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資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (14 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》 |
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2 参考情報
1
ように表面処理を行うことが可能である.その他,表面粗さが
55
定対象粒子の剛性に比較して小さい剛性(低いバネ定数)のカン
2
約5 nm以下の比較的平坦なカバーガラスが市販されており,
56
チレバーを用いることが望ましい.共振周波数の高いカンチレ
3
測定対象の粒子サイズが約100 nm以上の場合には基板として
57
バーを使用すると,走査の感度が良くなり測定時間を短縮でき
4
用いることができる.使用する基板の表面粗さを把握するため
58
るが,通常その剛性(バネ定数)は大きいために測定対象粒子へ
5
に,あらかじめAFMにより画像を取得しておくことが望まし
59
のダメージに留意が必要である.また,大気中観察及び液中観
6
い.
60
察で,カンチレバー剛性の使い分けが必要なことがある.これ
7
2.3.
61
らの点を考慮して,カンチレバーの選択を行い,必要に応じて
ナノ粒子の固体基板への固定
8
適切な基板にナノ粒子の液体試料を滴下し,粒子が基板に固
62
カンチレバーの最適化を行う.
9
定されるのに十分な時間,インキュベーションを行う.空気中
63
2.4.3.
10
で画像の取得を行う場合には,インキュベーション後に基板を
64
AFM画像の取得
調製した試料をAFMの試料ステージにセットし,AFM画像
11
超純水でリンスして塩などの余分な成分を除き乾燥させる.
65
を取得する.AFM画像はx y平面座標と垂直z 座標の情報を持
12
2.4.
66
つ.画像の取得及び解析の際には,x y平面のデータポイント
13
2.4.1.
AFM画像の取得
67
数,すなわちピクセル数を考慮する必要がある.例えば,一辺
14
ナノ粒子は,静電的相互作用やファンデルワールス相互作用
68
200ピクセルの10 μm × 10 μm画像を得た場合,1ピクセル当
測定モードの選択
15
などの弱い分子間相互作用により基板に固定されている.その
69
たりのサイズは50 nm × 50 nmとなる.この設定条件では,
16
ため,AFMの測定モードによって側方次元にかかる力を最小
70
50 nm以下の粒子を識別することができない.したがって,測
17
限に抑えることが重要である.この要件に適した測定モードの
71
定対象の物質のサイズを考慮してスキャンサイズを設定する.
18
一つに,インターミッテントコンタクトモード(ダイナミック
72
測定の際,一般的には1粒子当たり10ピクセル以上となるよう
19
モード,タッピングモード,ダイナミックフォースモード,振
73
にスキャンサイズを設定することが望ましい.AFMによる粒
20
幅変調モードとも呼ばれる)が挙げられ,市販されているほと
74
子の平均サイズと粒度分布の解析では,代表的な粒子を無作為
21
んどのAFMで利用可能である.一方,近年,カンチレバーを
75
に抽出していることを保証することが重要になる.一般的に,
22
加振しない非共振の測定モード(フォースカーブマッピング)が,
76
少なくとも100個程度のナノ粒子のサイズを測定することや,
23
特に柔らかい試料の観察や力学的特性(硬さなど)の測定に用い
77
また,単一の視野での測定の作為性を避けるために,視野を変
24
られることもある.
78
えて画像を取得することが推奨される.画像取得中に画像の質
25
インターミッテントコンタクトモードでは,カンチレバーホ
79
が突然悪くなった場合には,カンチレバーが汚染されたり磨耗
26
ルダーに取り付けられた小さなピエゾ素子によってカンチレバ
80
したりしていることが原因であることが多いので,カンチレバ
27
ーを共振周波数付近の振動数で上下に振動させる.振動振幅は,
81
ーを洗浄又は交換することを検討する.
28
探針-試料間距離に極めて敏感であり,探針が試料表面に接触
82
ナノ粒子を固定していない基板を用意し,同じ条件でAFM
29
すると,カンチレバーの運動エネルギーは試料側に散逸し,急
83
画像の取得を行う.これにより,測定対象とするナノ粒子と誤
30
激に振動振幅が小さくなる.この振動振幅が一定になるように
84
って判断してしまう可能性のあるアーチファクト又は異物が,
31
探針―試料間距離をフィードバック制御しながら絶えず上下振
85
計測作業や基板そのものから混入していないことを保証するこ
32
動させて試料中の粒子表面を走査するために,側方次元にかか
86
とができる.
33
る力がほとんど生じないという利点がある.そのため,動きや
87
3.
34
すい試料,凹凸のある試料,柔らかな試料,表面への吸着があ
88
取得したAFM画像は,AFM機器メーカーにより提供されて
35
る試料などにも有効な測定モードである.ナノ粒子のサイズ測
89
いるソフトウェアを用いて,試料の設置や装置の熱ドリフトな
36
定は,空気中及び液中のいずれの環境でもインターミッテント
90
どに由来する画像上の高さの傾きを補正した後,解析を行う
37
コンタクトモードによって可能である.以降は,インターミッ
91
(他の開発者によるAFM画像解析ソフトウェアも利用可能であ
38
テントコンタクトモードによる画像取得方法を述べる.
92
る).ナノ粒子のサイズ測定において,必須となるデータ解析
39
2.4.2.
93
の操作について述べる.
3.1.
カンチレバーの選択
画像解析とナノ粒子のサイズ(高さ)計測
40
カンチレバー及びその先端に取り付けられている探針の特性
94
41
及び形状は,AFMの感度と解像度を決定する重要な因子であ
95
ソフトウェアの断面形状解析ツールを用いると,画像中の任
42
る.留意すべき点を以下に挙げる.
断面形状解析によるサイズ測定
96
意の部分に引いた線に沿った垂直方向の断面形状プロファイル
43
AFMで得られる画像には,探針形状と試料粒子形状の両者
97
を取得することができ,水平・垂直方向の距離の測定が可能で
44
に由来する要因が含まれる.つまり,探針の形状は高さ測定に
98
ある.断面形状プロファイルを取得すれば,ナノ粒子の高さだ
45
影響を与えないが,x, y方向での形状表示に影響を与えるため,
99
けでなく,ナノ粒子の凝集性も知ることができる.また,ナノ
46
ナノ粒子のx, y方向でのサイズ情報の扱いには注意が必要であ
100
粒子周辺の基板部分における傾き補正の適切性に関する情報を
47
り,探針形状によるアーチファクトを最小化するために,10
101
得ることができる.画像中の各ナノ粒子について断面形状解析
48
nm以下の先端半径をもった探針の使用が推奨される.
102
を行い,粒子の高さを測定する.高さ測定の基準点は,全デー
49
安定したカンチレバーの励起振動は,インターミッテントコ
103
タの最下点を基準に取る方法,走査方向に対して粒子形状の立
50
ンタクトモードによる試料表面の画像化に重要な要素であり,
104
ち上がりの際を基準点とする方法,測定者が任意に基準を設定
51
探針-試料粒子間の付着力(例えば,毛管力,ファンデルワー
105
する方法などがある.いずれを採用する場合でも同じ条件で一
52
ルス力,静電力)を克服することができる大きな剛性(高いバネ
106
連の測定を行う.試料調製に伴うアーチファクトの影響を避け
53
定数)をもつカンチレバーの使用が望ましい.一方で,カンチ
107
るために,明らかな異物粒子や粒子どうしを区別できない大き
54
レバーの接触による力で粒子が変形する可能性があるため,測
108
な凝集物は粒子サイズの平均値を算出する際に除外する.
1
ように表面処理を行うことが可能である.その他,表面粗さが
55
定対象粒子の剛性に比較して小さい剛性(低いバネ定数)のカン
2
約5 nm以下の比較的平坦なカバーガラスが市販されており,
56
チレバーを用いることが望ましい.共振周波数の高いカンチレ
3
測定対象の粒子サイズが約100 nm以上の場合には基板として
57
バーを使用すると,走査の感度が良くなり測定時間を短縮でき
4
用いることができる.使用する基板の表面粗さを把握するため
58
るが,通常その剛性(バネ定数)は大きいために測定対象粒子へ
5
に,あらかじめAFMにより画像を取得しておくことが望まし
59
のダメージに留意が必要である.また,大気中観察及び液中観
6
い.
60
察で,カンチレバー剛性の使い分けが必要なことがある.これ
7
2.3.
61
らの点を考慮して,カンチレバーの選択を行い,必要に応じて
ナノ粒子の固体基板への固定
8
適切な基板にナノ粒子の液体試料を滴下し,粒子が基板に固
62
カンチレバーの最適化を行う.
9
定されるのに十分な時間,インキュベーションを行う.空気中
63
2.4.3.
10
で画像の取得を行う場合には,インキュベーション後に基板を
64
AFM画像の取得
調製した試料をAFMの試料ステージにセットし,AFM画像
11
超純水でリンスして塩などの余分な成分を除き乾燥させる.
65
を取得する.AFM画像はx y平面座標と垂直z 座標の情報を持
12
2.4.
66
つ.画像の取得及び解析の際には,x y平面のデータポイント
13
2.4.1.
AFM画像の取得
67
数,すなわちピクセル数を考慮する必要がある.例えば,一辺
14
ナノ粒子は,静電的相互作用やファンデルワールス相互作用
68
200ピクセルの10 μm × 10 μm画像を得た場合,1ピクセル当
測定モードの選択
15
などの弱い分子間相互作用により基板に固定されている.その
69
たりのサイズは50 nm × 50 nmとなる.この設定条件では,
16
ため,AFMの測定モードによって側方次元にかかる力を最小
70
50 nm以下の粒子を識別することができない.したがって,測
17
限に抑えることが重要である.この要件に適した測定モードの
71
定対象の物質のサイズを考慮してスキャンサイズを設定する.
18
一つに,インターミッテントコンタクトモード(ダイナミック
72
測定の際,一般的には1粒子当たり10ピクセル以上となるよう
19
モード,タッピングモード,ダイナミックフォースモード,振
73
にスキャンサイズを設定することが望ましい.AFMによる粒
20
幅変調モードとも呼ばれる)が挙げられ,市販されているほと
74
子の平均サイズと粒度分布の解析では,代表的な粒子を無作為
21
んどのAFMで利用可能である.一方,近年,カンチレバーを
75
に抽出していることを保証することが重要になる.一般的に,
22
加振しない非共振の測定モード(フォースカーブマッピング)が,
76
少なくとも100個程度のナノ粒子のサイズを測定することや,
23
特に柔らかい試料の観察や力学的特性(硬さなど)の測定に用い
77
また,単一の視野での測定の作為性を避けるために,視野を変
24
られることもある.
78
えて画像を取得することが推奨される.画像取得中に画像の質
25
インターミッテントコンタクトモードでは,カンチレバーホ
79
が突然悪くなった場合には,カンチレバーが汚染されたり磨耗
26
ルダーに取り付けられた小さなピエゾ素子によってカンチレバ
80
したりしていることが原因であることが多いので,カンチレバ
27
ーを共振周波数付近の振動数で上下に振動させる.振動振幅は,
81
ーを洗浄又は交換することを検討する.
28
探針-試料間距離に極めて敏感であり,探針が試料表面に接触
82
ナノ粒子を固定していない基板を用意し,同じ条件でAFM
29
すると,カンチレバーの運動エネルギーは試料側に散逸し,急
83
画像の取得を行う.これにより,測定対象とするナノ粒子と誤
30
激に振動振幅が小さくなる.この振動振幅が一定になるように
84
って判断してしまう可能性のあるアーチファクト又は異物が,
31
探針―試料間距離をフィードバック制御しながら絶えず上下振
85
計測作業や基板そのものから混入していないことを保証するこ
32
動させて試料中の粒子表面を走査するために,側方次元にかか
86
とができる.
33
る力がほとんど生じないという利点がある.そのため,動きや
87
3.
34
すい試料,凹凸のある試料,柔らかな試料,表面への吸着があ
88
取得したAFM画像は,AFM機器メーカーにより提供されて
35
る試料などにも有効な測定モードである.ナノ粒子のサイズ測
89
いるソフトウェアを用いて,試料の設置や装置の熱ドリフトな
36
定は,空気中及び液中のいずれの環境でもインターミッテント
90
どに由来する画像上の高さの傾きを補正した後,解析を行う
37
コンタクトモードによって可能である.以降は,インターミッ
91
(他の開発者によるAFM画像解析ソフトウェアも利用可能であ
38
テントコンタクトモードによる画像取得方法を述べる.
92
る).ナノ粒子のサイズ測定において,必須となるデータ解析
39
2.4.2.
93
の操作について述べる.
3.1.
カンチレバーの選択
画像解析とナノ粒子のサイズ(高さ)計測
40
カンチレバー及びその先端に取り付けられている探針の特性
94
41
及び形状は,AFMの感度と解像度を決定する重要な因子であ
95
ソフトウェアの断面形状解析ツールを用いると,画像中の任
42
る.留意すべき点を以下に挙げる.
断面形状解析によるサイズ測定
96
意の部分に引いた線に沿った垂直方向の断面形状プロファイル
43
AFMで得られる画像には,探針形状と試料粒子形状の両者
97
を取得することができ,水平・垂直方向の距離の測定が可能で
44
に由来する要因が含まれる.つまり,探針の形状は高さ測定に
98
ある.断面形状プロファイルを取得すれば,ナノ粒子の高さだ
45
影響を与えないが,x, y方向での形状表示に影響を与えるため,
99
けでなく,ナノ粒子の凝集性も知ることができる.また,ナノ
46
ナノ粒子のx, y方向でのサイズ情報の扱いには注意が必要であ
100
粒子周辺の基板部分における傾き補正の適切性に関する情報を
47
り,探針形状によるアーチファクトを最小化するために,10
101
得ることができる.画像中の各ナノ粒子について断面形状解析
48
nm以下の先端半径をもった探針の使用が推奨される.
102
を行い,粒子の高さを測定する.高さ測定の基準点は,全デー
49
安定したカンチレバーの励起振動は,インターミッテントコ
103
タの最下点を基準に取る方法,走査方向に対して粒子形状の立
50
ンタクトモードによる試料表面の画像化に重要な要素であり,
104
ち上がりの際を基準点とする方法,測定者が任意に基準を設定
51
探針-試料粒子間の付着力(例えば,毛管力,ファンデルワー
105
する方法などがある.いずれを採用する場合でも同じ条件で一
52
ルス力,静電力)を克服することができる大きな剛性(高いバネ
106
連の測定を行う.試料調製に伴うアーチファクトの影響を避け
53
定数)をもつカンチレバーの使用が望ましい.一方で,カンチ
107
るために,明らかな異物粒子や粒子どうしを区別できない大き
54
レバーの接触による力で粒子が変形する可能性があるため,測
108
な凝集物は粒子サイズの平均値を算出する際に除外する.