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資料No.2~2-1_日本薬局方の参考情報の改正(案)について (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》
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参考情報

1

55

結晶密度(Crystal Density)

充塡かさ密度を求める方法(定容量法)も規定している.

2

あ る 物 質 の 結 晶 密 度 と は , 分 子 の 充 塡 配 列 (molecular

3

packing arrangement)の基本部分(fundamental part)に属さ

4

ない,全ての空隙を除いた単位体積当たりの平均質量である.

56

5

これはその物質の特定の結晶構造に固有な特性であり,測定法

57

める.

6

に依存しない.結晶密度は,計算又は簡単な測定によって求め
58

粉体の流動性〈G2-3-182〉

7

ることができる.

8

A.

9

又は粉末X線回折データの指標化によって得られる結晶学
的データ(単位格子の体積と組成)から与えられる.
B.

12
13

参考情報

G2.

物性関連

粉体の流動性

を次のように改

計算による結晶密度は,例えば,単結晶のX線回折データ

10
11

7 .

測定による結晶密度は,単結晶の質量と体積の測定により,
その比(質量/体積)として与えられる.

粒子密度(Particle Density)

59

本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.

60

三薬局方の調和合意に関する情報については,独立行政法人医薬品医

61

療機器総合機構のウェブサイトに掲載している.

62

医薬品では幅広く粉体が利用されることから,粉体の流動性

14

粒子密度は,結晶密度に加えて粒子内の空隙(粒子内部の閉

63

を評価するための種々の方法が考案されてきた.製剤に関する

15

じた空隙及び開孔部はあるが気体が浸入できない空隙)も粒子

64

文献中には,粉体の流動性に関する種々の測定値を製造特性と

16

体積の一部と評価して求められる密度である.すなわち,粒子

65

関係づけようとする多数の論文が出されている.このような

17

密度は測定された体積に依存し,体積の評価は測定法に依存す

66

種々の試験法が開発されているのは当然である.なぜならば,

18

る.粒子密度の測定は,日本薬局方では「3.03

67

粉体の挙動は多面的であるので,これが粉体の流動性を評価し

19

度測定法」として,ピクノメーター法を規定している.

68

ようとする努力を面倒にしているからである.本項では,医薬

粉体の粒子密

20

ピクノメーター法による密度は,気体置換型ピクノメーター

69

品に最も多く用いられる粉体の流動性の評価法について記述す

21

を用いて,質量既知の粉体の体積を置換された気体の体積に等

70

る.医薬品粉体の流動性を適切に評価できる単純で簡便な測定

22

しいものと評価することにより求める.ピクノメーター法によ

71

法はないが,本項では,幾つかの試験法の標準化を提案してい

23

る密度の測定においては,気体の浸入が可能な開孔部のある空

72

る.粉体の流動性評価に広く用いられている四つの試験項目及

24

隙は粉体の体積とみなされないが,気体が浸入できない密閉状

73

び測定法,すなわち,「1.安息角」,「2.圧縮度又はHausner

25

態にある空隙は粉体の体積の一部とみなされる.ヘリウムは拡

74

比」,「3.オリフィスからの流出」,及び「4.せん断セル法」

26

散性が高く,開孔部のあるほとんどの空隙に浸入できるため,

75

である.

27

粒子密度測定用気体として推奨される.したがって,細かく粉

76

一般に,いかなる粉体の流動性測定法であっても,実用的か

28

砕された粉体のピクノメーター法による粒子密度は,一般には

77

つ有用であり,更に再現性があって感度が良く,意味のある結

29

結晶密度とあまり違わない.このため,この方法による粒子密

78

果が得られなければならない.これらいずれの手法を用いた測

30

度は,非晶質又は部分的に結晶性である試料の真密度の最良の

79

定でも,複数回の測定が望ましい.繰返しになるが,ある一つ

31

推定値とみなされ,製造工程中にある医薬品粉末の製造管理に

80

の流動性測定法では,製薬用途で遭遇する広範囲な流動性を適

32

広く役立てることができる.

81

切に又は完全に評価できない.製剤研究者や技術者の必要性に

33

かさ密度(Bulk Density)

82

応じて,種々の見地から粉体の流動性を評価するために,多数

34

粉体のかさ密度は,粒子間の空隙も粉体体積の一部と評価し

83

の標準化された試験法をうまく利用することが適切な評価につ

35

て求められる.したがって,かさ密度は粉体の粒子密度と粉体

84

ながる.

36

層中での粒子の空間配列に依存する.

85

1.

安息角

37

また,粉体のかさ密度は粉体層の僅かな揺動によっても,そ

86

安息角は,粉体の流動性を評価するために幾つかの科学分野

38

の空間配列が変化するため,再現性よくかさ密度を測定するこ

87

で用いられてきている.安息角は,粒子間摩擦,又は粒子間の

39

とは極めて難しい.したがって,かさ密度の測定値を示す場合,

88

運動に対する抵抗性に関係する特性値である.安息角の試験結

40

測定条件と共に,どのように測定したかを明記することが重要

89

果は,測定法に大きく依存する.本測定法では円錐形成時の粉

41

である.

90

体の分離・偏析や圧密又はエアレーションのために,実験上に

かさ密度測定法」を規定している.

91

困難を生じる.これらの難点があるにもかかわらず,本測定法

疎充塡かさ密度は,ふるいを通してメスシリンダー中へ注

92

は製薬工業において利用され続けており,製造面での諸問題を

44

入した質量既知の粉体の体積(疎充塡体積)を測定すること

93

予測する際の価値を示す多数の例が文献中に見られる.

45

により求められる(定質量法).別に日本薬局方では,一定

94

安息角は,次項で述べる方法のいかんにかかわらず,形成さ

46

容量(疎充塡体積)の粉体の質量を測定することにより,疎

95

れる堆積体が円錐状であると仮定した際の水平面に対する三次

47

充塡かさ密度を求める方法(定容量法)も規定している.

96

元的角度である.

タップ充塡かさ密度は,粉体を入れたメスシリンダーを機

97

1.1.

械的にタップすることにより求められる.初期の疎充塡体

98

多数の安息角測定法が提案されているが,静的安息角を測定

50

積を測定した後,メスシリンダーを一定の測定条件(タップ

99

するための最も一般的な方法は,二つの重要な実験的変数の扱

51

速度及び落下高さ)で機械的に規定の回数タップし,連続す

100

いにより次のように分類される.

52

る2回の測定間で体積変化が許容範囲内となるまで測定を

101

(ⅰ)

53

繰り返す(定質量法).別に日本薬局方では,タップ充塡さ

102

おくか,又は堆積体が形成されるにつれて漏斗の高さを変える.

54

れた一定容量の粉体の質量を測定することにより,タップ

42
43

48
49

日本薬局方では「3.01
A.

B.

安息角測定法

粉体を流下させる漏斗の高さを基底板に対して固定して