定期接
種に導入されたが、定期接種導入前の接種率は 30~40%程度で、毎年 100 万人規模の水痘の流行を
繰り返してきた。予防接種法に基づく感染症流行予測調査によると、成人の VZV に対する抗体保有
率(酵素抗体法:EIA 法による)は 90%以上と報告され(図 1)10)、成人のほとんどが VZV に既感
染で、帯状疱疹の発症リスクを有している。水痘ワクチンの定期接種化により 2015 年以降、小児の
水痘患者数が大きく減少している(図 2)
。今後 VZV への曝露頻度が減少することで、帯状疱疹患者
が増加すると推測されている 11)。
図1. VZV に対する抗体保有率
図2.
小児科定点あたり水痘患者報告数の推移
2005 年第 1 週~2016 年第 52 週(2017 年 1 月 16 日現在)
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